73 作戦会議
「結構上手くやったんじゃないかしら?」
「…まぁ否定はしないけど」
雨笠の相談を聞き終えて、あるまと家に帰る。来週に新たな約束を取り付けて、色々と手を加えることで、自己肯定感を高めてあげられれば、きっと俺に依存することも無くなるだろう。きっとその方が、あるまに取ってはいいんだろうし()
「でもなぁ…毎週こういった女装が板に付いてくるのはねぇ…んー可愛かったら良くない?、まだまだみりに合う着せたい服がたっっっくさんあるし!」
「……だからなんで俺に合う女物の服がそんなに用意されてるわけ?」
「んー可愛かったら良くない?」
「良くない、てかさっきも聞いたわ」
…どこから俺用の服を買う金を工面してるんだか…そんなことする余裕あるなら別のことにお金使えよ…
「まぁ服のことはさておき、どうする?、来週」
「行く美容院とかは私の行きつけがあるからそこにしようと思ってるけど…」
「いや、そこは心配してないんだけど…お金の問題よ」
「あー…前も話したけどどうする?」
「そこも考えがあってな」
これまでの冴えない自分の変えたいという思いを聞いて、それを突っぱねる親がいるだろうか?、少なくとも俺は居ないと信じている。
「あるまにちょっと頑張ってもらわないとかも」
「なになに〜、なんでも任せなさい!」
〜〜〜
数日後、あるまと俺は二人でとある場所を訪れていた。
「行ってこいよ」
「でも…不安」
あるまが珍しく弱気になっている。こう言う時は、
「らしくないよ、あるま、あるまならきっと大丈夫」
ぎゅって、ハグしながらそう言葉を掛ける。
「えへ、ありがと、うん、私ならきっと出来る!」
自分の頬をぺちんと叩いて気合いをいれるあるま。
「よく、行ってきます!」
玄関のインターホンを鳴らし、出てきたのは、雨笠 雫のお母さんだ。
『はーい』
「雨笠 雫と同じクラスの、宵闇あるまと申します!、少しお時間よろしいでしょうか」
そうして二人は家の中に入っていった。それからどれくらい経っただろうか。あるまが家から出てきた。
「みりが応援してくれたおかげで、上手くいったよ!!!」
「そりゃ良かった、具体的な戦果は」
「雫ちゃんのために使ったお金は、後でお母さんが負担してくれるって!」
「お金の心配はこれでいらないな」
「うん!」
〜〜〜
「雫も、いい友達を持ったものね」
さっき、雫のクラスの友達が家を訪ねてきて、話がしたいと言ったから家にあげて、話を聞いてみた。
雫は昔から人見知りが激しく、学校でも友達があまり出来なかった。話したくて、でも周りと上手くやっていけない、と普段から口をこぼしていた。そんな中で、
『雫ちゃんの変わりたいって想いを、応援してあげたいんです!!!』
まっすぐな子だった。純粋に人の幸せを祈ってるかのような、まっすぐで曇りのない目だった。あれだけ人と話すのが苦手で、よく周りの人が怖いといっていたあの子にも、こんなにいい友達が居たなんてね。
『私たちは雫ちゃんを変えてあげたいんです、でも、学生の私たちにとって、それはあまりにも多くのお金が必要です、だから…助けて、あげてください』
子供の頃はたくさんやってみたいことがあるものよね。でもそれには全然お金が足りない。それに大人になっちゃうと、お金が入ってきても、自由に出来る時間がなくなっちゃう。私も昔のことを思い出しちゃった。私も昔は、あんな風に輝いていたのかもね。雫が少しでも楽に、そして幸せに生きられるなら、それに越したことはないと思うのよ。
「大切にしなさいよ、近くにいてくれる人って、とっても大事だから」
〜〜〜
「心配する必要、なかったでしょ?」
「うん、雫ちゃんのお母さん、とってもいい人だった」
「でしょ?」
「その言い方だと、みり、雫ちゃんのお母さんに会ったことあるの?」
「いやないけど」
「じゃあわかんないんじゃん!、もしかしたら怖い人だったかもしれないじゃん!」
「まあ結果的に優しい人だったんだからそれでいいじゃん」
「もー!、確かにそうなんだけどさー!」
問題は解決したと言うのに、何を怒っているんだか。
「まぁまぁまぁ、帰りましょ、明日は忙しくなるよ」
「…あ!、もう明日なの!?、ちょっと〜!、まだ色々考えなきゃ行けないことがあるのに〜!」
家に帰って明日のことを考え話し合ってるうちに、お互い疲れていたのかすぐに眠りについた。そうして雨笠イメチェン計画当日が幕を開ける。




