:Episode6 エレベーター
Episode:1
その友人は高層マンションに住んでいます。
彼は14階に住んでいるためエレベーターは必須なのですが。
夜中に帰宅したときのことです。
エレベーターに乗って14階のボタンを押し、ドアが閉まり動き出したところ、8階のボタンのランプが点灯したそうです。
『あぁ、誰か乗ってくるのか…』
そう思った直後、ハッとした友人は慌てて2階3階4階5階とボタンを連打した。
エレベーターは2階は通過してしまったものの、3階で止まってくれたので開きかけのドアをこじ開けるほどの勢いで外に飛び出しました。
そのまま階段を駆け降りてマンションをあとにして、朝までコンビニで立ち読みしていたそうです。
『まぁ、俺の思い過ごしだと思うけど、万が一ってこともあるしなww』
そう言った友人は、しかし夜間にエレベーターを使うのは今でも控えているみたいです。
End...
Episode:1-2
ベトナム戦争から家に帰る前夜、青年兵士は自宅に電話した。
「明日帰るんだけど、他に行くところがない友達を連れて帰りたいんだ。家で一緒に住んでもいいかな?」
息子の帰還報告に狂喜した両親は、勿論! と泣きながら答えた。
「でも、一つだけ言っておきたいことがあるんだ。彼は地雷を踏んでね、腕と足を失ってしまったんだよ。でも僕は彼を家に連れて帰りたいんだ」
その台詞に、両親は押し黙ってしまった。
「数日ならいいけれど、障害者の世話は大変よ。家にいる間に、そのお友達が住める所を一緒に探しましょう。あなたにも私たちにも自分達の人生があるんだから、そのお友達の世話に一生縛られるなんて無理よ」
やっとのことで母親がそれだけ言うと、息子は黙って電話を切った。
翌日、警察から電話があり、青年兵士の両親は、彼がビルの屋上から飛び降りて死んだことを知らされた。
End...
※解説は後書きにあります。
:Escape1
自分がエレベーターに乗っている時を想像して下さい。エレベーター内にあるボタンは、中にいる人が行きたい階を示すためのものですよね。つまりは、中の人しか点灯させることが出来ません。
友人は一人で乗っていたのに、押していない8階のランプがいきなり点灯するのは、おかしいですよね。
:Escape1-2
例えば、
「友達にこの間、好きな子に告白するにはどうすればいいかなって聞かれたんだけど、お前はどう思う……?」
と、自分の事を伏せて、相談した事はないでしょうか。
今回の青年兵士もそうです。両手両足を友達は自分の事を指します。
相談を受けた両親は、後半で縛られるなんて無理よと言っています。つまりは否定をされ、青年は身を投げたという訳です。