80 自己肯定感②
「で、結局どうするの?」
「と、言いますと」
「雫ちゃんのことだよ、ちゃんと考えてるの?」
「…いや…考えてないとかそう言うわけじゃなくて…ただ難しいなと思っただけ」
自分の持っている考え方を変えることは、当然ではあるが簡単じゃない。俺も多少は自信がついたとはいえ、根底にはまだ自己否定と自己嫌悪癖が染み付いていたりする…年齢が上がるにつれ人とどうか変わっていけばいいかわからなくなっていった自分がいる。
「うーん、そう難しいものじゃないと思うんだけどな〜」
「あるまにとってはそうでも、他の人にとってはそうではないってこと」
特に俺のような性格の人は特にだ。
「まぁそう言うとこもしっかり相談するために今日家に行ってるんじゃん」
横で話を聞いていたみちるが口を開いた。
「そうだな、頼りにしてるよ」
「………」
横からものすごい圧を送るのはやめてください怖いです。
「…離さないから」
嫉妬なのか独占欲なのか、腕に抱きついてくる分には可愛いから大歓迎なのだが…洒落にならない目をしてることがあるからそれだけが本当になんというか…
「さ、さ!、早くいこ!」
あるまの家について、三人で話していた。
「そういや高校生デビューで印象変えたって言ってたけど、その詳しい経緯知らないんだよな」
「あれ?、話したことなかったっけ?、まぁいいけど」
みちるは話し始めた。
中学校までは根暗めだったらしい性格を変えるために、高校に入るときに金髪…にする勇気はなかったらしく、ギリ校則に引っかからないくらいの明るめの茶髪に染めて。活発な女子を演じた。そうすると時期に友達も増えて楽しい性格を送れるようになったのだが…
「活発な自分としての印象がついて、いつしか本心を打ち明けられる人が一人もいなくなったと」
「そう」
それで悩んで、辛くなっていって、それに追い打ちをかけるように悪い噂を流され、公園で一人泣いていたときに出会ったのが俺と…。
「ざっくり言うとこんな感じ」
「あー…なるほど?」
これまで大変だったんだなこいつも。それはそうと…
「活発な自分を演じるって言ったけど、それをやる上で何か気にしてることというか…これを意識してるってことある?」
「…結構思い出深い過去の話したと思うんだけどそこには触れてくれないんだね…まぁいいけど」
だって仕方がないじゃないか、思い出話に浸っていると、横にぴったりくっついているあるまが不機嫌になることが分かりきっているのだから。
「私が気にしてること…うーん…何かいうことがあるとするなら…仮面をつけることかな」
「仮面?」
「外ヅラって言うじゃん。周りに見せる顔のこと」
「ふむ」
「本当の自分を隠して、周りと接するために必要なもの、でも一つ注意して欲しいのは…」
自分を押し隠し続けて、一切それを発散しないままだといつか壊れるという…、
「それを防ぐためには、心のうちを話せる近しい関係の人を作っておくこと、昔の私はそれが出来てなかったから、一回上手くいかなくなっちゃった」
「今は」
「みりと出会ってから、そう言うことを思ったことはないから、それにあるまちゃんもいるからね!」
「なるほどね」
仮面…か、それも一つの手段かもしれない、でも…
「でもそれって自分に嘘をついて人と接するわけじゃん、嘘をつくのが苦手な人にとっては難しいんじゃ…」
「あー、それはあるかも」
自分に嘘をつけない人はうまくいかないんじゃないかって思う。俺はそのタイプだし、話した印象からして、雨笠もそっちのタイプじゃないかって思ってる。
「だとしたら…どうすればいいんだ?」
そうして行き詰まること約30分…
「みりの女装姿、ここでまた見たいな〜」
「お安いご用!、じゃあみり行くよ〜」
「ちょま、ま、待ってって」
なぜか俺の女装姿をここで晒されることになったのだった…
「な、なんでこんなことに…」
「可愛いよ〜」
「えっへん!、私が可愛くしてるんだから当然だよ!」
おいみちる君、何枚写真を撮れば気が済むんだ。
「俺もういいよね?」
「みりは女の子なのになんで俺って使うの?、そこは私にしてよ」
「女でも俺って使う人いるでしょ!、いいじゃん!」
「うーん、でもイメージに合わないからダメ」
「なんで???」
その後一時間に渡って着せ替え人形にされたり、写真を撮られまくったりされて酷い目にあったのだった…。また今日撮った写真が後日みちるによって学校に出回っていたのはまた別のお話。俺とはバレてはないみたいで安心した。




