66 思いがけない復調
久々の登校だ。朝早く起きるのも(元日以来)久しぶりだから結構気だるい。
「ほら、みり、行くよ〜」
「ふぁ〜い」
そうだそうだ、あの斎藤とかいう奴は二ヶ月間の定額らしい。噂を流したのもあるが、それに対して金銭的なやり取りがあったことが問題視されたようだ。ちなみに金銭を受け取った月乃の友達も、二週間の謹慎処分となっている。変な奴がいなくなったから、学校で変なことを言われる心配はないわけなのだが…
「…でもやっぱり気掛かりだなぁ…」
「どうしたの?」
「いや、大丈夫、大したことじゃない」
そんな心配をよそに上機嫌に歩いていくあるま。トラブルに巻き込まれて尚元気でいるあるまを見ると、俺も悩んじゃいられないなと思った。そんなことを思いながら教室に入ると…
「「「あ!!!」」」
なんだいきなり!
「彼女の危機に颯爽と駆けつけて助けたってほんと!?」
「いやぁ最初のことはなんでお前が宵闇さんの彼氏でいれるんだとか思ってたけどあれは惚れるわ〜」
「「またお話聞かせてください!!」」
「え、ちょ、いきなりなになになに」
怖い怖い怖い急になんだ、何があったと言うんだ。助けるように周りを見回していると、こちらを眺めている月乃みちるが、こちらの視線に気付いたのか"てへぺろ"といったような様子を見せた…
(お前の仕業かぁぁぁぁ!)
新学期の登校から早々、なかなか酷い目に遭った…というか、それよりも変な噂でなく、自分のイメージがいいように向かっていたことの方が意外だった。
「やぁやぁ、君も人気者だね」
「好きでなってるわけじゃないよ」
「そうかい?、煙たがられるより100倍はいいと思うけどね」
そういうのは俺の少ない友達であり親友の柊だ。
「関われるなら存分に関わっておくことをお勧めするよ、作った人脈は後々自分を助けてくれるかもしれないんだからね」
「作った人脈に裏切られる事例もあるってことを知っておいた方がいいと思うぞ」
そう、俺は基本的に、広範囲に人脈を広げるということをしない。薄っぺらい関係性なんて作ったところであまり意味がないと思っているからだ。それなら少ない人数に絞って、仲を深めていく方がよっぽど有意義だと思っている。
「そういうこと言うからあんま学校で話す人もいないんじゃないか?、気づいてると思うけど、藍星って、今結構人気ある方なんだぞ?」
「そうなのか?」
「ラブコメの鈍感系キャラかよ」
いやまぁ自分でもわかっているよ、イメチェンした時周りの女子にたくさん話しかけられたり…それにその時にあるまと買ったスキンケア用品の数々を欠かさず使うようにしているため綺麗、そしてあまり外に出る人でもないから肌も白い。流石にここまでやっているから自分にある程度の自信はある、だが自分から俺人気あるしみたいに言うやつってなんか嫌じゃない?、だから俺は言わない。
「…まぁ…お前もこれから大変だなってだけだ」
「はぁ」
何を言っているんだ?、その疑問は昼休みにわかることになる。
「一緒に学食行かない?」
「いや俺と食おうぜ」
「おい藍星が困ってるだろうが、俺についてくればいいと思うぜ」
「もう、取らないでよ!」
なるほど…なんかこれ、イメチェンした時にも同じようなことがあったな…あの時と違うのは、男子も寄ってきているということ。正直面倒な事この上無い。
「とっとと抜け出すことにするか」
そう言って周りの人をかき分けてクラスを出る、向かった先はもちろんあるまのクラスだ。
「わ!、先輩じゃ無いですか、どうしたんですか、もしかして…」
「いやお昼ご飯だし、あるまのことを呼びに」
教室の手前で、雨笠に遭遇。
「あ…そういうことですか…」
「ん?、どうかしたか?」
「なんでも無いです!」
そう言うとどこかに言ってしまった。
「あるま〜、ご飯食べよ〜」
教室にいるあるまに声をかけると…、あるまのクラスの何名かがこっちをみて何か慌てたような様子で周りと話している。
「あ、今行こうと思ってたところ!、みりが教室まで来てくれるの珍しいね〜、行こ〜」
そうして、クラスの人に見せつけるかのように腕に抱きついてきて、一緒にお昼を食べに行くのだった。
(みりはもう人気者なんだからね?、鼻は高いけど、みんなが魅力に気づいちゃったら困っちゃうよ…絶対離さないから)
第三章「あなたの好きを導いて」、始まりです。
この章では第二章の後半で登場し、現状そこまでキャラが深掘りされていない、
『雨笠 雫』にフィーチャーしていきます。また、みりが新たな扉を開くかも?、物語はここで一区切りつけて完結させる予定です。
(物語自体が完結するわけではありません、今後続編を書く予定はありますが、その前に新作を挟むので、どうぞよろしくです)




