表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/32

1話その2


彼とすれ違うように、マネージャーの恭之助きょうのすけが近付いてくる。

「サットすまない。自作のスタッフ証を提げてやがった」

恭之助は大学生の頃からの彼だ。彼は美里をサットと呼ぶ。ソロ活動の時からマネージメントを任せている。

「スタッフの数。少なくない?」

恭之助は空を仰いだ。

「あのバイト料で人は集まらん」

「新曲のダウンロード想定外だったね…」

「ラッキーラウランテスにパクられたからな。こっちがパクった事になった。メジャーに喧嘩売ってもケガするだけだ」

美里は思い出して言った。

「そう言えば、メジャーデビューの話は?」

恭之助は目を逸らして、長い沈黙の後に元気なく言った。

「サット……」

「なに?」

「サットが決めろ」

「なにを?」

「これから、ドルフィンホテルの最上階スイート999号室に行って、朝まで居ればメジャーデビュー出来る」

美里は目を見開いた。そういう事…許せない…。

「誰が居るの?当てようか?DDアメリカのスフィア会長?」

恭之助は無視して言った。

「オリコンなんかじゃない。ビルボードに直結だ。グラミー賞だって夢じゃない」

美里はあまりの言い方にしばらく声が出なかった。

「恭之助?正気?私が体売ってビルボード1位?グラミー賞でみんなのおかげ?」

「会長はサットにぞっこんだ。こんな掃き溜めにいつまで居るつもりだっての!」

恭之助は壁に拳をドンッと叩きつけて喚いた。

スタッフ達が振り返って見た。

「掃き溜め?どこのバカか判らない私達を拾って育てくれたクラブテラが掃き溜め?オーナーの前で同じ事言ってみなさいよ!」

「終わりだよ…メジャーに行けなきゃ終わりなんだよ!」

「終われば良いじゃん!そんな事で行くメジャーなら、終われば良いじゃん!」

恭之助は答えずに、メモを美里の左手に握らせた。

「サット。行かないなら解散だ。不甲斐ないマネージメントの責任をとってマネージャーを辞める。消えるよ」

美里は震えた。恭之助が会長に条件を切り出された時の怒りとやりきれなさを思って。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ