俺の幼馴染!
皆さんもこんな経験ありませんか?
「今日で青井さんとワロスさんともお別れだけれど、皆はずっと友達でいてあげてね!」
朝の会で、先生が呟くように小さな声で言った。
「ちょっと待て。おかしいだろこれ。ラブコメスタート!と思わせて終了。の次はカットか?ダイジェストもなしに転校間近か?まぢでこれいいの?」
「先生、田中君が言ってること理解できないわ。ごめんなさい。」
「・・・すいません。何でもないです。」
どうやら、この世界では恋愛というものは全て消すらしい。
恋をしたら、相手が転校。そしてそれまでの間の思い出はカット。まったくどうかしてるぜ!
結局、何の思い出もなく、二人は去ろうとしていた。
「ぐすっ、最後に、皆に、何か、一言、お願い。」
先生が泣きながら二人に別れのあいさつをさせようとしている。
「皆、いままでありがとう。とても楽しかったです。皆のことは忘れません。」
青井がやはり泣きながらつぶやいた。
こんなこと言っちゃだめだけど、俺全然泣けないわ。ごめんね、暫くの記憶ないんだ。
僕の記憶は何処にもないのに。いままでありがとう。そんなの言われても・・・。
「きっと誰とも付き合えないお前たちに告げる!」
だめだこいつ。このクラス全員敵に回しやがった。
「サラバだ。」
別れの挨拶は普通だ。最初以外。
まぁ、そんなこんなで俺の青春ラブストーリーは幕を閉じた。
帰り道、ふと今日、学級通信が配られたこと思い出した。
週に一回タイトルが変わる。おれは結構そのタイトルを楽しみにしている。
タイトルは、生徒が考えたものだ。今日はなんだろう。光は、カバンから学級通信を取り出した。そこの見出しにはこう書かれていた。
通信劇場 伝~DEN~
見たことを死ぬほど後悔した。そのとき
「光!久しぶり。」
振り向くと、そこには俺の幼馴染の加藤美月が立っていた。年は同じ。優等生でスポーツ万能。さらに美人。男子からも女子からも人気一位の最強少女。・・・って思うじゃん?
悪いが、そんなアニメ的展開は無いんだよ。
こいつの特徴を三行にまとめると
オタク
馬鹿
オタク
というわけだ。
信じられないだろ?これ、現実なんだぜ?
「ハァ・・・」
「な、なによ?人の顔見るなりいきなり溜息って。」
「お前が成績優秀スポーツ万能で毎日お弁当とか作ってくれる定番ネタの女子だったらな・・・。」
「フッフッフ、ところがどっこい・・・!定番じゃありません・・・!これが現
「わかったわかった。で、何か用か?」
「フェッフェッフェ、そんなに教えてほしいか?しょうがないな~。」
「あ、おーい鈴木!二人で一緒に帰ろうぜ。」
「ごめんなさいわたしがわるかったですちゃんときいてくださいおねがいします。」
「っで、何?」
「私、恋人できました。」
「おお、あの『きらめきメモリアル』やっと攻略できたのかよかったn
「いや、現実で。三次元で。」
「・・・まじかよ。」
「ははは!いやね?朝教室で机の中見たら、ラブレターが入ってたんですよ。それも2通。」
「2通!?」
二人もこんなやつに恋をしたのか。物好きだな。
「で、どっちも放課後体育館裏に呼び出しがあったんだけど・・・。」
「付き合った奴はともかく、もう一人はどうしたんだよ?」
「よく見たら、手紙の右下のほうに片方は北田一郎って書いてあってね、
もう片方は北田次郎って書いてあったんだよ。」
「一卵性双生児の双子じゃねーか。しかも両方お前と同じクラスだし。」
「うん。それで、チラチラこっち見てきてうざかったから、一郎のほうの手紙破ってやったわ。」
「一卵性であいつら性格おんなじような奴だったよな?片方だけ選ぶって酷だな。」
「で、次郎のほうは体育館裏で振ってやった。」
「はい!?んじゃ、お前彼氏は?」
「ああ、それは一か月前から付き合ってた
「いや、今までの話はなんだったんだよ?」
「まぁまぁ。で私の彼氏は・・・・・・北田太郎君です!」
北田太郎。確か、学年は一つ上で、女子に人気があるイケメンだったな。そして何より―――――
北田一郎、次郎の兄貴。
「北田家可哀想すぎるだろ。」