見つけた、私の居場所【カレン編】
彼女はずっと夢見てきた。
教師になることを。
長い髪を風になびかせ、歩みを止めた。
「ここ…か…。」
ボロボロになった地図を握りしめ、大きなカバンを重そうに抱えながら彼女、カレンは見上げた。
自分の背丈の2倍はあろう校門。
その堂々たる門には、どこか古びた文字で「私立春霞学園」と書いてあった。
「はわわわ、こ…ここで間違いないよね?あー、緊張してきた!」
足元をソワソワさせながら、荷物を握りしめる。
カレンの胸の高鳴りはどんどん大きくなっていった。
「よ、よし。行くのよ、カレン!引き返せない、んだから!」
そう自分に言い聞かせて、ゴクリとつばを飲む。
目をギュッと瞑り、大袈裟なくらい右足を上げる。
自然とそののまま踏み出す大きな一歩。
また一歩。
まるで、歩き方を知らないロボットのように異常な歩幅でその校門を入った。
すると、カレンはピタリと止まる。
「あああっ…入っちゃったよおぉ…ど、とうしよ……怒られたりしないかな…」
緊張と未知の恐怖と…持ち前のネガティブシンキングで、そこから動けなくなるカレン。
目の前には、ずっしりと構えた4階建ての校舎が、まるで、カレンを見下ろすように建っている。
正面玄関は目の前なのに…今のカレンにはそこまで進む勇気がなかった。
しかし、ここでずっとこうしているわけにもいかない。
そうは分かっていたが、1歩が進まなかった。
「あっ!こんにちは!新人教員のかちですか?」
不意にカレンの背後から声をかけられる。
「ひぃっ!!!?」
驚きのあまり、息が泊まるような声を出すカレン。
「ご!ごめんなさい。…大丈夫?」
声の主は、そのカレンの声に一瞬ビクッと驚くも、カレンの心情を察するとスッと少し距離をとって前に回りこむ。




