75 自信を持って②
「ちょちょっと、そんな遠くで眺めてないで、なんか言ってくださいよ!」
「可愛い服を勧めてあげてるだけなのになんで止める必要があるの〜、ほらほら〜」
なんというか…こう…うん、微笑ましい以外に言葉が出てこない。思い返してみれば、あんまり友達とかと仲良くしている姿というのを目にしてないなということに気づいた。男性には塩対応だが、女子の友達にはこういう接しかたをするのだろうか…これはこれで応援したくなるというか、とても面白い、
「ま、まぁ…いいんじゃないのかしら…とりあえず買わないにしても試着はしてみたらいいんじゃないの?」
「ほらほらこう言ってることですし〜」
「助けて〜〜〜!」
服を何着か引っ提げて試着室に入っていった。その中から小声で…。
「…雫ちゃん…もしかして私より大きい?」
「私のが大きいんじゃなくて、あるまちゃんのが小さいんですよ」
「なんだとー!」
…なんについて大きいとか小さいとか言い合ってるのかは置いておいて…試着室の中で争いを起こさないでくれ。
「ここお店なんだからね?、うるさくしないでちょうだいよ?」
「わかりましたー」
「は〜い、それにしても私より大きい…D?、いや、もしかしたらE行ってるかも?」
はよ試着しろよ…とか思いながら待っていると…
「あの…その…どう……ですか?」
「可愛いじゃないの、あなたもほんとの美少女よ」
「そうそう!、私が選んだんだから可愛いに決まってるじゃん!、よし!、買っちゃおう!」
「あ…でも…お金が」
「心配ないよ〜!、雫ちゃんのお母さんと話して、いろいろ出してくれることになってるから!」
「いつの間に…」
まぁつい先日の話だからな、知らないのも無理はないのかもしれない。
「あとはコスメだよ〜、私と一緒に選んでいこね〜」
「わ…こんなにたくさん種類が…私何が何だかわかんないです…」
「わかるわ〜、最初はよくわかんないわよね〜、色々揃えるのに苦労したものよ」
全部あるまと考えて選んだもので、今でもそれらを買い足しながら使っている。実際それらを使っていれば肌は綺麗になる。もちろんそれを習慣にしないといけないわけだが。使ってすぐ効果が出始める魔法の商品なんて、少なくとも現代の技術では実現不可能である。
「大丈夫!、私が全部教えてあげる!」
「お、お願いします!」
あるま先生のありがたいお言葉である。
「じゃあまずお化粧の前にお肌を綺麗に保つものから…」
…連れて回ることかれこれ一時間。数ある種類の中、雨笠には何があっているのか、ということを考えながら選んでいたから、思ったより時間がかかってしまった。
「たくさん…買いましたね…こんなに使えるんですかね」
「あー…まぁ使えると思うわよ、あるまちゃんは、これよりたくさんの種類のもの使ってるし」
「これ以上あるんですか!?」
雨笠は信じられないと言った表情であるまを見つめている。
「奥が深いよ〜とってもんね、あ、雫ちゃんまた明日、私の家に来てくれるー?」
「うん、明日も空いてるから大丈夫だよ〜」
明日は二人でメイクを徹底的に叩き込むらしい…よし、明日は久しぶりに休みに家でゆっくり…
「あの…その…先輩は来るん…ですか?」
「あ、いや、私は」
「もちろん来るに決まってるよね!」
「………」
安静の時なんて、存在しないのかもね…
〜〜〜
翌日…
「すまんな、毎日毎日」
「大丈夫だよ〜、来て欲しいのは私も同じだったし、これも必要な作業なんだよ〜」
「とはいえ毎日自分以外の人のメイクをするって大変じゃない?」
「んー、そこまで大変でもないよ?、だって楽しいんだもん!」
「あぁね」
自分の好きなこと、楽しいことをやっているから疲れることもないと、そういうことか。
「それに普段はかっこいいみりの姿を私の手で可愛くしちゃうってのは…なんだか…とっても…ゾクゾクする」
「…その言い方…なんか怖いなぁ」
「そんなことないもん!、だけど、私に頼らないと出来ない、つまりそれは私を必要としてくれるってことだから、とっても嬉しいんだよね〜」
そんなことを話しながら、今日も俺は女子になる…。準備を済まして待つこと数十分…
ピンポーン
「あ、来たかな?」
「もう約束の時間くらいだし、そうかもね〜、はーい!、今行きまーす!」
玄関に向かって駆け出して行ったあるま。
「さ、入って入って!」
「あ、昨日に続いて、今日もよろしくお願いします!」
「よろしくね、ま、私が教えるわけじゃないんだけどね」
今回はマジで見てるくらいしか出来ないからな。




