74 自信を持って
「どうも!、お、お待たせしました!」
「そんなかしこまらなくてもいいわよ」
朝早くにあるまの家に出向き、メイクを整えて、女の子へと変わった私。もはや慣れてしまったことに自分でも驚きを隠せない…あるまはノリノリ&俺に合う女物の服を無限に持ってくるもんだから服のレパートリーもかなりある…。いやこの前も言ったんだけどさ?、他のことにお金使おうよと思ってしまう。
「今日は雫ちゃんのために色々計画してるんだからね!」
「そうよ、しっかり味わって欲しいわ」
「あ、ありがとうございます」
スケジュールは美容院で髪を整えた後、服屋に行って服を買う、そしたらコスメ類諸々を購入するといった流れだ。うん、俺の時もそうだったような気がする。ただ途中途中では、女子のいい髪型とかを見定めるセンスがないため、あるまに頼ることになる。
「まずは美容院だよ〜」
「あ、あの、こんなところ、初めてで」
「それは勿体無いよ〜、雫ちゃんの可愛さを引き立たせるために必要なことなんだから〜」
どうにも緊張がほぐれない様子、ここは俺も一言…
「そうね、あなたが人気者になりたいってのなら、ここで一歩踏み出してみないとね」
そう言うと、雫はこちらに尊敬の眼差しを向けてきて…
「は、はい!、頑張ります!!!」
「…お店の中であまり大きい声出さないようにね」
髪型とかで色々言いたいことがあるのか、あるまは雨笠について行ってしまった。ここで少し俺は待ち時間となる。少し離れたところで美容師の人と話すあるまの声が聞こえる。あるまが思う雨笠に似合う髪型について色々話したりしているのかな?、ここからじゃ上手く聞き取れないけど…そうしてしばらくすると、あるまが戻ってきた。
「もういいの?」
「伝えるべきところは伝えたし、あとは雫ちゃんが綺麗になって帰ってくるのを待つだけだねぇ〜」
「そうか」
「私なんか綺麗になれないとか言ってるけどね…あの子しっかり顔整ってるから、髪とか服とか、あとスキンケアしたらとっても可愛くなるはずなのに!!!」
「ここ美容院だから声小さめにね」
「あ、そうだった」
お店の中では騒がないことを心がけましょう、まぁそうして待つこと約一時間。
明らかに周りをキョロキョロと見回しながら、恐る恐るといった様子でこちらまで歩いてくる雨笠。
「あら、結構印象変わったじゃないの、可愛いわよ」
「ほら!、雫ちゃんとっても可愛い!、やっぱり私の目に狂いはなかったってことだね!」
雨笠に可愛いと言ったその瞬間、あるまから刺すような視線が向けられたのだが、すぐに切り替えて雨笠を褒めに入っている。
「やっぱり髪で目元が隠れちゃうと、どうしても周りからの印象は暗くみられがちだからね、目元をしっかり出すようにするとそれだけで可愛く、そして綺麗に見えるわよ。そこに、あるまの雨笠さんに合うように考えられたヘアスタイル。これが合わさって、とても綺麗よ」
「あ、ありがとうございます!」
髪型だけでこれだけ印象を変えられるとは…俺の時も思ったけど、髪型って偉大だな。
次は服屋に向かう、女の子の服のセンスというか感性というか…そういうのもよくわからないので…純粋に俺が可愛いと思った服なら正直に意見としていうことにしよう。
「…自分で服選んだことないからわかんないです…」
「だよね〜、最初の頃はどういう服がいいのかとか全然わかんないよね〜、最初はそんなもんだよ〜、でも何回も来るようになると、こういうのはどうかな?、とか色々欲しいものがどんどん増えていくの!、と言っても難しいだろうから、私は一緒に選んであげる〜♡」
ウキウキで服を選びに入っていった。さて俺はどうしようか…なんか俺が一人で見て回るのも気まずいんだよな…というのも、今俺は女装して女の子になっている、だから側から見て違和感を感じることはないだろう…だが、男の俺が女物のコーナーを一人で彷徨くという行為そのものが、なんだか落ち着かないのだ。
「…ついて行きますか」
居た堪れなくなる前に、二人に合流することにしたのだった。だが、ついて早々…
「雫ちゃん絶対こういう服似合うよ〜、一回着てみてよ〜」
「無理無理、無理ですー!、私にこんな可愛い服は似合いませんからー!」
「もーそんなこと言わずに〜、ほらほら〜」
「ちょ、ちょっと、助けてくださーーーい!」
なんだこの地獄絵図は…




