三人の帰り道
今日は野崎と飯田さん、そして私の三人で一緒に帰ることになっていた。
「センパーイ!お待たせしました。」飯田さんが来て三人が揃う。
「じゃあ、帰りますか。」野崎が言って、三人は足を動かし始めた。
今日、三人で帰ることになった原因は今日の昼休みでの会話にある。
昼休み、いつものように三人は屋上に集まって食事をしていた。
そのときの会話で、和正の名前があがった。正確には野崎が雪菜を茶化したのだが…。
すると飯田が和正の名前に食いついてきたので、雪菜が関係を尋ねたところ、飯田が和正の後輩だと言うことが判明した。
つもり和正は三人にとっての共通の知り合いだったのだ。
結果、放課後に三人で彼について話そうということになり現在に至る。
まぁ、私は私の知らない彼を知ることができるから損はないのでここにいるのだが…
「野崎先輩詳し過ぎです…」飯田さんが肩を落としながら言う。
先程から、私と飯田さんの間では、彼についての新しい発見や驚きがあるのだが、こいつ…野崎に至ってはどの話も基本的に知っているようでほとんど動じることがないのだ。
「まぁ、親友だからね。」野崎が言う。
「親友だと一日のスケジュールも知っているものなの…」正直、私でさえ動揺を隠せない。
「まぁ良いじゃないか、そんなことは。」
「「そんなこと」なの⁉︎ 」ですか⁉︎ 」打ち合わせたかのように揃って言う。
「でも、雪菜先輩が和正先輩の彼女さんだったなんてびっくりです。」
「そうかしら? でも私も和正くんの後輩さんに会えるとは思っていなかったから嬉しいわ。」雪菜はそんな会話をしながらの帰り道を少し楽しいと思った。
きっと彼がいなければこの景色は見れなかったと思い、雪菜は日の沈みかけた空を見て
「ありがとう。和正くん。」と呟いた。