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84 チョコマウンティング

「おはよ〜!」


 相変わらずあるまは元気だ。


「そういえば今日はバレンタインデーだね〜」

「そうやな」

「みりもチョコ欲しいって思う?」

「無理してほしくはないけど、欲しいか欲しくないかで言われたらもちろん欲しいな」

「ふ〜ん、なるほどね〜」


 あるまはニヤニヤしながら上機嫌で学校まで歩いていった。


 教室に着くと、男子達がソワソワしているような、そんな気がする。


「やぁやぁ、彼女からチョコはもらったのか?」

「いや、もらってない」

「え、マジ?、あの子だったら我先にと渡しそうな気がしたんだが…」


 柊が聞いてきたから正直に返すとちょっと驚かれた。そこを詮索する気はないけどな、考えてることがあるのかもしれないし、


「まぁ俺からの心のこもったプレゼントだ、ほれ」

「スーパーとかで数十個入りで売ってそうなチョコじゃないか」

「俺の心のこもったチョコだ、お前が立派になったら返しに来い」

「赤髪の海賊が麦わら帽子渡してそうなシチュエーションやめい」


 そんな話をしていると、女子がよってきて俺たちに続々とチョコが渡されていく。


「…なぁ、これどう持って帰るよ」

「あぁ、みりはこんな渡されるの初めてか、俺は毎年こんなだからビニール袋を持ってきているんだ、良かったら一枚やるぞ?」

「ありがたやー」


 明らか義理チョコ十数個。義理チョコにしては気合が入りすぎなもの六個。彼女が居るのわかってるはずなのに"Love"と書かれた本命チョコでしか見ないようなもの一個…バレンタインデーは男子がチョコをもらえるかどうかの戦いと思っていたのだが…それ以上に女子同士の熾烈な争いが起こっているという事実を、今年になって初めて実感するのだった…


 そうしてお昼の時間、いつものようにあるまが迎えにくるのだが…


「みり…チョコ何個貰った?」

「え…」


 義理チョコ含め二十個とか言ったら殺されないかな?、大丈夫だよね?


「……」

「言うのに悩むってことは相当もらってるよね?、まぁそれはいいよ、帰ってから確認するから…それよりも、はい!」

「なにこ…すげぇ…」


 あるまが傍に抱えてたものを差し出してきた。それは、朝に貰ったチョコのどれよりも綺麗で、どストレートに愛がこもってそうな形と装飾。そしてメッセージカードも入っている。


「ありがとね、みり、大好き!」

「うわ、ちょっと、ここで言うなよ、はz…恥ずかしいじゃん!!!」

「えっへへ〜、それが狙いだよ〜!」


 …あぁ、狙いがわかった。多分こうやってみんなが渡し終わった後に渡すことで、クラスの全員に見せつけたのだ。


()()()()()()()()()』って、これがいわゆるマウンティングか。


 放課後にも、雨笠から呼び出され、(後ろからあるまに監視されてる中)チョコを貰った。かなり気合の入ったもので、どうやらあるまと一緒に作ったものらしい。チョコを受け取った時、雨笠は恥ずかしがっていたが、そこに俺は


「ありがと、あとで食べさせてもらうよ」

「は、はい!、きっと美味しく出来たと思います…」


 ちなみにあるまと雨笠は、クラスの人への義理チョコも一緒に作っていたらしく、みんなに配っていた。全員が雨笠の顔を直視した時一瞬固まるらしい…本人は理由がわからないと言っているが、間違いなくあるま主導ののイメチェンの効果だろう。これからいい方向に進んでくれるといいな、と思いつつ、あるまと共に帰宅したのだが。


「さー、みりのチョコのチェックに入るねー」


 そう言いながらあるまが俺の貰ったチョコをどさどさと出して並べていく。その中でも…


「うーん……何で彼女がいるってわかってる相手に、こんな気合いの入ったチョコ送るんだろうね、こんなの彼氏くらいにしか送らないものじゃん!」

「流石に驚いた」

「と言うわけで何個かは没収するからねー、私が美味しく頂いとくから」

「チョコ作った人、お気の毒に」

「捨てるわけじゃないんだからいいでしょ?」

「まぁ確かに」

「あ、私の作ったチョコ、ほんとのほんとに気合い入れて作ったんだからね!!!」

「わかってるって」


 こんな表面を赤くコーティングされたハート型のチョコなんて、そういう相手にしか送らないものだろうからな。


「フランボワーズソースを一から仕込んで、全部私が作ってるんだからね、市販品じゃないから結構かかったの」

「フランボワーズって何?」

「ラズベリー、フランス語ではフランボワーズって言うらしいよ?」

「なるほど、じゃ、ちょっと食べてみるね」


 取り出して、一口食べる、


「……どう?」

「………うっっっっっま」


 チョコは濃厚でなめらかに出来てる、ここまでねっとりしてると口に残るもんだが、フランボワーズソースの酸味がとてもよくマッチしていて食べやすい、最高。


「マジで美味しい」

「やっったーーーー!!!、じゃあ他のチョコはいらないね、全部没収で」

「待て待て待て待てそんな持って帰っても食えないだろ」

「…確かに」

「まぁ数日かけて食べていくよ」


 初めてここまでのチョコ貰ったな、数という意味でも、あるまのチョコの質という意味でも。

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