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偽善者とこぼれ話 番外月  作者: 山田 武


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偽善者と七夕 2019



 七夕

 もともとは『棚機(たなばた)』という字を書き、実は『七夕(しちせき)』と読む場合もある日本の祭り行事。

 色とりどりの短冊を笹に飾り、星にお祈りする習慣である。


「魔導解放──“満天広がる眸子の夜空”」


 前回同様、空に魔眼を浮かべて星を疑似的に再現していく。

 魔力さえあれば維持できるので、眷属から借りた分の魔力があれば一日中行使することが可能だ。


「──さぁ、誰が取れるかその短冊! すべてが叶う万能の短冊!」


 前回、俺は言った──自分の願いはその手で掴んでほしいと……てなわけで、さっそくやってもらうことにした。

 一枚だけ用意した超目立つ短冊、そこに願いを書いたものは……。


 誰も彼もがその短冊を奪い合う。

 本日は無礼講ということにしてあるので、眷属だろうが王様だろうが誰でもそれを手に入れるチャンスがある。


「願いの叶う短冊を探すもよし、自分が気に入った短冊を見つけるもよし。さてさて、誰が最後に願いを書くのやら」


 祭りのときは、基本上から眺めるか共に楽しむかを選んでいる。

 今回の場合、俺自身が叶える側なので参加はしないで傍観に徹することにした。


「……って、おいおい。破壊活動が行われていないだけで、似たような騒動になっているじゃないか」


 制限してもらっているとはいえ、立体機動も余裕な眷属たち……その一部も参加し、取り合っている短冊。

 美しく輝く虹色の短冊……最後にそれを手にしたのは──


  ◆   □   ◆   □   ◆


「さてさて、誰が飾ったのやら」


 笹を天まで伸ばし、誰も干渉できないように結界で包み込んだ。

 スーでも解除できないよう、複雑な術式にしたので破壊する以外に中身を奪うことはできないだろう。


「おっと、見つかった。うん、まあ叶えばいいな……」


 飾られていた虹色の短冊には、とある眷属の書いた願い事が……まったく、そこは誰かに譲ってもらいたかったな。

 だがまあ、その願いを俺が叶える筋合いはさらさらない──これじゃないし。


「どこだどこだ……ああ、これだな」


 本命は俺が短冊を配る前、“目印(マーク)”を極限まで隠蔽させた状態で付けた短冊だ。

 派手に配った虹色の短冊とは違い、とても地味な白い短冊である。


「こっちは眷属の願いじゃないみたいだし、見ない方がいいか──さて、今日中に完成させないと」


 実はこの短冊、【希望】の能力を付与してあるので書いた願いを一日だけならば具現化することが可能なのだ。


 それがいったいどんな願いだったのか、またそれによってその日一日がどのような場所になったのか……それは秘密である。



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