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僕と彼
僕、野崎涙は友達がいない。
僕はぼっちだ。
いや、ぼっちだった。
そんな僕に初めて出来た親友、楠和正との出会いを語ろう。
僕は人が怖かった。
遠目から見ているとわかるのだ。
人の持つ個人の本質が、表向きはみんなが仲良くして見えるかもしれないが、それらの輪はもうボロボロだ。
それぞれがそれぞれに色々な感情を持っている。
例えば…好意、友情、嫉妬、憎悪敵意、そして殺意。
そんな危うい輪を取り持っているのは彼、楠和正だろう。
彼はクラス内で中立的な立ち位置にいると言えるだろう。
しかし、僕には彼がもっともわからなかった。
彼の発言、行動、笑顔、これらに僕は感情を感じられなかった。
僕は彼に接触した。
動機は興味や追求心だっただろう。
彼は言った。
自分は道化であると、中身のない空っぽの身体を満たす感情を欲していると、そして彼は続ける。
「僕に感情をくれないか? 」と、僕はこの時何を考えていただろうか? しかし、これだけは忘れない。
僕は言った…
「では先ず、僕と友達になってくれないかい? 」こうして僕は楠和正と友人になった。」