ロワン村1
「着いたー!」
「クレアうるせぇ」
「そういうユウェルも昨日楽しみすぎて寝れてないって知ってるよ」
「寝たし!3時間くらい…」
「それ寝たって言いませんから」
「村の前で騒ぐな」
この村は国境付近ということもあり人の往来がほとんどない。よってこうやって騒いでいると注目されるのだ。
「そこの方、私たちは国から派遣されたものだ。村長の家はどちらか教えて貰ってもいいだろうか」
そうして教えてもらったのは村の最奥にある大きな家だった。
「よくこの村に来てくださいました。ありがとうございます」
「いえ、この国のことであれば親身に応じるのが王の勤めだと国王は仰っていました。我々も出来る事は致します。村民に情報提供をしてもらいたい」
「えぇ。みんな心を痛めております。特に最近いなくなってしまった子と一番仲の良かった子がいたのですがその子はめっきりふさぎこんでしまって…」
「後でその子の家を教えて貰っていいですか?」
「えぇ。この村の地図をお渡しいたします。消えた子供たちの家と仲の良かった子たちの家の場所をわかりやすくしておきました。ご活用ください」
「わざわざありがとうございます。」
「いえ…村の子達はみんな家族です。子供たちの親の代わりに言います。どうか、見つけてください。たとえ死んでいたとしてもこの村に帰ってきて欲しいんです」
「お任せ下さい。我々一同全力で見つけ出します」
「滞在中はこの家の横にある別館をお使い下さい。手狭かも知れませんが…」
「お構いなく。用意して下さるだけで充分嬉しいです。ではそちらに荷物を置かせてもらってから聞いて回ることにします」
「はい。ライ、案内して差し上げなさい」
「はーい」
ライという少年に案内され一同は別館に向かった。案内された別館は大きく各人に個室が用意されていた。
「ふぇ〜…手狭って言ってたけどひっろーい…」
「すげぇ!大浴場だ!」
「こらこら、クレア、ユウェル、話し合い始めるからこっちきなさーい」
『はーい』
「さて、当初の予定通り行こう。」
「…オルハ、私聞き取り終わったらこの村で前にもこんなことがなかったか調べてみてもいい?」
「ふむ…そうだな、手がかりが増えるかもしれん。許可する」
「ありがとう」
各々がやるべき事のために動いた。
「さて…唯一の目撃者。ヨアって子のとこに行こうか」
(ヨア。歳は数えの8。女の子でいなくなった男の子と一番仲が良かった子。)
「辛いだろうなぁ…」
(着いた。よし、行こう)
コンコン
「ごめんください。ヨアちゃんのお宅でしょうか?」
「はい。」
「ヨアちゃんのお母さんですか?」
「はい。ヨアのところに案内します。あとでお茶をお持ちいたしますね」
「ありがとうございます。」
ヨアの部屋は玄関から一番遠いところにあった。
「ヨア入るわよ。お客さんがいらっしゃったの」
ヨアの母はそれだけ言って部屋の扉を開けた。
「…」
「すみませんね。ラキシュがいなくなってからこうなってしまって…」
そこにいたのは村長からもらった資料通りのはずの女の子。部屋の隅でうずくまり何も見えてないようなうつろな目をしていた。
「…しばらく二人きりにしてもらえますか?怪しいことは絶対しないと約束します。」
「わかりました。とりあえずお茶を持ってきますね」
「ありがとうございます。」
そうやって話してる間もこっちを見てはいても現実を見ていないような感じだった。
(とりあえず…話しかけてみようか。)
「はじめまして。私はセレンっていうの。セレン・ライテス。名前を教えてくれるかな?」
「…ヨア・イルテイラ」
感情のこもらない声でヨアは答えた
「いい名前だね。ヨアちゃんって呼んでいい?」
無言で頷く。
「あなたは…なんて呼べばいいです。か?」
「私はセレンって呼んでくれたらいいよ」
「わかった。ました。」
「入りますね。」
「あ、はい。開けます」
「ありがとうございます。」
ヨアの母はお茶を置くだけ置いて出ようとして途中でセレンに近寄り話しかけた。
「娘は、よく笑う子だったんです。出来ることなら、笑顔を取り戻して欲しいんです。」
「はい。できうる限り努力します。」
そしてヨアの母はお願いしますとだけ言い部屋を出ていった。
「さて、話も聞かなきゃだけど…その前にやることやらなきゃね。」