スマホ
チャイムが鳴り、学校の授業が終わり放課後が
始まった。河里由衣は、放課後の教室で友人の大石桜と喋っていた。由衣は思い出した。
「あっそうだ!今日は習い事があるんだった」
由衣は桜に別れを言って先に教室を出た。教室から廊下を歩いているとブレザーのポケットから微かに振動がした。由衣はポケットからスマホを取り出した。スマホの画面には、女子高生の後ろ姿が映っている。
これ私じゃん
由衣は咄嗟に後ろを振り向いた。撮影してる人は居ない。得体の知れない恐怖を感じて、桜の居る教室に戻ることにした。だけど教室に桜の姿がなかった。
おかしい・・・・・・さっき別れたばかりなのに
由衣は教室を見渡す。他に残っていた生徒達もいなくなってる。由衣は不安になった。その時、
ブブッ
手に持っているスマホが振動した。由衣はスマホに視線を向けた。画面には教室に立ってる由衣の後ろ姿が映っていて、その後ろ姿に向かって黒いモヤモヤした影がゆっくり近づいてきている。
「きゃっ!」
由衣は悲鳴をあげてスマホを落とした。そして、怯えながらその場に立ち尽くした。
あれ?
由衣はしばらくの間立っていたが何も起こらな
かった。黒い影も見えない。由衣は少し落ち着いてから、床に落ちてるスマホを手に取った。スマホの画面には何も映っていなかった。
「もう。さっきのは、何だったのよ・・・・・・?」
由衣は、ため息をついた。
桜は、教室で帰りの準備をしていた。
やばい、もうこんな時間!
桜は教室に残って遅くまで実習していた。他の生徒達はとっくに帰ってる。桜は急いで教室を出た。廊下で先生とすれ違って「早く帰れ」と言われて申し訳なさそうに頭を下げた。そして、下駄箱で靴に履き替えて外へ飛び出した。校門を出て、通学路を歩いてといるとブレザーのポケットから微かに振動を感じた。ポケットからスマホを取り出す。画面には、教室に立っている由衣の姿が映っていた。安心したような表情の由衣。
えっ由衣!なんで由衣が映ってんの!?
桜は困惑した。画面の由衣は黒いモヤモヤした影に包まれていく。やがて、由衣は完全に影に消えて
いった。 終