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偽善者とこぼれ話 番外月  作者: 山田 武


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偽善者とホワイトデー 2020



 ホワイトデー。

 その由来も存在意義も、今を生きる者たちにとっては関係ないこと。


 ただ一つ、認識すればいい──このイベントは、選ばれし者のみが参加するものだと。


 持つ者と持たざる者。

 それらは一月も前に決まっている。

 その権利を与えられた者が、幸運か不幸かその事実は分からない。


 だが、持たざる者にとってその権利を得ること自体が過酷な戦いとなっていた。

 並みいる猛者に勝つこともできず、永遠の時を負け組として過ごす日々。


 ──それを脱却する、自由なる世界こそが『AFO』なのだと誰かが言った!


  ◆   □   ◆   □   ◆


 始まりの草原


「……いや、本当に誰が言ったんだよ」


 今回のミニイベントの説明文──をコピペした物──を読みながら、そう呟く。

 眷属用のプレゼントはとっくに作成済み、そのため暇になってこちらに参加していた。


 今回は去年のような優遇は無く、代わりに全員が対等なイベントになっているらしい。

 具体的には、イベントモンスターへの与ダメージが1固定になっているようだ。


「この世界だとバレンタインは女が、ホワイトデーは男がアイテムを渡す日ってことに決まっているみたいだから、別にそれでもいいらしいが……十一ヶ月も覚えていていられるものかねぇ?」


 参加者、合計レベル、やり込み度合いなどからドロップするアイテムが決まり、それを渡せば喜んでもらえる。


 運が良ければ覚えてもらい、バレンタインでアイテムが貰えると……そういう感じだ。

 まあ、これはこれまでのバレンタインとホワイトデーにも存在したシステムだけど。


「要するに現実と同じく好感度稼ぎ。だけど現実と違うのは、自分たちに力があること」


 財力や知力、運動能力ではない──この世界で求められる戦闘力を彼らは有している。

 ……ちなみに生産職の場合、そのイベントアイテムの加工をすればいい。


 先ほどダメージ固定と言ったが、そのアイテムで作ったチョコレートの武器などは、少しだけダメージ量を上げられるようだし。 


「アクティブスキルを使って攻撃すると与ダメージがゼロになる仕掛け付きだから、完全に本人次第の戦闘になっている。……一部のPS(プレイヤースキル)持ちは無双回だな」


 イベントモンスターも攻撃してくるが、全然ダメージはない。

 ただし、与えたダメージが多いと、その分ノックバックの性能が高くなる。


 終盤で攻撃を受ければ、エンドレスで嵌め殺しされる……まさに非リアの呪いだ。

 そうした苦難困難を乗り越えた先に、報酬としてドロップアイテムが落ちる。


「現在、その例外となるレイド級のボスモンスターに挑んでいる祈念者たち。生命力がまさかの億級だからな……異常すぎるだろう、あのドラゴン」


 ちなみに巨体をイメージして、嬲り殺しにすればいいと思ったそこの貴方──残念。

 たしかに大型で嬲り殺しっぽいことはできるのだが、全然効いていない。


 一定時間に一人が与えられるダメージ量が決まっており、それ以上はすべて無効化。

 なので数で徒党を組み、団結しなければ倒せないしようとなっているのだ。


「……さて、俺もそろそろダメージ判定が入るころだし、復帰させてもらいますか」


 休んでいた体を起こし、ドラゴンに向けて構えた矢を放つ。

 ……うん、どうせダメージ量が同じなら、安全に戦っていきたいしな。



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