ーおまけ2の1
ーおまけ2の1
美里は楽器店トモダチで、掛けてあるレスポールを見ていた。
大学生になって、松屋でバイトを始めた。
高校はバイト禁止だった。
お金を貯めて、ギターとミニアンプで路上パフォーマンスをするつもりだ。
「そいつは重いから、女の子には勧めないよ」
トモダチのおっさんが、横に来て言った。本名は知らない。誰もがトモダチのおっさんと呼ぶので、美里もそう呼ぶ。
「でも。ジミーペイジを弾くなら、レスポールだと思うんです」
トモダチのおっさんは、真面目な顔でうなづいた。
「ツェッペリンをやるのかい?」
「やっぱり。ビートルズがやれなかった事を成し遂げたじゃないですか」
「異論は有るけどね」
トモダチのおっさんは、掛けてあるレスポールを降ろした。
「路上パフォーマンスなら、こいつの利点はない。ミニアンプではレスポールの深い音色を表現できない。マーシャルアンプ3段積みで弾くべき楽器だ」
レスポールにシールドコードを繋ぎアンプのスイッチを入れた。
ブーンと低いノイズが、狭い店の通路を圧する。
トモダチのおっさんは、いきなりレッドツェッペリンのロックンロールを弾き始めた。
生のロックンロールは初めてだった。
痺れた。
弾き終わると、今度はミニアンプに繋いで胸いっぱいの愛を弾く。
「どうだい?この音ならフェンダーで良い。軽くて長い時間の演奏に耐えられる」
結局、ブラックシェイプのフェンダーをキープしてもらった。
′50Sストラトキャスター・リミテッド・ランブラックオンブラック。税抜き85500円。
まだ、お金はない。
「ここで弾くなら、好きなだけ弾いていい。外に持ち出すのは支払いが終わってからだ」
結局、トモダチのおっさんやバンド組んでる人達が、基礎からギターと言うより…ロックをプレイする事を教えてもらった。結局、半分払った所で店の常連さん達がクリスマスプレゼントで、代金を出してプレゼントしてくれた。
翌日の12月25日の日曜に、久屋大通公園で路上パフォーマンスデビューした。




