表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/82

魔法の名前

前回、第18話を投稿した後、なんと初めてのレビューを頂きました!

そのおかげで、この小説をいつもより多くの人が読んでくださったみたいです!

感想まで頂いて……ありがたやありがたや……

読んでくれた人たちに「面白い!」って思ってもらえたらいいなぁ……


さて、そんなこんなで嬉しいもふーさんです

長くなりましたが、第19話です。どうぞ。

「ホントに色んなものが作れるね……これ便利かも」


 朝食を終えた後、三人はルミナリアの魔法の検証をしていた。ルミナリアが今手に持っているのは、キッチンにあったものを真似て作ったフライパンだった。


「私にも使えるかな? ルミナ、一体どんなイメージで魔法を使ってるの?」

「うーん……その物の形をイメージしながら魔力を手に集中、あとは掴んだものを引き抜く、かな?」

「ふむふむ……」


 アルルメイヤは、ルミナリア同様高い光魔法の適性を持っている。そのため、自分も同じことができないだろうかと考えた。


「んー……」

「アルルちゃん、どう?」


 難しい顔で唸るアルルメイヤ。フィアナが声をかけると、アルルメイヤは静かに首を振った。


「ダメ、私には出来そうにない」

「と、いうことはこの魔法は実質ルミナちゃん専用といっても良さそうね」

「そう……なの?」

「ええ、この世界で最高峰の光魔法の使い手の一人であるはずのアルルちゃんにも出来ないとなるとそう言ってもいいんじゃないかしら」

「ん、ちょっぴり悔しいかも。むぅー」


 フィアナの言葉にリスのように頬を膨らませるアルルメイヤ。


「ふふ、それでもアルルちゃんにはアルルちゃんの良さがあるわよ。あぁ……むくれたアルルちゃんも可愛いわ……ふふふ」

「ル……ルミナ……」

「盾にしないでよー!?」


 アルルメイヤは隣で怪しい笑み浮かべ始めたフィアナから逃げるようにルミナリアの後ろに隠れた。


「大丈夫、お姉ちゃんは二人とも大好きなんだから。ふふふふふふ」

「「ひっ…………!」」


 フィアナがじりじりと二人に近づいていく。それに合わせて一歩ずつ後ろに下がっていく二人。しかし、それにも終わりが訪れる。

 

「ル、ルミナ……押さないで、壁、くるし……」

「え!? だって……」


 そう、とうとう壁まで追いやられてしまったのだ。


「ふふふふふふ、お姉ちゃんと楽しいことしましょうねー?ふふふふ」

「「ひっ……!!」」


 ルミナリアたちは、フィアナから逃げることなどできず、フィアナの気がすむまで可愛がられるのだった。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






「ルミナ、ルミナ、ねぇ起きて」

「……はっ」


 虚ろな目をしていたルミナリアは、アルルメイヤに身体を揺さぶられて正気を取り戻した。


「よかった、死んだような目でぶつぶつ何かを呟き始めたときはもうだめかと思った……うぅ」

「そ、そんな危ない状況だったんだね……あ、服が変わってる……それに……」


 ルミナリアは、先日の買い物の時のように、フィアナに着替えさせられていることに気が付いた。そして、目の前にいるアルルメイヤは、今までの印象をがらりと変えるような可愛らしい姿になっている。ぼさぼさだった金髪もきちんと櫛が通され、寝癖など残っておらず、小さな青いリボンでツーサイドアップになっていた。


「ルミナ、どう……かな?」

「うん、アルル……可愛い……」

「……えへへ」

「そ、そういえばお姉ちゃんは? いまはまだお昼前くらいかな?」


 ルミナリアに誉められたアルルメイヤの微笑みに思わず赤面してしまったルミナリアは慌てて話題を逸らした。


「フィアナならちょっと買い物に行くって出掛けた。すぐ戻るって」

「そうなんだ……」


 フィアナは、二人を着せかえ終わると、朝食で使いきってしまった食材を買いに出掛けて行ったのだ。もちろんルミナリアにも声をかけていったのだが、その時のルミナリアは、とても返事ができる状態ではなかったようだ。


「じゃあ教本でも読んでようかなぁ」

「ねぇルミナ、さっきの魔法に名前はもうある?」


 ルミナリアが教本を読もうとしていると、アルルメイヤが話しかけた。


「名前?」

「ん、魔法の名前」

「そういえばなんにも考えてないけど……」

「じゃあ魔法に名前を付けてあげて。名前があると魔法はその役割をはっきりさせる。たとえ無詠唱なんだとしても、それは大事」

「魔法の役割……そっか、ただ火の玉を作るだけの魔法だとしても、それが周りを照らす灯火なのか、何かを燃やすための火なのか、それぞれに意味があるんだよね」


 ルミナリアは、フィアナの使っていたファイアボールとトーチの魔法を思い浮かべながら答えた。


「そう、だから名前をつけて役割をはっきりさせてあげる。そうしないと意味を失った魔法が暴走することもある。とても危険」

「わかった、じゃあ私の魔法にも名前をつけないとね。でもどんな名前にするといいんだろう?」

「ルミナの魔法はオリジナル魔法。だから、ルミナが理解できればそれでいい」

「そっか、じゃあクリエイトとか?」

「それは土属性魔法の基本魔法と同じ名前になるから変えた方がいいと思う」


 それから、いくつか名前を挙げるルミナリアだったが、その全てが他の魔法と被ってしまうものだった。


「基本魔法も色々あるんだね……」

「ん、誰もが使いやすくって理念で名前も付けられてるから」

「分かりやすい名前はそっちにつけられてるってことだね……うーん、アルルは何か思い付かない?」

「んー……この魔法は今のところルミナだけが使える魔法で、色んな物を作り出せる……うーん」

「私印の道具を作れるってことなんだよね」


 ルミナリアの言葉を聞いたアルルメイヤの(アホ毛)がピンと立ち上がった。


「アルル、なにか思い付いたみたいだね?」

「……なんでわかったの?」

「えっ……いや、なんとなく……」

(あの髪どうなってるんだろう……)


 どうやらアルルメイヤの髪は本人の意思とは別に動いているようだった。


「ん、まぁいいや。あのね、ルミナスブランドって名前どうかな?」

「ルミナス……ブランド……うん、なんかいいかも」

「じゃあもう一度呼んであげて」


 ルミナリアが魔力を手に集中する。そして、魔法の名前を告げる。


「きて、ルミナスブランド」

 

 ルミナリアが、何もない空中で握りしめた手をゆっくりと引き抜いていく。そこから現れたのは、先程までの道具より、一層強い力強さを秘めた一本の剣だった。


「これ、すごいね……ありがとう、これからも私に力を貸してね?」


 ルミナリアが、剣に話しかけると、まるで意思があるかのようにぼんやりと光を放ち、宙へと溶けていった。


「さっきより強い力を感じた。きっと魔法(その子)が自分の役割を理解したからだと思う」

「アルル、ありがとう!」

「ん……どういたしまして」


 丁度そのとき、玄関のドアが開いた。


「ただいまー」

「お姉ちゃん、おかえりなさい」

「フィアナ、おかえり」


 買いものから戻ったフィアナが荷物を片付け始めると。二人もそれを手伝っていく。


「あら、二人ともありがとう」

「ん、こういうの、いいな」

「アルル?」


 片付けをしていると、アルルメイヤが突然嬉しそうに呟いた。


「今までこんなこと無かったから……なんか嬉しい。もちろんとーさまやかーさまも大好きだけど、今の私たちは、近くにいるって感じられるから、嬉しい」

「アルル……」

「アルルちゃん、私もあなたがいてくれて嬉しいわ。今のあなたは私の家族だって思ってる。だからこれから色んなことをしていきましょう?」

「うん……うん!」


 普段無表情なアルルメイヤが、目元に涙を浮かべて笑う様子は、とても愛らしいものであった。こうして、フィアナの妹にアルルメイヤが加わったのだった。







と、いうわけでアルルちゃんが妹にされ……なりました。

まだなってなかったの?って思われないか心配ですけど……


さて、次回はルミナちゃんが治癒魔法に挑みます。


感想やご意見、誤字脱字の報告等ございましたらよろしくお願いします。

では、また次回で会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ