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86 明日はきっといい日になる

「私がこうやって想いを伝えることを、あるまちゃんは許してくれたんです、優しいですよね…叶わない恋って、こんなに寂しいものなんですね」

「……友達として…いや、親友としてなら、これからもいつでも話してやれるぞ」

「…そう…ですね、私はこれでやっと、一歩前に進んでいけるような気がします」


俺は、なんて言葉をかけたら良かったのだろうか…


「……後ろ、向いてあげてください、ちょっと不安になってるでしょうから、言葉をかけてあげてくださいね、それじゃ私はこれで」

「少し待って」

「……なんですか」


屋上から去ろうとしている雨笠に向け、こう言葉をかけた。


「明日はきっと、いい日になる」

「…ぷ、なんですか、その言葉は…信じますからね?」

「あぁ、大丈夫、きっと未来は明るいよ」


俺がそばにいてやる事はできない、でも今の雨笠なら、きっと大丈夫。俺がいなくたって、前に進んでいける。


「…ありがとうございます、ま、また話しましょう!」


そう言ってドアを閉めて降りていった。


「………よかった」


後ろから、これまで幾度となく聞いた声が響いた。


「あるまか、」

「そうだよ?、あなたの彼女の」

「ふふ、わかってるって」

「…ちょっと気持ちが揺れるんじゃないかって、心配になった」

「大丈夫、恋愛的な意味で好きって言えるのは、あるまだけ」

「…もし離れようとしたら刺す」

「…流石に冗談だよね?」

「わかんない、どうするかなんて」


怖い怖い


「でも、二月も終わって…この学校での一年がまた終わってしまうんだなーって」

「私たちが再開して付き合って四ヶ月だね!」

「そうだな、来年は、俺も進路のことについてしっかりと考えなきゃいけない時期だし、テストも大変だし、成績も良くないし、大変よ」

「ちょっとー?、テストは私が毎回教えて、順位結構良くなってるじゃん?」

「…そうだけど」


確かにそうなのだ、元々320人の学年で200位くらいだったのが、今では80位だ。決して高いわけではないが、元の順位と比べるとその差は歴然だ。


「みりには頭のいい学校に行ってもらうんだから!」

「…頑張ります」

「じゃ!、そろそろ帰ろ〜」

「今日も二人、帰路に着くのだった、めでたしめでたし」

「それなんのナレーション?」


〜〜〜


帰り道、久々にスタベに寄って、何か飲みながら帰ることにした。


「ん、これは…期間限定はアールグレイか」

「まだ二月で寒い時期だからね〜、いいかも!、買お!」


二人で買って、帰りながら飲むことになった…もちろん一杯をシェアして。


「美味しい〜!、やっぱり久しぶりに来るといいね〜」

「そうやな〜、あれ、前きたのいつだっけ?」

「んー、確か去年の10月じゃなかったっけ?」

「あー、そういやチョコムースとか頼んだな、思い出したわ」

(※第七話『一緒のお昼ご飯③−君と帰り道』にて)


あの頃から四ヶ月か、そう考えると結構経ったんだなって改めて思う。


「あの頃はまだ私たち付き合ってなかったもんね〜、だからこうやってそこまでグイグイ言ってなかったし」


そう言って腕に抱きついてくる。


「付き合ってないにしてはグイグイきてる方だと俺は思ったけど?」

「まぁいいじゃん昔の事は、それよりも幸せな今だよ!」

「過去の話を始めたのはどっちだよ…」


間接キスという行為も普通にやるようになったあたり、あの頃とは色々変わったんだなと、感慨深くなる。


「私たちの繋がりは、このスタべの飲み物よりもあったかくて大事で一生続くものなんだよ〜!」

「例えはようわからんけど、ありがと」


寂しさを感じなくていい、困った時に頼れる人、縋れる人が居るというのは、それだけで、希望を持って生きることが出来る。俺の手の中にあるこれを、一生大事にして生きる。それが、今の自分にできること。


「じゃ、家に帰りますか」

「行こ〜、明日からも元気にやっていくために!」

「毎日元気じゃん」


10月末に再開して、同時失意の中にいた自分を救い出してくれて…忘れられない最高の思い出と、溢れんばかりの優しさで包み込んでくれた。新しい人間関係もできた。一度は亀裂の入ってしまった関係も、わだかまりが解けて今では普通に話せるようになった(あるまは睨んでくるけど)。そして何より、自分が希望を持って前に歩いていくことの大切さと、これからもそれを続けていく決意を、改めて持つことが出来た。


「ん、どうしたの?、立ち止まって」

「いや、少しだけ、昔のことを思い出してね」


そう、昔のこと。いくら昔が暗くても、前を向いて歩けなかった過去があったとしても、今日という日を、希望を持って歩けていれば、それでいい。


「さ、一緒に行こ?」


立ち止まっていた自分の元に駆け寄って、手を取って走り出した。きっと今はもう大丈夫。もし下を向いちゃうことがあっても、前を向いて歩かせてくれるような、大切な、そして大好きな人が居る。


今日を、そして未来を、共に歩いていこう。


「うん、」

「それでそれで、今日はなに食べたい?」

「あるまの作ってくれるご飯ならなんでもいいよ」

「もー!、それが一番困るのー!」


続いていく、俺とあるまの、日常は。


To be continued…

『失恋して真っ暗だった僕を救ってくれたのは、隣の家の女の子でした』

第一部完


大変更新が遅れて申し訳ありません。


サイドストーリーなどもあるので、おいおいここにも載せていきます。

第二作目は、現在カクヨムの方で連載中です。いつかここにも転載します

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