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不審者と新魔法

眠っているルミナちゃんとアルルちゃんに迫る怪しい影……


第18話です。どうぞ。

「よし、朝御飯はこんな感じね。それにしても、あの子達起きてこないわね……」


 翌朝、一番に目覚めたフィアナは、朝食の準備をしていた。フィアナの知る限り、ルミナリアはこの時間には既に目を覚ましているはずだった。


「んー……もしかして話し込んで夜更かしでもしちゃったのかしら? ふふ、昔を思い出すわ」


 フィアナは、シリルが実家に泊まりに来たときのことを思い出した。そのときのフィアナとシリルは、話し込んで夜更かしをしてしまったのだ。


「このまま寝かせておいてあげたいところだけど、魔法の練習のためにも起こしてあげなきゃね」


 フィアナは、キッチンを離れ、階段を上がると、ルミナリア達の部屋のドアをノックした。


「ルミナちゃん、アルルちゃん、朝御飯ができたわよ。そろそろ起きていらっしゃい」


 フィアナが、何度かノックしながら呼び掛け、しばらく待ったが、返事はなかった。なので、フィアナは直接起こすことにした。


「仕方ないわね、入るわよー?」


 フィアナがドアを開けると、ベッドの上で抱き合うようにして眠っている二人がいた。


「こ、これは……」


 そう、フィアナの目の前には、可愛くて仕方ない妹たちの天使のような寝顔が並んでいるのだ。


「んぅ……」

「すぅ……すぅ……」


 二人は部屋に入ってきたフィアナに全く気づくことなく眠り続けている。それを見ているフィアナの顔が緩んでいく。


「ルミナちゃーん、アルルちゃーん……ふふふふふ、これは起こそうとしてるだけなんだから」


 フィアナのその声は、二人を起こさないようにしているとしか思えないほど小声だった。そして、ドアからベッドへとじりじりと距離を詰めていくフィアナ。一歩間違えば完全に不審者な見た目である。


「ふふ、ふふふ……」

「んー……?」


 フィアナがベッドの真横、手を伸ばせば二人に触れられる位置に到達すると同時に、ベッドの上のアルルメイヤがもぞもぞと動く。それを見たフィアナがピタリと動きを止める。


「ん、すぅ……」

「ぅぐっ……」


 アルルメイヤは、目覚めることなく、しっかりとルミナリアを抱きつき直すと再び寝息を立て始めた。しかし、逆にルミナリアが苦しそうな声をあげ動き始める。


「うぅ~……くるし……んー」


 そして、ルミナリアの目がゆっくりと開かれていく。

 

「……んぇ?」


 ルミナリアの目の前にあったのは、怪しい笑みを浮かべ、手をわきわきさせている不審者(フィアナ)だった。


「ひっ……!」

「あっ」


 一瞬、時間が止まった。


「きゃあああああああああああああ!!」


 ルミナリアの手が空を掴む、すると、そこに現れたのは一つの光の束。よく見るとそれは、重ね重ね折られ、ルミナリアの手元から先にいくにつれて扇状に広がっている。ルミナリアはその手に現れた物を、目の前にいた不審者に叩きつけた。


「へぶっ!?」

 

 パァン!という快音を響かせ壁まで飛んでいき、動かなくなったフィアナ。


「はぁ……はぁ……はぁ……ってなにこれ? ハリセン……?」


 そう、ルミナリアの手の中にあったのは、神聖な気配を纏うハリセンだった。


「ん、うるさぁぃ……」

「あ、アルル。ごめんね、起こしちゃったね」


 今の騒動でアルルメイヤがようやく目を覚ました。


「ルミナ、おはよ……それ、なに?」


 アルルメイヤが、眠たげに目を擦りながら、ルミナリアの手に握られたハリセンを指差す。


「えっと……起きたら目の前に怪しいお姉ちゃんがいて、気づけば持ってたんだけど……あ、消えた」


 ルミナリアが、説明していると、手に持っていたハリセンは、宙に溶けるようにして消えていった。


「今の……魔法なの?」

「たぶん?」


 ルミナリアにもはっきりとはわからなかったが、突然現れ、そして消えた今のハリセンは魔法の産物なのだろうと思っていた。


「私そんな魔法知らない……」

「とりあえず、そこのお姉ちゃん起こそっか」

「ん、わかった」


 ルミナリアとアルルメイヤは、ベッドから降りると、床に転がっているフィアナに声をかけた。


「お姉ちゃん、起きて、というか大丈夫……?」

「フィアナ、フィアナ、起きて」

「う……はっ!?」


 二人が声をかけると、フィアナはすぐに目を覚ました。


「お、おはよう、ルミナちゃん、アルルちゃん。起こしにきたわよー……?」

「えー……」


 ルミナリアは、先程の怪しい笑みを浮かべていたフィアナを思い出し、白い目を向ける。


「あ、朝御飯にしましょ! すぐに降りていらっしゃい!」


 フィアナは、その視線から逃げるようにして慌てて去っていった。


「ルミナ、とりあえず朝御飯食べながらさっきの魔法について話そう」

「そうだね。改めておはよう、アルル」

「ん、おはよー、ルミナ」






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






 二人が一階に降りると、フィアナが朝食を用意して待っていた。


「お姉ちゃん、おはよう」

「フィアナ、おはよー」

「おはよう、二人とも夜更かしはダメよ?」

「私はいつも通り寝たけど……朝は苦手……」

「アルルちゃんはやっぱりそうなのね、昨日も遅れてきたしそうじゃないかなーって思ってたのよ? ルミナちゃんは?」

「私は……ちょっと寝付けなくて……」

「あら、そうなの? まぁそんな日もあるわよ。さ、朝御飯にしましょ。さっきの魔法についても話したいし」


 フィアナに促され、椅子に座るルミナリアとアルルメイヤ。


「ねぇ、ルミナちゃん。さっきのって魔法……よね?」

「うん、そうだと思うけど……また無意識で使っちゃったみたい」 

「私、今まであんな魔法見たことないわ。アルルちゃん、王族のあなたなら光属性魔法に詳しいんじゃないかな?」


 フィアナが、アルルメイヤに問いかける。


「私もあんな魔法は見たことない。だから、ルミナのオリジナル魔法だと思う」

「やっぱりそうなのね、光を物に変化させるなんて聞いたこともないもの」

「オリジナル魔法ってなに?」


 やっぱり、と言った表情で話すフィアナとアルルメイヤ。会話についていけていないルミナリアが質問をする。


「そうね、ルミナちゃんにはその辺りはまだ教えてなかったわね。ライトやトーチみたいな教科書に乗ってるような魔法は、スタンダード魔法とか基本魔法って呼ばれているの。これらの魔法は、誰でも使いやすいようにって考えられた魔法なの」


 フィアナの説明にふむふむと頷くルミナリア。


「じゃあオリジナル魔法っていうのは、その基本魔法に分類されない魔法ってことなんだね」

「そうよ。普通なら基本魔法に自分なりのアレンジを加えていって初めてオリジナル魔法とか独創魔法とか呼ばれるのよ」

「でも、ルミナの魔法は基本魔法とは大きく外れ過ぎてる。いったいどうやったら光を物質に変換できるの?」


 光の物質化は、ルミナリアと同じく光属性魔法に高い適性を持つアルルメイヤですらできないことだった。


「ルミナちゃん、さっきのってまたできそうかな?」

「わからない……ちょっとやってみるね」


 ルミナリアは、目を閉じると、先程と同じようなハリセンをイメージした。そして、魔力を手の先に集め握りしめる。そこには確かに何かを掴んだ感触があった。


「……えい!」 


 ルミナリアは目を開くと、その手の中にある感触を信じ、宙から手を引き抜く。


「……できたみたい」


 その手には、神々しくぼんやりと光るハリセンがあった。ルミナリアが二人を見ると、驚きを通り越し、呆れるような表情をしていた。


「何か、しちゃった?」

「ルミナちゃん……あなたとんでもないことしたって自覚ある?」

「え?」

「ルミナ、基本魔法の派生でないオリジナル魔法を無詠唱発動。魔法の研究家たちが泣く」 

「えー……」

「でもルミナちゃんのそれは、今後大きな力になってくれそうね。今後も練習していって損はないと思うわ」


 こうして、ルミナリアは無自覚のまま、新魔法を創造してしまったのだった。







と、言うわけでできてしまった魔法がまさかのハリセン……

これでいいのか光魔法

きっとルミナちゃんがさらにアレンジしてくれます。

きっと。


第五回ネット小説大賞に登録してみました……自分の作品がどう評価されるのかって怖いですけど楽しみでもありますね!


感想やご意見、誤字脱字の報告等ございましたらよろしくお願いします。

では、また次回で会いましょう。

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