表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/86

85 静かな決意

 バレンタインデーから二週間が経ち、二月の最後の日。二月だけ28日までしか無いのは一体なんでなんだろうな?


 あれから、雨笠は上手くやっているようだ。自分を無理に変えようとせず、自然体のままでいること。それが一番大事なんだってことに改めて気付かされた。


 どこかのマンガに書いてあったセリフなのだが

『変に気負い、自分のギアを変えようとするのはNG、自分らしくあれば、ギアはおのずと噛み合う』


 仮面をかぶって仮初の自分を演じるのが得意な人もいるだろうが、俺や雨笠のタイプは、間違いなく苦手な方だ。だからこそ、自分らしくある必要がある。


 最近可愛くなった雨笠と、元よりとびきり可愛かったあるまのペアは、前に話した頃より、繋がりはより強固なものになっている。前は、あるまと話していることをよく思ってない人も居たらしいが、今では尊いとも言われている…ということをあるまから聞いた。


「あれから少しは自信付いたのかな」


 そう思っていると、雨笠から連絡が来る。前は、雨笠の方から連絡を送ってくることはほとんどなかったのだが、最近はこういうことが増えてきた。これも、少しずつ自信がついてきたってことなのかな。


 雨笠:今日、放課後話しません?

 藍星:いいよ


 少しずつ、変わってきている。彼女の内にあるものが。


「あ、やっと来ましたか、先輩」

「ちょっと、用事があったんでな」

「それで…先輩に伝えたいことと、確認したいことがあります」

「ん?、確認したいこととは」


 一体何を確認することがあるというのか?


「私が変わるきっかけだったり、色々手伝ってくれた、あるまさんの先輩が居たんですよ」

「優しい人もいるもんだな」

「あれ…、藍星先輩…ですよね?」

「………………」

「沈黙は肯定と受け取ります」


 …どこかバレる要素あったか?、え?、いや、マジでわからん。


「なんでバレたのかわからないって顔してますね、いや、私も最初は確証が無かったんですよ。でもあるまちゃんの接し方とか…、あと女性ものの服選ぶ時にお店に入りにくそうにしてたり…あと話し方にも、ちょっと面影を感じました。でもあそこまで変えられるのはすごいと思いますよ?、多分普通の人なら気付きません。」

「……バレてるのは意外だったわ」

「あまり私を舐めないでほしいですね」


 ……なぜこうもバレるのだか、好き好んでやってるわけじゃ無いというのに。


「……まぁそれはいいんです、本題は別であります。あの先輩がそうなのだとしたら…一度聞いてますよね…」

「…なんのことだっけ?」

「私は先輩のことが好きってことです!!!」


 ………


「……私は、本当になんの取り柄もない、クラスの端に誰にも気づかれず座ってる根暗な陰キャでした。でも、先輩と関わっていったことで、今はこうやって話す人もできて、少しずつ学校にいるのが楽しいと、そう思えるようになってきました」

「…それは、良かったな」


 それが目標ではあったからね、一応。


「そのきっかけ、そうですね、私が変わろうと思えたのは…いわば先輩のおかげなんです!!!」

「…ありがたい話だね」

「見ての通り今では、周りもたくさん可愛いと言ってくれるようになりました、あるまちゃんの近くにいても、後ろ指刺されないようになりました。少しずつ、自信も持てるようになりました」


 そこまで言うと、彼女、雨笠 雫はこっちを見上げて、どこか悲しそうな表情でこう言った。


「私は、藍星さんのことが、大好きです」

「……俺は」

「…言わなくてもいいですよ、わかってます、わかってるんです、結構悩んだんですよ?、藍星さんにあるまちゃんが居なかったら、私が付き合えてたのかなって、でもあるまちゃんが居なかったら、きっと私はこうやって楽しく学校に来れては居ないでしょう。だから、感謝してると同時に、悲しくも、そして羨ましくもあるんです」

「…そうか」


 そこにあるのは、雨笠の静かな、それでいて確かな決意と、どこか寂しげな微笑みだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ