:Episode1 呪いの書
Episode:1
呪い真書を手に入れた。冒頭にこう書いてある。
「これに書かれてある手順を実行すると呪いが成就するが、手順を間違えるとその呪いは自分に返ってきます。あなたはそれでも実行しますか?」
勿論だ。俺には許せない奴がいる。だからこそ、この呪い真書を手に入れたのだ。
俺は呪いの手順を始めた。
「1.まず始めに、目を閉じて、呪いたい相手の顔を思い浮かべます」
忘れたくても忘れられるものか、と俺は奴の顔を思い浮かべた。
よし、次だ、どれどれ……。
「2.どんな呪いをかけたいのか思い浮かべます」
考え付く全ての苦痛を与え続けてやる。よし、次だ。
「3.最後に目を開けます」
End...
Episode:1-2
友達が小学生のとき、学校の大きな遊具(滑り台やらうんていやらが合体したアスレチックみたいなやつ)があったらしい。
で、長放課になるとその遊具で遊ぶ生徒が多かったそうだ。
ある日、その遊具で怪我人が出た。
遊具から落ちて「足が痛い」と言っていたらしい。両手で遊具の柱を掴み身体を支えて片足で立ち上がったらしいけど、歩けないようだったから何人かの生徒が保健室に連れていった。
そしたらそのとき保健室には先生がいなくて、しばらく一緒に遊んでたみんなで付き添ってたらしい。
20分ほどしてようやく戻ってきた保健の先生が病院に連れていくと、
落ちた子は両手両足を複雑骨折してて、しばらくしてから障害者施設に移っていったそうだ。
話し終わってから友達は意味ありげに笑っていたんだが、聞いた時は何が怖いのかわからなかった。
わかってから何か怖くなったよ。
End...
※解説は後書きにあります。
Episode:1
呪いの順序をよく見返して下さい。
『1.まず始めに、目を閉じて、呪いたい相手の顔を思い浮かべます』
『2.どんな呪いをかけたいのか思い浮かべます』
『3.最後に目を開けます』
つまり、目を開けるのは、最後。1から3の間では、目を開けてはいけません。
しかし、この実行した人物は、
よし、次だ、どれどれ……。
と、目を開けて確認したということになります。
よって、彼は呪われました。
Episode:1-2
文を読んでいれば解ります。
怪我をした友達は最初、足が痛いと言っていました。
何人かが保健室に連れていき、先生が病院へ連れて行った時には、友達は、両手両足を複雑骨折していました。
つまり、保健室で先生を待つ間、何人かが、友達に更に怪我を負わせたということです。
結果、友達は、障害者施設に行くことになりました。