リリアントワネットその1
ーその1
イングランドポーツマスのダニエルストリートに有る、プレスルームバーの近く。
フリートアドミラルトウゴウと言うクラブで、リリアは途方に暮れていた。別便で送った楽器が届かない。
テロ情報でイングランドの全空港が閉鎖された為だ。
マネージャーの恭之助はフィメールサーバントのアメリカツアーに同行していて、テキサスに居る。
現地交渉役の安藤君がポーツマスの楽器店にレンタルを問い合わせている。
帰国子女で英語はネイティブだ。
「リリアさん。ダメです」
「日本人には貸せないって?」
「サウスポーツマスで、エリックマーフィーがバンド同時演奏のギネス記録に挑戦してまして、全部持っていったそうです」
「そりゃ頼んでも無理ね。記録が掛かってるんじゃ」
「どうします?」
「PCメールで恭之助君に問い合わせてるんだけど、返信見てみるね」
リリアはノートパソコンを開いた。
「……来てるわ。ギネスの話は知ってるね。ニュースになってるって。なるほど…」
「あきらめろと?」
「マイクは3本有る?」
「もっと有りますけど?なんです?」
「口でやれって」
「ビートボックスですか?無理でしょ。お客さん納得しませんよ。第一ここのオーナーがオッケーださない」
「電話でオッケーとったって。客はネットでアナウンス中」
「リョウコさんとミキさんビートボックスなんてやった事ないでしょ?」
「ユーチューブに、ジョージ今井さんに頼んで、ビートボックスアレンジ動画を上げるので完コピしろだって。無茶も良いとこ……でもやって見せなきゃね」
「恭之助さん得意のアジテーションプロモーションも兼ねてますね。イギリス人は乗ってくれますかね?」
「乗ったら乗ったで、5万人?どっちの地獄を選ぶかって話ね」
「とにかく。ライブスタートまで、あと4時間。二人を呼んできます」
安藤君はポーツマス見物に出て行ったドラムとベースを探しに行った。




