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77 映画を見よう

「映画見に行きたいって言うってことは、何か見たいものがあるのかしら?」

「その…私が楽しみにしてた恋愛映画がありまして…その…単純に気になってたと言うのもありますし、何か参考になればなと」


 フィクションの恋愛劇を現実の恋愛の参考にするのはいかがなものかと思うのだがその点どうなんだろうか、


「恋愛ものの映画ねぇ…私そういうのあんまり見ないかも!」

「私も…特に興味が湧かないから、見たことないわね…」

「そう言うわけだし、いざレッツゴー!」


 近くの映画館は…電車に乗って数駅、街中の方に出ないといけないので向かっているのだが…


「…視線がすごいわね」

「そうかな?、そうでもないと思うけど」

「多分普段から注目されてて感覚が麻痺してるだけだと思うわそれは」


 改めていうが、あるまは人気者なのだ。注目されることなんぞ日常茶飯事だろう…だがこの視線に慣れてない人も、今回は居る。


「あっ…あっ…あっ…」


 周りをキョロキョロして、明らかに挙動不審である。


「その…大丈夫?」

「あ、心配には及びません、大丈夫です…ウェッ」


 座り込んでしまった、こりゃダメそうだな。幸い近くに座っていた人が座席を譲ってくれたことで事なきを得た。


「まぁ着くまで数分あるから、ゆっくり座っておきなさい」

「…はい」

「雫ちゃん大丈夫?」

「…大丈夫…です」


 1ミリもそうは見えないのだが、まぁ心配させないように色々考えているのだろう、この状況ではなかなかに無理があると思うが。そんなことを言っていると目的の駅に到着。


「その…お手数おかけします」

「いいから、ちょっと休みなさい、目的の映画の時間まで、まだ余裕あるし」


 流石に体調がすぐれない中無理に歩かせるわけにもいかないのでな。あるまもコンビニに飲み物買いに行っているし、いい休憩になるだろう。


「やっぱり、あんなに注目されるのは初めてかしら?」

「…そう…ですね、あんなに人目に晒されたというか…見られたのは初めてで、それで…その…」

「大丈夫よ、気にしてないから」

「はい…」


 これどうするべきかね…あるまのおかげで外見の可愛さは、あるまに匹敵するほどにまでなった。だがこのままでは人と上手く関わることが出来ず、結局どうすることも出来ないのでは?、何か考えなくては。


「ただいまーーー!」

「帰ってきたようね、雨笠ちゃん、大丈夫?」

「はい…大丈夫です」


 映画館の前まで来た。休日ということもあり映画館も賑わっている。


「人多い場所…怖い…」


 …本当に大丈夫かしら???、まぁ目的の映画のチケットを買うために並ぶことに…


「ん、あそこにいるのは…」


 目を凝らして見てみるとそこには…


「ねぇみり、あそこにいるのって、みちるちゃんじゃない?」

「年上の先輩をちゃん呼びって、いつの間にどれだけ仲良くなってるのよ…」


 月乃みちる。俺の元カノである。前まではなかなか気まずい関係が続いていたが、今では誤解も解け普通に仲良くしている。雨笠と同じように、あの一件からよく話しているらしく、とても仲が良い。どういうことを話しているのか…聞いても答えてくれないのがちょっと怖い、一体何を企んでいるのだろうか。


「みちるちゃーん!、こっちこっち〜」

「なんで呼ぶのよ…」


 月乃はこっちに気づいた様子で、小走りでこっちに来た。


「あるまちゃーん!!!、今日は何か見にきたの?」

「雫ちゃんと、あと先輩とあの恋愛映画見るの!」

「私もさっき見てきたよ!、とっても面白かったから、私が保証する!」

「楽しみ〜〜!」


 二人で楽しそうに会話をしている。


「で、これが一緒に来た先輩の人?、私と同い年かな?」

「そうだよ!、よくわかったね〜」

「私の直感がそう言ってたから…ん?、いや、ちょっと待って?」


 そう言ってジロジロと見回し始めた…まさかとは思うけど…バレてないよね?


「……んー、私の勘違いだったらごめんなさいなんだけど…いや、やっぱりいいや,

 映画楽しんでね〜!」

「うん!、ありがと〜!」


 この場はなんとか切り抜けたようだ…、さてチケット買って…あとポップコーンとかも買っておくか、映画見ながら食べるポップコーンは格別だしな。


 月乃みちる:あとで確認したいことがある。""映画見終わったら連絡して""


 …あー…詰んだ?、絶対バレてるよ?、映画見に来てることに気づいてるっぽいし、ほぼ確信してるよね?、え?、そんな簡単に見破られるようになってるとは思ってなかったんだけど…


「どうしたの?」

「…いや、なんでもない」


 その先に待っている女装について問い詰められる恐怖を感じながら、映画を見なきゃいけないという地獄を味わうことになったのだった。

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