魔法の使い方
さてさて、魔法初心者のルミナちゃんと、マイペースなアルルちゃんの戦い方は…?
第22話です。どうぞ。
ホリティアの街を出発したルミナリアたちは、今回はそこまで遠くには行かず、日帰りの予定だったため、徒歩で移動していた。移動を初めて三十分程たった頃、グリムが足を止めた。
「さて、この辺ならもういいだろ。ルミナとアルルに聞きたいんだが、お前たちはどう戦うんだ?」
「どう……と言われても……どうしよう?」
今まで平和な日本で暮らしてきたルミナリアに戦闘の経験などしたことがあるはずがなかった。そのため、戦い方などわかるはずもなかった
「そうね、もう知ってるとは思うけど、私は炎の魔術で遠距離戦をするスタイル」
「で、俺が剣を持って近距離戦ってところだな。つまり、自分になにが出来るのかってことだ」
「なるほど……じゃあ私にできるのは……これかな?」
ルミナリアは、そう言うと、杖をアルルメイヤに預けた。そして、魔法を発動させ、空中から剣を引き抜いた。
「うお!? なんだそりゃ!?」
「そういえばグリムはまだ見てなかったわね。この魔法はルミナちゃんが作った光属性魔法。現状だとルミナちゃん専用の魔法よ」
「ん、私でも真似できない」
「王家の人間にも出来ないって……まぁ、今はいいとして、ルミナ。その剣、扱えるのか?」
「……わかんない。今まで剣なんて振ったことないし……」
ルミナリアは、とりあえず剣を作り出したはいいが、もちろん剣を振った経験などなかったのだ。
「と、とりあえず振ってみろ……」
「わかった……えいっ! やっ! っとと!?」
ルミナリアの作り出した剣は非力なルミナリアには重いものだった。そのため、剣を振るだけでバランスを崩し、尻餅をついてしまった
「まてまて、こりゃ剣を振るのは無理そうだな……」
「うぅ……だよね……」
グリムに助け起こされながらルミナリアがしょんぼりする。
「まぁ誰にでも向き不向きはある。俺が魔法があまり得意じゃないのと同じようなもんだって。他にできることとかあるか?」
「他にできるのは……プロテクションとライト、あとヒール……うーん……」
ルミナリアが困ったように唸っていると、アルルメイヤがルミナリアの肩をちょんちょんとつついた。
「先に私の戦い方、見る?」
「そうだな。じゃあ、まずはアルルから行くか」
「そうね、アルルちゃんの戦い方も教えて頂戴?」
「うん、アルル。お願い」
「ん、見てて」
アルルメイヤは、指先を少し遠くにある大きめの岩へと真っ直ぐ向けると、呪文を唱え始めた。
「我が指先に宿るは裁きの雷――ホーリーボルト」
詠唱が終わると、指先に小さな光球が現れ、バチバチと弾けるような音が鳴り始める。そして。
ダァン!!
「うお!?」
「きゃあ!?」
「ひゃん!?」
アルルメイヤの指先から、閃光が放たれると同時に響く轟音。三人は、その衝撃に驚かされた。
「アルル、なにした……の……」
「うわーえげつねぇな……」
「これは……」
思わず目をつぶっていた三人が目を開けると、焼け焦げ、粉砕された岩がそこにあった。
「ん、どうかな?」
アルルメイヤが首を傾げながら三人を見詰める。
「うん、とりあえずアルルの魔法が凄いのはわかった……」
「そうね、光属性魔法に攻撃的な魔法の印象はなかったから驚いたわ……」
「欠点があるとすれば、目立つのと、発動させるまでに時間がかかるってところか。ま、この威力なら当然ってとこだろうなぁ」
「これが私に使える威力の高い魔法。一応他にも色々使える」
「すごいなぁ……私に出来るのはまだこれくらいだからなぁ……」
ルミナリアは、無詠唱でライトの魔法を四つ呼び出すと、光球が周囲を飛び回り始める。
「ル、ルミナちゃん、それも十分すごいことなんだからね……?」
「でも戦いには使えないし……」
ルミナリアが再び唸り始めると、その光景をみていたアルルメイヤの髪がピンっと立った。
「ん? アルル、なにか思い付いたの?」
「そうだけど……何でわかったの?」
「いやぁ……な、なんとなく?」
「そう? いいけど……」
アルルメイヤは不思議そうな様子だったが、思い付いたことを話し始めた。
「ルミナはすごく器用に魔法が使える。そんな風に魔法を自由に操作するのはとても難しいこと」
「そうね、単純な炎を真っ直ぐ飛ばしたりとかは簡単だけど、それを操作するのは難しいわ」
「そうなんだね……でもこれをどうするの?」
「ルミナ、ルミナスブランドも同じ魔法。作り出したものって飛ばせない?」
「……やったことないからわかんない」
ルミナリアは、ルミナスブランドを使って呼び出したものを飛ばす、と言った発想が無かったため、試したことがなかったのだ。
「やってみる……飛ばすもの……飛ばすもの……矢とかどうかな」
ルミナリアが自分の正面に手を伸ばし、空中に矢を作り出すと、それをライトの魔法のように浮かぶようイメージした。すると。
「……いけそう、だね」
その矢は静かに滞空し、その場にとどまっていた。
「ルミナ、そこから操作は出来るのか?」
グリムに聞かれたルミナリアは、その矢をくるくると回転させ、自分のイメージ通りに動かせることを確認した。
「うん、問題ないみたい」
「ルミナちゃん、そこの木に向かって飛ばしたりできる?」
フィアナが指差したのは、十メートル程の場所にある一本の木だった。
「やってみるね……飛んで!」
ヒュン!! ……ガッ!
ルミナリアが、フィアナに指示された木に向けて矢を放つと、その矢は鋭い音を立てて飛んでいく。そして、深々と木の幹に突き刺さり、消滅した。
「でき……た……」
ルミナリアが呆けたように呟くと、矢の刺さった場所を見ていたグリムが近くまで戻ってきた。
「ありゃかなりの威力なんじゃねーか? 今のなら実戦でも問題ないだろ」
「そうね、それにたぶん他にも色々な物が飛ばせるのだとしたら……うん、ルミナちゃんの魔法の可能性はかなりあるわね」
「ルミナ、おめでとう」
「……ありがとう!」
こうして、ルミナリアは攻撃の手段を手に入れた。
「よし、二人の戦い方もわかったことだし、進むとするか……実戦の経験のためにも、な」
四人は、移動を再開した。
ルミナスブランドは実は飛ばせたんです。
さて、次回ルミナちゃんたちの前に現れるのは…?
戦闘シーンとはいえないただの戦闘訓練で終わってしまいました…じ、次回こそは…
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では、また次回で会いましょう。




