63 年末の頃
クリスマスイブのあの出来事から数日。クリスマスが終わった世の中、すぐにお正月に向けた準備が行われる。スーパーなどに行ってもクリスマス当日にはもうお正月用のものが色々並んでるのである。
「今年もあと何日かで終わっちゃうね〜」
「そうだな」
お正月に向けた準備をしているのは世の中の人たちだけでなく、もちろん自分たちも例外ではない。
「おせちの用意しないとね〜」
「それも自分で準備するの???」
「難しいのは出来ないけどね〜、あくまで簡単なものだけ」
黒豆は仕込むらしい、後は伊達巻きとかも、他は買って調達…と言うか伊達巻きってそんな簡単に作れるもんなのかな?、作ったことないから知らないけど。
「まぁまた今度みりのいない時にやっちゃうかな〜、結構時間かかっちゃうし」
「頑張れ〜」
…おせちか、あんまりうちの家ではあまり正月らしいことはしない。初詣は人が多すぎて行くだけで億劫になるし、おせち料理も食べない。ただお雑煮だけは毎年作るけども。
「そういえばみりって初詣行くの?」
「いつもは行かない、人が多すぎるからどうにも好かない」
「え〜もったいないよ〜、毎年一回のイベントを逃すだなんて、今年は一緒に行こうよ〜」
「やだ、めんどくさい」
「……だめ?」
上目遣い、ダメ、絶対、そうされると断れないから。
「あー…うん、わかった、行くから行くから、泣きそうな顔やめてくれないかな?」
「やったー!」
行くと言ったらこの変わりようである、今後もこうされてしまうと俺は一生断ることが出来ないんじゃ…。
「あ!、そういえば年越しどうする?」
「…というと?」
「年越しを一緒にするかって聞いてんの!、年越しのことを聞いたんだからそうに決まってるじゃん!」
いやそれは知らん。
「…年越しの瞬間は家族と一緒に居るもんじゃないのか?」
「未来の家族って意味では、みりもそうだと思ってるけど」
「あるまの中で結婚することは決まってのだな」
「そうに決まってるじゃん?、というか私の人生設計の中心はみりなんだからね?」
そう言う見方もあるのか…と言うか自分が中心の人生設計なんて、俺の身に何かあったらそれで崩れてしまうようなものじゃないか。
「…もし俺が居なくなったらどうするんだ?」
「居なくなろうとなんて、思ってないよね???」
久しぶりに見たよ、身の危険を感じさせるネタじゃないガチの視線…目のハイライトを消したような光のない目。
「いや、消えようとなんてひとかけらも思ってないけど…あるかもしれないじゃん、事故とか病気とかどうしようもないことがあったら」
「うーん…そしたらみりを追って私も死ぬね」
そんなことを冗談じゃなくガチトーンで言うあたりなんというか…
「もし仮に俺が居なくなるとしてもあるまには幸せに生きてほしいなって思ってる」
「でもみりが居ないと今の私は生きてる理由が…って、なんでみりが死んじゃう前提で話が進んでるの!、絶対に私が生きてる間は死なせないから!」
「少なくともあと70年は死ぬ予定はない」
一体俺たちはなんて話をしているんだろうか。
〜〜〜
12月31日、大晦日の日。ついに今年が終わってしまう年越しの日でもある…時間は、自分が思ってるより早く過ぎ去ってしまうもの。そして俺は…
「ちょっとみり!、自分の部屋の大掃除くらい終わらせててよ!」
「いやーめんどくさくて」
大掃除をサボっていたツケが回ってきた。
「も〜!、夜まで一緒に遊ぼうと思ってたのに、こんなんじゃ遊べないじゃん!」
「いや別に良いけど、明日やればいいし」
「年越し前に大掃除を終わらせてないと意味ないよ!」
そういうものなのだろうか。
「だから…私も手伝う!」
そうして一緒に片付けること一時間…。
「やっと終わった〜」
「そんなに時間かかることじゃないのになんて後回しにしちゃうにかな…絶対先に終わらせてたほうが後々楽なのに…」
「それでちゃんとしてたらこんなことにはなってない」
面倒なものは面倒なのだ。
『みりー、あとあるまちゃーん、晩御飯出来てるわよ〜』
「はーい!!!」
あるまがうちの家で晩御飯を食べて行くのも、そう珍しいことではなくなっていた。
「ふー美味しかった〜!、ごちそうさまでした!」
「あんま量無かったな、これ後々腹減りそう」
…でも、大晦日ってことは
『後で年越しそば作るから、晩御飯はちょっと少なめよ、足りなかったらお餅焼いて良いわよ』
「楽しみにしてまーす!」
そう言って、色々やることを終わらせてくると言って一旦家に帰っていった。
後書き
第三章に入る前に、何話か挟みます。間章はこのお話含め三話の予定です。年末から三学期が始まるまでのちょっとしたお話たちです。




