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69 可愛い女の子

「そ、 "私" でいいの」

「その、わ……たしに女装させてなにやりたかったの?」

「ふふ〜ん、女の子になったかっわい〜いみりと、一緒にお出かけしたいな〜って」


 だから午前中に来るように言ったのかなるほど…じゃなくて!、え、これで今から外に出なきゃいけないの???、すごく恥ずかしいというか…


「え、でもバレるなんてことがあったらどうしよう…」

「確かに声出しちゃうとバレちゃうかもね〜、またそこは追い追い考えれば良いよ、でも外見はとっっっっっても可愛い女の子だから大丈夫!!!」


 あるまが大丈夫でもこっちは大丈夫じゃないんですけど!?、と心の中で叫んではみるものの、当然それはあるまに届くことはないのだった。


「今日はいい天気でよかったね〜、みりちゃん!」

「……」

「前から思ってたんだけど、みりって女の子の名前のイメージがあるんだよね〜、なんだか可愛いし」


 …まぁ確かにそうかもしれない、あんまし男でみりって名前聞かないし、というか "あるま" という名前も、可愛いかかっこいいかで言うと、かっこいい寄りの名前だと思う…あれ?、俺って男らしくない?、いや今は女の子(女装)になっているから男らしさの微塵もないわけなのだが…


「なんだか悔しいな」

「何が〜?」

「男なのにかっこいいじゃなく可愛いって言われるのが」

「今のみりは女の子だから間違いなく可愛いし、そうじゃなくても女子が男子に可愛いって言うのはかなりポイント高いんだけどな〜」


 そういうものなのだろうか、


「あ、あそこのカフェ行ってみようよ!」

「並んでるの女子しか居な…」

「何度も言うけど、今のみりは女の子なんだからいいの!」

『ちょっと、そこのお二人さん、ちょっとお茶して行かない?』


 いきなり後ろから誰かに話しかけられた。


『ちょっと俺らとお茶して行かない?、もちろんお金出すからさ』


 金髪の、いかにもチャラそうな男二人…もしかしなくてもナンパだよな?、ってことは俺が男だとバレていないと言うことになる…。俺が地声出せば離れていくかな?、それでこいつらが去ってくれるなら…と思ったのだが


「なんで気持ち悪いナンパどものために時間使わなきゃいけないわけ???」


 あるまが見下すような視線を向けながら、毒舌を隠す気もなくそう言い放った。


「私は二人で遊んでるの、そこにあなたみたいな気持ち悪い人が入る余地はないの、わかる?、あ、わからないからこんなバカみたいなことをするんだね、ゴメンね???」

『声かけただけでそこまで言わなくても…』

「あなた達みたいな気持ち悪い人にはここまで言わないとわかんないだろうって親切心なんだけどな〜、わかったらさっさとどっか行ってくれる?」

『で、でも、ちょっとくらい』


 このナンパもしぶといな、ここまで言われてもまだ引き下がらない。どういうメンタルしてるんだこいつは。


「はぁ………私はあなた達と関わる気がありませんってハッキリ行ってあげてるのに、それが何でわかんないかな〜。あなた達に構うだけ時間の無駄、人生の無駄、そんな汚らわしい、よこしまな目でみてんならとっととどっか言って、死ねばいいのに」


 言葉の刃を突き立てまくってる、流石に可哀想になってきたぞ…


『言わせておけば!!!』


 ナンパ男が逆上してあるまに掴みかかろうとした…まずい、間に合わない…!


「もう守られるだけじゃないから」


 そう俺に言うと、あるまは相手の腕を掴んで捻って、歩道のど真ん中に叩きつけていた。


「あんまり女だからって舐めないで欲しいかな…これ以上何かするなら、警察に通報するけど、あ、ここ結構通行人いるし、もう誰か通報しちゃった?」


 少しずつパトカーの音が近づいてきている辺り、おそらくみていた誰かが通報していたのであろう。そうして到着した警官によって、ナンパ男を連行されて行った。


「ふー、一件落着〜、あ、結構人が集まっちゃったね…、皆さーん、もう大丈夫ですよ〜!、ご心配おかけしました〜」


 あるまはすごいな、こういう時も落ち着いて行動できて、俺なら絶対固まってしまうだろうに。自分のやることに自信を持っている、それでかつ、周りへの配慮も忘れない、俺にはないものをたくさん持っている。


「さ、みり、カフェ行こ!」


 さっきナンパ男に見せた、心から軽蔑しているような表情とは裏腹に、こっちには満面の笑みを見せるあるま。この笑顔を、いつまでも守ってやりたいって、そう思った。

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