82 じゃなきゃ意味がない②
たびたび遅れてすいません。第一部の終わりが近いのと、最近忙しくて作業をしている暇がないので、今日から一日一話の更新です。
好きだった人に別れを告げられること、それがどれほど苦しいことか、俺はよく知っている。その瞬間、自分の生きる意味を全て奪われたかのような絶望に陥る。
「わかってるんです、私なんかじゃ、あの子に勝てるところがないと、あの子の方が可愛くて、要領が良くて、聞き話し上手で、周りと自然に仲良くできる、私なんかとは比べ物にならないくらい、完璧な子だったんです」
「でも…その…」
「良いんですよ、無理に慰めようとしなくたって、私が悪いんですから…その後、すぐ幼馴染はその転校生ちゃんと付き合い始めたようでした…その転校生の子が私に直接何か言うことはありませんでした、でも、周りの子が話しているのが聞こえてきちゃうんです…『私より転校生ちゃんの方がお似合いだねって』」
「………」
「そこで私は気づいちゃったんです、綺麗じゃないと、可愛くないと、性格が良くないと、誰にも愛されないんだなって、私なんて、どうでもいい存在なんだなって」
「………」
「私はどこにでもいるような平凡な人です…いや、そもそも平凡な人にすらなれてないのかもしれませんね…人気者にならないと、誰にも見てもらえない、目立つ存在にならないと、すぐに捨てられる…」
大粒の涙を流しながら、ずっと話し続ける。それを聞いて、いつしかあるまも涙を流しながら、後ろから雨笠のことを抱きしめている。
「でも、平凡な人が!、ちょっと頑張って背伸びしたって!、どうやったって人気者にはなれないんだって!、でもそんななのに思っちゃうんです、愛されたい、わかってもらいたいって、無理なのに、できるわけがないのに!!!、人気者じゃなきゃ!、意味がないのに!!!」
「そんなこと言わないでよ!!!!!」
後ろから抱きついていたあるまが叫んだ。
「この世界に生まれてこなきゃよかった存在なんて、そんなの居ないの!!!、私だって、どこまで行っても不安で仕方ないの!!、みりの横にいても良いのかって!、私なんかが人を支えられているのかって!、でも…でも!、わかんないけど!、私は雫ちゃんのこと、要らない存在だって思ったことなんか、一度もない!」
「あるま…ちゃん……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
二人して大泣きし始めてしまった。そうしてると声を聞いてか先生が駆けつけてきた。
そろそろ授業の始まる時間。最初は俺が泣かせてるんじゃないかと疑われてたけど、二人は即座に否定した。そのまま二人は相談室の方に先生と一緒に向かっていった。
…そのまま部屋に向かった二人を心配に思っていると。
雨笠:放課後、また話、聞いてくれませんか?、あるまちゃんも居ます
…きっとまだ、心に傷を負ってるだろうに。
藍星:俺でよければ、いつでも話を聞くよ
雨笠:わかりました、じゃあ授業が終わったらあるまちゃんに着いて迎えに行きます
…きっと、彼女の心に傷は深い。自分を変えようとも思えないような辛かった過去。それを乗り越えるきっかけも見出せず、今の今まで苦しんできたんだろう。俺の心の傷は、あるまのおかげで立ち直れた。だが俺も立ち直れないまま、きっかけを見つけられないまま過ごしていたら、俺は今頃どうなっていたのだろうか。
「もしかしたら…俺はここに居なかったのかもな」
雨笠 雫、ずっと一人孤独に耐えながら生きる日々は辛かっらだろう。でも君はやり通した、君は強い、俺が保証する。
〜〜〜
「………意外…でしたか?、私なんかが、昔人と付き合ってたなんて。そうですよね、なんの取り柄もない私なんかが…」
「ストップ」
放課後、いつものようにあるまの家まで移動して三人で話を始めたのだが…相変わらず自分を下げ続けてなかなか話を進められない。そして雨笠の過去絵を聞いた手前、なかなかそれに対しての言及がしづらい。
「別に、誰かと付き合うって言うことに何も言うことはないよ。美しいことだと思うし、幸せって思えるものならね」
前に行ったかどうかわからないが、俺は綺麗な恋愛しか知らない。だが体験したことがなくても、今の時代、元青い鳥がシンボルだったあのアプリとかを中心とした…SNSで、ゴシップネタが日々流れてくる。幸せならそれでいいじゃんとは言うものの、幸せじゃないものも数多くあるわけだ…それに。
「ただ…幸せであればあるほど、それがなくなってしまった時の喪失感も比例して大きくなる」
その幸せが日々の生活に組み込まれて、本当に幸せと思える生活から、その要素が消えてしまったら?。心にぽっかり穴が空いて、何かしようという気力を失うことになる。




