ー最終話
ー最終話
例によって、観客はマリーアントワネットとルイ16世のコスプレだった。その一番前。ステージ前に、迷彩服の5人が並んでいた。
最初戸惑っていた。
しかし2曲目からノリノリになり、最も熱狂してくれた。
ライブ終了後治安部隊と対テロ部隊がステージからなだれ込み…引きずられて行った。
明らかにアラブの顔をした男が、リリアに向かって腕を伸ばし
「アイファウンドトゥモロー!」
……と言ったように、リリアに聞こえた。
詳細をネットで知った。
空港を襲うとされたテロリストが彼等だった。
しかし、目標はリリアントワネットのライブだった。
ワゴン車で向かっていたが、群衆で動けなくなる。武装しワゴン車を降りた瞬間、群衆に揉まれた。変なもん持ってるんじゃねえと怒鳴られ。持っている機関銃がもぎ取られ、手榴弾もナイフもなくなり、巻いていた自爆用のプラスチィク爆弾も無くなった。
取り返そうともがいても、群衆の流れに逆らえず、気付くとステージ前にいた。
そこでマイクだけで演奏する3人を見た。
横にいたイギリス人が歌詞をアラビア語に訳した。
そこで5人は、過去に縛られ目を背けていた明日を見たと言う。
自分達や家族や友達を排除するイギリスを憎んだ。だが、自分達もイギリスの家族や友達を排除しようとした。
憎んだイギリスと同じ事をしようとした。
それは違うと思った。
訳された歌詞が言った。
ー誰も切り捨てない。
誰も置いてきぼりにしない。
みんなで未来に行こう。その方法は必ず見つかる。
見つけようとしなかっただけだからー
誰も殺さなくて良かった。
あの日本人はきっと
アラーの使いだったに違いない。
「結果オーライ?」
帰国して、事務所で恭之助にリリアは言った。
「凄まじい勘違いだな。リリアがアラーの使いなら、みんなとっくに救われてる」
「持ってた武装が治安部隊に回収されたらしいけど、1000人以上の死者がでるとこだったって。その中に私達もいたよ。勘違いでもなんでも良いよ」
リリアは少し怒って言った。
「その歌詞。刑務所で、5人がアラビア語でカバーした動画が上がってるぞ。ビートボックスは彼等の方が上手い」
リリアはうなづいた。
「見た。あの人達が歌った方がふさわしいね」
恭之助は満足そうに笑った。
「それは大切な事だ。誰かにふさわしい歌を作れるようになれば、プロフェッショナルと呼んで良い」
リリアは音楽を始めた頃見た、憧れに1歩近づけた事を誇らしく思った。




