昔々あるところに_017
昔々あるところにモグさんという貧しい青年がおりました。
モグさんは黒猫堂という骨董品屋で不思議な地図を見つけました。
「宝の地図(本物)」です。
それは、手書きの古地図であり、筆で書かれた達筆の文字で埋め尽くされていました。
しかし、その地形はどこかで見たことがあります。
しばらく凝視していて、それが自分の住んでいる町内の地図であることがわかりました。
しかし、奇妙なことに、屋敷の一角に赤い字で『宝』(金蔵)と書いてあるではありませんか。
モグさんは『これはもしかして宝のありかを示した地図ではないか』と思いました。
そこで、黒猫堂の店主に尋ねました。
「この宝の地図(本物)というのは本当ですか?」
「本当だニャ」黒猫堂の店主は猫でした。
「売ってください。買います」
「じゅうまんえんだニャ」
モグさんは全財産10万円をはたいて、その地図を購入しました。
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宝の地図を現在のモノと照らし合わせ、その場所には人が住んでいることがわかりました。
モグさんは宝のありかまで、トンネルを掘ることにしました。
少しずつ、少しずつ、毎日泥だらけになって掘り進めました。
そして三ヶ月が経過したとき、
ボコッ!!
ようやく狭い空間につながりました。
しかしその瞬間。何ともいえない臭気がモグさんを襲いました。
「な、なんだこのにおいは……もしかして、ここは!」
モグさんはその空間の上を見ました。
すると、黒い猫のお尻が見えました。
猫は板張りの丸い穴の上にいて、今まさにお尻からうんちを出す瞬間でした。
ぶりっ
ぼとっ!!
ぶりっ
ぼとっ!!
そして、そのあと四角い紙でお尻を拭きました。
ぱりぱり
その紙はそのままくしゃくしゃに丸められて、ぽとんと落ちていきました。
モグさんは、懐中電灯で、下の方を照らしてみました。
すると糞尿にまみれた山のような1万円札が堆積していました。
「宝の山だ!!」モグさんは喜びました。
そしてその山に手を伸ばしてこそげ落とそうとしました。
そのとき
ピシッ!
「にゃあああああああああああ!
マイマニィだにゃあああああ!!!!
だれにもわたさんにゃあ!!!!!」
ムチが飛んできてモグさんの手から札束を奪い取りました。
モグさんはバランスを崩して、横穴から落ち、便器の底に
どっっぽおおおおおおおぉぉぉぉぉぉんんんん!!!
とはまってしまいました。
ああああああああああああああああああああああああああああああああああ