ちょんまげヒヨコの吉右衛門
昔々のその昔
山あいに動物達の暮らす、小さな村がありました
村には色々な動物が住んでいましたが
その中に一羽のニワトリのおかあさんがいました
ある日の朝
おかあさんニワトリが卵を5つ産んだところ
最後に出てきた卵は緑色で
おかあさんニワトリはビックリ!
しかもその卵には
唐草模様のガラまで入っている変わった卵なのでした
「いったいこの卵から
どんな子供が生まれてくるんでしょう?」
おかあさんニワトリは
いろんな事を考えながらドキドキワクワクするのでした
それから一週間が過ぎました・・・
・・・ぴりっ!
・・・ぱりっ!
ピヨピヨ!!
しろい卵にヒビが入り
いっせいにヒヨコたちが卵のなかから生まれてきました
生まれてきた4羽のヒヨコたちは
お庭で元気に走り回っています
「あら?1羽足りないわ」
お母さんニワトリがふと気が付いて
空になった卵を見てみると
ひとつだけまだ割れていない卵がありました
そうです
緑の唐草模様の卵でした
「この子はいったい
どうしちゃったのかしら?」
おかあさんニワトリが心配して卵をのぞき込んでいると
チャッキーン!
勢いよく卵が割れて、なかから元気なヒヨコが出てきました
「うわぁお!」
おかあさんニワトリはビックリしました
出てきたヒヨコはとても元気がいい上に
その頭にはちょんまげが生えていたのです
「ははうえ、オハヨウでごじゃります」
ちょんまげヒヨコは元気にあいさつすると
お庭であそんでいる兄弟達のところへかけていきました
「うわぁ、なんだお前カッコいいなぁ!」
兄弟達はちょんまげヒヨコをみてワイワイ騒いでいます
「いやぁ、それほどでもごじゃりません」
ちょんまげヒヨコは皆にほめられて嬉しくなりました
「さあ皆ごはんですよー」
「はーい」
おかあさんニワトリに呼ばれてヒヨコたちは
元気に返事をして朝ごはんを食べに行きます
「そうだ、あなたたちに名前をつけてあげなくちゃ」
元気に朝ごはんを食べるヒヨコたちに
おかあさんニワトリは言いました
「ピヨ助、ピヨ吉、ピヨ丸、おピヨ、そしてあなたは・・・」
ちょんまげヒヨコはワクワクしながら自分の名前を待ちました
「吉右衛門ね!」
「き、キチエモンでごじゃりますか!?」
ちょんまげヒヨコは兄弟たちとなにか違うと思いましたが
おかあさんニワトリが頑張って考えてくれた名前を
かっこいいと思い、好きになりました
ある日のこと
お庭で遊んでいた吉右衛門を誰かが呼び止めました
となりに住んでいる、いぢわるな三毛猫
やさぐれ猫のアケミさんでした
「ちょっとアンタ」
「せっしゃでごじゃりますか?」
「そうだよ、アンタだよ」
アケミさんは縁側でひなたぼっこしながら眠そうに話しかけてきました
「アンタ変わってるね」
「そうでごじゃりますか?」
そう言われても、吉右衛門にはよくわかりません
「卵の時も変わってたらしいけど、そのちょんまげ」
「変でごじゃるか?」
「変でもあるけど、アンタ宇宙人じゃないかって噂だよ」
「宇宙人!?」
「だって他のヒヨコで、アンタみたいなちょんまげ見たことないよ」
ちょんまげヒヨコの吉右衛門はショックでした
自分はおかあさんニワトリの子供だと思っていたのに
じつは宇宙人かもしれなかったのです!
三毛猫のアケミさんと別れて
吉右衛門がトボトボと一人で歩いていると、いつのまにかオタマ池のほとりに立っていました
歩きつかれ、のどが渇いたので水を飲もうと
水辺に顔を近づけると、水面に自分の顔が映りました
そこには他の兄弟にはない、立派なちょんまげが生えています
「ヘイ、ボーイ。なにか悩み事かい?」
とつぜん声をかけられて、顔をあげると
オタマ池から出たことがないのに外国かぶれのカエルおじさん
スチィーブさんが蓮の葉の上にいました
「せっしゃ宇宙人なのでごじゃる・・・」
搾り出すように吉右衛門がこたえました
「ほほぅ、ファンキーだねぇ!」
「ふぁ・・・!?」
スチィーブさんは蓮の葉の上で横になってニコニコしています
「いいじゃねぇか、そのちょんまげ。クールだぜぇ!」
吉右衛門はほめられても、嬉しいのか悲しいのかわかりません。
「かっこ悪くても、せっしゃは普通がよかったでごじゃる・・・」
「べらんめぇ!」
とつぜん怒り出したスチィーブさんに、吉右衛門はビックリしました
怒ったときのスチィーブさんは、江戸っ子の巣地井部さんに変身します
これはキケンです!
「キチのじ、おめえ立派な体に産んでもらって何を言っているんでぃ」
スチィーブさんは緑の体を真っ赤にして怒っています
「おめえはどう考えたってオッカサンの子供だよ、そんな姿の宇宙人がどこにいるってんでい!?」
おこられた吉右衛門はいてもたってもいられません
「ハイでごじゃります!」
「その上ちょんまげまで付いて、かなりお得じゃねえか!べらんめぇ」
スチィーブさんも怒りのあまり、何を言っているのか訳がわかりません
シュンとしてしまった吉右衛門にスチィーブさんは優しく言ってくれました
「誰がなんと言おうと、姿かたちが違おうと吉右衛門は吉右衛門だ。おめえさんは自分らしく生きていけばいいんだよ」
「自分らしく・・・」
「それに都じゃ、ちょんまげは正義の心を持ったものに生えるっていうぜ」
「せいぎのこころ・・・」
スチィーブさんはニコッと笑い言ってくれました
「世界はファンキー、人生もまたファンキーってなもんよ!」
・・・わけが分かりません!
「ぐっどらっくよ、キチのじ」
「ありがとうでごじゃります・・・」
けっきょくスチィーブさんは、何が言いたいのか
さっぱり分からない吉右衛門でしたが
とりあえずお礼を言って立ち去るのでした
ある日の朝
目覚めた吉右衛門をみて、兄弟達がおどろきました
「きちえもん、なんだその頭!?」
「どうしたでごじゃるか?」
「ちょんまげが大変だぞ」
「なんですとぉ!?」
吉右衛門があわてて飛び出し、桶の水で自分の顔を覗き込んでみると・・・
頭のちょんまげが真っ赤になっているではありませんか
「おぉう!これがファンキーってやつでごじゃるか!?」
そのときです
「きゃぁー!」
どこからか兄弟のおピヨちゃんの叫び声が聞こえてきました
あわてて吉右衛門が駆けつけると
そこには、イタチの五郎左くんにイジメられているおピヨちゃんの姿が・・・
ほかの兄弟たちは五郎左くんがこわくて隠れています
吉右衛門は急いでおピヨちゃんに駆け寄ります
「おピヨちゃんをイジメるなでごじゃるー」
しかし吉右衛門の必死な叫びも五郎左くんには届きません
「なんだ、お前は」
五郎左くんはツメでおピヨちゃんをツンツンしています
「おピヨちゃんをイジメるなー!!」
するとどうでしょう
吉右衛門のちょんまげがほどけて逆立っていくではありませんか
その髪型は真っ赤なモヒカンになったのです
ちょんまげヒヨコの吉右衛門は、ファンキーパンクな吉右衛門に変身したのでした
「ひぃえー!」
さすがの五郎左くんも、これには驚きました
「お前ホントに宇宙人だったんだな!?」
吉右衛門の怒りは頂点に達しています
「この宇宙人のちからで・・・」
「ちからで?」
「電灯の切れたトイレに閉じこめてやるでごじゃる!」
「ビミョー!だけどコエー!たぶんクセー!」
五郎左くんは震え上がっています
「このスットコドッコイでごじゃる!」
「ちくしょー、おぼえてろよー!」
そういうと五郎左くんは慌てて逃げ出していくのでした
「ありがとう、きちえもん」
おピヨちゃんは、恐さでまだ震えています
「あらあら、どうしたの?」
そのとき騒ぎを聞きつけて、おかあさんニワトリが現れました
「あら吉右衛門、もうそんなに立派なトサカが生えて」
そうです吉右衛門の体は立派に大きくなり、
ファンキーなモヒカンヘアーは、よく見ると立派なトサカだったのです
それは大人のニワトリになる日が近づいている証拠なのでした
「なあに?吉右衛門が宇宙人?」
話のいきさつを聞いて、おかあさんニワトリが尋ねます
「吉右衛門が宇宙人なら、私も宇宙人ね」
おかあさんニワトリは笑いながら言いました
「だって宇宙人の親は、やっぱり宇宙人じゃない?」
その言葉を聞いて吉右衛門は、急に肩の力が抜けるのでした
「なんだ・・・、せっしゃ宇宙人じゃなかったでごじゃるか」
「ガッカリしてるの?」
「あわわわ・・・、めっそうもないでごじゃる!」
なんだかちょっと残念そうで、ホッとした吉右衛門がそこにいました
「バカなこと言ってないで、ご飯にするわよ」
おかあさんニワトリの一言で
宇宙人でも宇宙人でなくても変わらない一日が、今日も始まろうとしています
・・・そうか、そういう事なんだと吉右衛門は思いました
「ファンキーでごじゃる!」
やがて、いろんな人たちと出会って悩んだ吉右衛門も立派に成長しました
いまでは他のニワトリと変わらない立派なトサカを持つ大人になり
山あいの小さな村で仲間や兄弟たちと
いつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ
おしまい
ノリと勢いだけで書いてしまいました・・・。
くすっとでも笑っていただければ満足です。
なに!?趣旨が違う?
まあまあ、それもありかなと・・・。




