鏡に映るもの
う、うーん…この内容大丈夫かなぁ…でもやりたい話の一つではあったし…
うーーーーーむ……
と、とりあえず悩みながらな第9話です、どうぞ…
三人が食事を終え、店の外に出るころには、すでに日は沈み夜となっていた。夜の街は、現代日本のような街灯が一切なく、ところどころに吊るされた光を放つ水晶のような物が取り付けられたランタンが道を淡く照らしているのみだった。
「月が二つある……」
ルミナリアが夜空を見上げ小さくつぶやく。そこには、視界を遮るものがほとんどなかったため、視界いっぱいに広がるのは星と、赤と青の2つの月が浮かぶ光景。その夜空はとても美しいものだった。
「あー食った食った……さてと、お前らはこれからどうするんだ?」
満足げな顔をしたグリムは、お腹をさすりながらフィアナとルミナリアに問いかけた。
「そうね、時間も時間だし、今日はお開きね。ルミナちゃんは私の家に泊めてあげるからね」
「はい、お世話になります」
「よし、じゃあそうと決まれば俺も帰るとするか」
グリムとフィアナの家は逆方向になるため、家に帰るならばここで別れることになるのだった。
「明日からは予定通り豊穣祭が終わるまで休暇だ、何かあれば連絡くれよ。じゃあな」
「えぇ、じゃあね」
「グリムさん、ありがとうございました」
グリムは片手をひらひらと振りながら歩いて行った。
「じゃあ私の家に案内するわね、行きましょう」
「はい」
(フィアナさんは貴族の生まれって言ってたっけ……もしかして家もすごく大きかったりして……)
ルミナリアはフィアナの家への想像を膨らませながら、フィアナと歩き始めた。
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「着いたわ、ここが私の家よ」
20分程歩いた場所にフィアナの家はあった。
(意外にも普通だ……)
そう、そこは、ルミナリアの予想に反し、こじんまりとした木造の家であった。フィアナは扉の鍵を開け、ルミナリアを中へと促した。
「いらっしゃい、中へどうぞ」
「お……おじゃまします……」
家の中は、ダイニングキッチンとなっていた。テーブルや棚などに飾られた可愛らしい小物は、フィアナの趣味なのだろう。まさに女性の部屋というものだった。
(なんだかいい匂いがする気がする……って何を考えてるんだ僕は! 今思えば女の人の部屋に入るのなんて優羽の部屋以外じゃ初めて……と言うかここに泊めてもらうってことは……二人きりってことじゃないか!?)
心の中であわあわとするルミナリアの後ろで扉を閉めたフィアナは、部屋の中を歩いていき、着ていたローブをハンガーラックへとかけた。
「さてと、三日間も街の外で野宿してたから今日はゆっくり眠れるわね……なによりお風呂が恋しかったわ。ルミナちゃん、お風呂先に入っちゃっていいわよ。 それともフィアナお姉さんと入っちゃう?」
冗談めかしてルミナリアへウインクするフィアナ。一方ルミナリアの頭の中はパニックとなっていた。
「お……おふ……お風呂ですか!? 僕、あの、えと一人で入れますというかあのその……」
(女の人とお風呂なんて無理!!! というか今の僕の身体は女の子なわけでー!! どうすればいいのー!!)
「真っ赤になってるけど大丈夫……? ここが脱衣所で、お風呂はそっちの擦りガラス扉の先よ。着替えは……サイズが合わないでしょうけど私の服の中から着られそうなものを探しておいてあげるわ」
怪訝な表情をしながらも、部屋の奥にある扉の先の脱衣所へルミナリアを案内するフィアナ。ルミナリアはいつまでも立ち止まっているわけにもいかず、促されるままに扉をくぐった。
「じゃあ私は服を探してきてあげるわ、服はそこに置いてある籠に入れておいてちょうだい。タオルはそこの棚にあるからね。あ、お湯は中にある赤い板を触れば出てくるわ、石鹸なんかも使っていいからね、じゃあね」
そう言い残すと、フィアナは扉を閉めてしまった。取り残されたのは、真っ赤になったままのルミナリアだけだった。
「どうしよう……」
こうして、ルミナリアの孤独な戦い(?)が始まった。
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「と……とりあえずいつまでもこうしてるわけにはいかないし……服を脱がなきゃ……だよね……」
そう言って、ルミナリアが着ていたワンピースの肩ひもに手をかけた。
「自分の身体なんだ……いつかは見ることになってたんだ……いくぞ……!」
目を閉じ、静かな決心を胸にワンピースのスカート部分を持ち上げ頭から脱ぎ横に置く。そして、その決心が鈍らないようにと、その手を止めず一気に穿いていたパンツを下ろした。
そして、ルミナリアはゆっくりと目を開け、正面にあるお風呂場の擦りガラスの扉の中へと飛び込んだ。そして見てしまった。
「うわあぁぁぁ……」
ルミナリアの視界には控えめな胸元のふくらみの先にある二つのピンク色のぽっちと、ほっそりとしたお腹、そしてどうやら毛が生えていないらしい下腹部をしっかりと映す鏡があったのだ。
発育がいい方とは言えないだろうが、視界にとらえるその身体は間違いなく産まれたままの女の子。真っ白な肌と上気した頬、そして流れる銀髪を備えたその姿は紛れもない美少女だった。
「ううううううう!」
現実を直視し、蹲るルミナリア。男の身体のままだったならばこの姿を見た際に、体の一部分が反応していただろうが、今のルミナリアには縁のないものであった。ルミナリアがそんな状態でいると、脱衣所の方から扉が開く音が響いた。ルミナリアが擦りガラスの扉の方を向くと、扉越しから、フィアナの声が聞こえてきた。
「ルミナちゃん、服はここに置いておくわね。私は向こうにいるから、何かあったら声をかけて頂戴」
「は……はい! ありがとうございます!」
そして、再び扉が閉まる音が聞こえてくる。
「フィアナさんを待たせるわけにもいかないよね……よ……よし……」
ルミナリアは立ち上がると鏡の横についていた赤い板に手を伸ばした。
「これを触ればお湯が出るんだよね?」
ルミナリアがそっと赤い板に触れると、その板がぼんやりと光り始め、壁に設置してあるシャワーヘッドから温かいお湯が降り注いできた。
「えっと、これが身体を洗う石鹸で……こっちの緑色の石鹸が髪用か……」
しばらくの間、そのお湯を浴びていたルミナリアは、鏡を中心に、赤い板があった方とは逆の位置に置いてある二つの石鹸を見ていた。丁寧にも、石鹸入れに使用用途が書いてあったため、迷うことはなかった。
「まずは髪から……泡立ててから洗っていけばいいんだよね?」
緑色の石鹸を手に取ったルミナリア。その石鹸はすぐに手の中で泡立っていった。石鹸を元の場所に戻し、泡で髪を洗っていく。
「これだけ髪が長いと大変だ……」
今まで通りならば、シャンプーを手に取りガシガシと頭を洗うだけだったルミナリア。しかし、今はそうはいかない。優羽の髪の手入れをしていた時によく彼女が言っていたのだ。髪を洗うときも丁寧にやらなければ、逆に髪にダメージを与えてしまうだけなのだと。そのことを覚えていたルミナリアは、それに倣い、優しく、そして恐る恐る髪を洗っていった。
「髪はこれでいいよね……?次は身体を洗わなきゃ……はぁ……」
髪を洗い終わり、再びシャワーを浴びて泡を落としたルミナリアは、白い石鹸を泡立てながらため息をついてしまった。先ほど同様石鹸はすぐに泡立ち、石鹸を戻すルミナリア。
「……(ゴクリ)」
生唾を飲み込み、泡が乗った右手を肩に乗せ、そのまま左腕から指の先までその手を流していく。それが終われば、左手を右手の肩へとやり、指先まで流していく。そして、その手を身体の前、胸の上に当てる。
「これは自分の身体これは自分の身体仕方ない仕方ないんだ……えぇい!」
ぶつぶつとつぶやきながら、手を滑らせていく。控えめな胸の上を手が通る。そのときルミナリアの両手には確かにその感触があった。
――ふにゅん。
そう表現できるだろう、未体験の柔らかな感触が。ルミナリアは思わず、もう一度手を滑らせる。
――ふにゅん。
「ぁ……」
指先がピンク色の突起を滑り抜けると同時に小さく声が漏れてしまう。
「……いやいやいやいや……早く終わらせよう……」
その感覚をもう一度感じたい、と思わず繰り返しそうになりながらも首を振り、次の場所へと手を伸ばすルミナリア。しかし、その手は再び止まってしまった。
「ここも洗わなきゃいけない……よね……」
ルミナリアは恐る恐る自分の股間へと手を伸ばしていく――
「んぁっ……!」
ルミナリアの指が柔らかなそこをなぞると同時に、自分の口から出たとは信じられないような甘い声が漏れる。
「今の……だめなのに……んんっ……」
先程胸の上を手が滑っていった時とはまた違う感覚が、ルミナリアの身体中に走る。背徳感を感じながらも、止めることのできない指先がそこを優しく撫でる度に、シャワーのお湯とはまた違った温かな湿り気を帯び始めていく。身体中に広がっていくふわふわと浮かぶような感覚。その感覚が広がると同時に、もやがかかったかのように思考がぼやけていく。
「や……んん……」
ルミナリアの吐息混じりの小さな声は、風呂場に響く水音に紛れていく。
ルミナリアの手が止まったのは、その身体からくたりと力が抜け、なんとか声を噛み殺しながらその場にしゃがみこんでしまったときだった。
その後、結局、ルミナリアがお風呂から出たのは、身体を洗い始めて40分程たってからであった。
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「あ……あがりました……」
「あぁぁ……可愛い……ふ、服の大きさもなんとか大丈夫そうね、でも、下に穿けそうなものは見つからなかったの……ごめんなさいね? それにしても長かったわね? そんなに気持ちよかった?」
「!?……えぇと、ああああああああの……あっ!はい!」
真っ赤になりながら慌てるルミナリアだったが、それがお風呂が気持ち良かったのかと問われたことに気が付き、慌てて頷いた。
「明日は街に服を買いに行きましょう、じゃあ私もお風呂に入ってくるわ」
「はい……ありがとうございます」
ルミナリアが現在身に着けているのは、フィオナのブラウスとパンツのみだった。だが、袖が余ってしまっておりルミナリアの手は何とか指先が出るのみだった。そんなルミナリアを見た瞬間のフィオナの怪しい視線と小さな呟きに気づく余裕は今のルミナリアにはなかった。
脱衣所の扉の向こうにフィアナが消えて行くのを見送ったルミナリアは、椅子に座り、テーブルへと突っ伏した。
「これから毎日こんななんて……誰か助けてぇ……」
その小さな呟きは、誰にも届くことなく消えて行った。
あああああああ大丈夫かな……
もっと控えた方がよかったかな…それともいいぞもっとやれだったかな…
教えて女神さま読者様……
引き続き感想や誤字の報告等お待ちしております。
で、ではまた次回で会いましょう……
ホントに大丈夫かなぁ……(汗)
11/19 何故か加筆しました
何故だ!!




