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白の王都 ホリティア

長らくお待たせいたしました。今になってやっと街に到着しました…

白の王都ホリティアにやってきたルミナリア達の行動が始まります…と言いたいところですが、また説明挟む部分があります。フィアナ先生、代わりに語ってくれて本当にありがとう…

では第5話です。どうぞ。

 食事を終えたルミナリアたちは、再び馬に乗りホリティアを目指していた。初めて乗った馬だったが、意外にも乗り心地が良かったことにルミナリアは驚いた。 

 三人が馬に揺られること二時間、昨日はあれほど遠く見えたホリティアも目前に迫っていた。ホリティアに近づくにつれ、視界には巨大な真っ白な壁が広がっていく。


「うわぁ……」

「ははは! 驚いたか? これは白の王都ホリティア名物、白き壁ってやつだ。これを初めて見たやつはだいたい今のルミナと同じような反応をするがな!」

「この壁のあまりの大きさに、旅人たちはこう言ったそうよ、見えているのに辿り着けないこの壁は蜃気楼かと思ったって。ルミナちゃんと出会った場所から徒歩で向かおうとしたら最低でも二日はかかってたのよ?」


 そう、実はルミナリアが目覚めてホリティアを見たとき、夕方には着きそうと思ってしまったのは、この壁のあまりの大きさに距離を錯覚させられてしまったからだった。


「この城壁はただ大きいだけじゃないのよ? この城壁はさっき話した神界戦争の時代からあったらしくて、強力な守護の魔法がかけられているらしいわ」

「話によると世界で一番女神の血を色濃く継ぎ、強大な魔力を持つ王族ですらこの魔法は再現不可能なんだとよ。つまり、この城壁を破壊できるやつは今の世の中にはいないってことらしいぜ」

「そしてこの城壁の存在こそが神界戦争が実際にあった証拠であり、この城壁にかけられている守護の魔法は神々の遺した魔法だと言われているの」

「でもって、丁度見えてきたあれが城壁に四ヶ所だけある門の一つだ」


 グリムが指差す前方には巨大な門があった。現在は昼間ということもあり開いたままになっており、門前には警備兵だと思われる鎧の人達がいるのが見える。


「そうだ、これバングルに巻いておくといいわ」


 そう言ってフィアナがルミナリアに渡したのは、赤いリボンだった。


「バングルってのは身分を周囲の人間にばらしやすくしちまうからな。お前のバングルはパッと見貴族だし、厄介なやつに狙われないとも限らないからな」

「そ、そっか……ありがとうございます……」

「一般的におしゃれ感覚で何か巻いてる人が多いから、こうしていれば目立たないわ」


 ルミナリアがリボンを巻き終え、一行が門の前までやって来ると、一人の警備兵が近づいてきた。


「おーい……グリムとフィアナちゃんか、角兎の駆除は終わったのか?」

「よぅ、ビルさん、俺たちが角兎なんぞに手こずらないっての」


どうやらこの警備兵、ビルはグリムたちの知り合いらしく、声をかけてきたようだった。


「はは! まぁそうだろうな! でだ、その女の子は誰だ? ……まさかさらってきたんじゃないだろうな?」

「バカ野郎! お前俺をなんだと思ってるんだ!? 」

「この娘はルミナリアちゃん。帰り道で角兎に襲われてたのを保護したのよ」

「あー……まさかその子の両親は角兎に……?」

「いや、それがその場にはこのルミナ一人しかいなかったんだ。話を聞いてみたんだがどうやら記憶喪失らしくてな?わかったのは名前くらいなもんだ」

「こんな子がたった一人で……? お嬢さん、ホントなのか?」


 そう言ってルミナリアに近づいてくるビル。


「はい、目が覚めたときには草原に一人でいて、持っていたのはこの杖だけでした。それで、遠くに見えたこの町に向かってあるいていたら角兎に襲われたんです」

「で、偶然通りかかった私たちが保護したの」

「そうか……大変だったな、まぁこうして命が無事だったんだ。よかったな、この子をどうするか決めてるのか?」

「あぁ、ちょいと神殿で力を借りるつもりだ」

「まぁそれが無難だろうなさて……」


 馬から離れるビルはルミナリアへにかりと笑い門をの向こうを指差す。


「ようこそ! 白の王都ホリティアへ!」










~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~











「わぁ……! すごい……こんなに人が!」


 門をくぐったさきにあったのは、石造りの建物の並ぶ大通りを埋め尽くす、見渡す限りの人、人、人。活気溢れるその光景にルミナリアは圧倒された。


「よし、まずは馬を厩舎に預けるとするか」


 門のすぐそばにある厩舎に向かう三人。その厩舎の受付にいた男にグリムが声をかけ、何やら手続きを行い、受付の男と戻ってきた。


「では、お預かりします」

「おう、……世話になったな。また頼む」

「ありがとう、ゆっくり休んでね」


 そう言って優しく馬を撫でるグリムとフィアナ。ルミナリアもそれにならい、馬の頭を撫でようとぷるぷると震えるほど背伸びするも手は届かない。その思いが届いたのかなんと馬が自ら頭を下げてきた。


「今思えば君たちがグリムさんたちをのせていてくれてから僕は助かったのかもしれないね。ありがとう」


 馬を撫でながら話しかけると。


「ブヒンッ」


 と、馬が鳴き声をあげた。それはまるで――いいってことよ。と得意気に言っているかのように感じるルミナリアだった。


 厩舎を後にしたルミナリア達は、大通りにやって来た。多くの人々か行き交う大通り、ただでさえ小柄になってしまったルミナリアにとって、この人混みの中を歩き回るのは一苦労だろう。そして、この人数だ。もしもここでグリム達とはぐれてしまうと再び会うことができないのではないだろうか。ルミナリアがそんな不安を感じていると、隣にいたフィアナがルミナリアの右手を握ってきた。


「ルミナちゃん、はぐれないように手を繋ぎましょ?」


 心のなかでは男としての悔しさを感じながらも、はぐれたくないのも事実であったため、素直に頷くルミナリアであった。


「よし、じゃあ俺は一度ギルドに行って依頼の報告に行くとするか。フィアナはルミナを連れて神殿に行っててくれ。俺も終わり次第神殿に向かう」

「わかったわ、じゃあルミナちゃん、行きましょうか?」

「はい。よろしくお願いします」


 グリムはルミナの頭をぽんぽんと撫でたあと、人混みのなかに消えていき、あっという間に見えなくなってしまった。 


「さて、私たちの向かう神殿はあれよ」


 フィアナが指差す方を見てみると、大通りを真っ直ぐ抜けた先に、周囲の建物よりも遥かに大きな建造物が見えた。そしてそのさらに先にはこれまた大きな西洋風の城が建っていた。


「フィアナさん、あの神殿の向こうにあるのはホリティアのお城ですか?」

「そう、あそこに住んでいるのがこのホリティアを中心とする白の国を統べる王族の方達なのよ」

「すごい……こんなの見たことない……」


 日本、いや、海外に行っても見ることはできなかったであろう光景はまさにファンタジーであった。


「離れないように手を離さないようにしてね? いきましょ」

「はい!」


 人混みの中を、ルミナリアから離れないように気を使って歩くフィアナ、その隣ではルミナリアもまた、繋がれた右手を離さないようにしながらもその足取りは楽しげだった。






 しばらく歩いたころ、あまりに多い通行人にもみくちゃにされそうになりながら歩くことになってしまったルミナリアは、左手に持つ杖と、右手に持つフィアナの手を離さないようにするだけでへとへとになっていた。


「わぷ……こ……これはちょっと大変ですね……今日はなにかお祭りでもやってるんですか?」

「今日はお祭りをやってなんてないわよ。でも確かに人が多いわね。たぶん10日後にこの王都で開催される、豊穣への感謝の祝祭、豊穣祭を見るために、各地から人が集まってきているからでしょうね」

「豊穣祭ですか?」

「毎年ここホリティアでは、この時期になると収穫の時期を迎えるの。そして、今でもこの世界を見守っている神々へ感謝を伝えるためのお祭りが開かれるの。それが豊穣祭よ。ほら、よく見ると屋台が出たりしてるでしょう?」


 きょろきょろと人ごみの隙間から周囲を見るルミナリア。すると、確かにその人ごみの向こうに、日本の祭りでも見たことがあるような屋台がいくつか出ていた。それと同時に、屋台に並ぶ人々の中に、ルミナリアの知る人間とは違う特徴を持つ人々が混じっているのを見つけることとなった。


「猫耳……!?」


 そう、今ルミナリアが見つめる先にいたのは、快活そうな猫耳の少女と、その友人らしい人間の少女が買い物をしている様子だった。ついその猫耳少女を見つめてしまうルミナリアと、偶然ルミナリアの方を向いた猫耳少女の視線が合った。見つめ合う形になってしまった二人。すると猫耳少女はルミナリアにウインクし、小さく手を振って友人と歩き去っていった。


「フィアナさん! フィアナさん! 今そこに猫耳の女の子が!」

「獣人族のことね、そっか、ルミナちゃんにそれも説明してあげてた方がよかったかしら。神界戦争のあと、女神の血を継いだ人たちの話しはしたわよね? それが現在の私たち、半神族になるの。で、その血を受け継ぐなかに、魔力を得る代わりに、この世界に独特の適応をしていく人々が現れたの。その1つが、獣人族。他にも色んな種族がいるんだけど、その辺りは落ち着いたときにでも教えてあげるわ。そして、多くの種族を一纏めににした括りとして人間族という言葉が使われているわ」


 この世界における様々な種族は、源流を同じとする存在のため、種族間の関係は良好なようだと判断したルミナリア。


「いつかさわってみたいなぁ……あの猫耳……」


 そして、元々動物好きであったルミナリアはその衝動にしばらく悶々とするのであった。










~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~











 再び人ごみに揉まれながら歩き続けた二人は、大きな広場のようになっている神殿の前に到着した。「や……やっとつきましたか……」

「おつかれさま、ルミナちゃん大丈夫? そこでちょっと休んでいきましょうか」

「は……はい……」


 息も絶え絶えなルミナリアを見たフィアナが休憩を提案する。疲れ切っていたルミナリアは素直に頷くのであった。


「ふぅ……この神殿、遠くから見たときも大きかったけど、近くで見るとまたすごいですね……」

「ここが白の王都の神殿、白の神殿よ。少し休んだら中に行きましょう」


 ここに、今の自分の状況がわかる手がかりがあるのかもしれない。そんな期待感を胸に、目前の荘厳な神殿を見上げるルミナリアだった。







いいですよね、けもみみ……

もふもふしたいですよね……

さて、神殿にやってきたルミナリアたちはどんなお話しをするのでしょうか!

また次回で会いましょう!


追記 連休だったので調子に乗って書きまくってしまいました!次回からちょっぴり更新速度落ちちゃうかもです……

11/14 一部内容変更しました。豊穣祭の事を追加しました。

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