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62 伝えたかった想い

「…綺麗」

「ふふーん、この姿に見惚れなさい!」


 姿はいつもと違って…いや、いつもに増して綺麗だが、話し方の調子はいつも通りでなんだか安心した。


 そうしてこの二ヶ月間を振り返りながら、あるまセッティングの晩御飯を食べればここからは俺のターン。クリスマスイブの夜、外にはカップル達がこの特別な一日の夜を楽しんでいる。それは俺たちも例外ではない。


「あっちの公園行こ〜」

「うん!」


 二人手をつないで、楽しそうに歩くあるま、そして自分ではわからないが、きっと自分も笑ってるんだろうなってことを感じる今。きっとそれは、周りから見て初々しいカップルそのものだろう。


「ねぇみり、私、みりと付き合うまでに、本当に色々頑張ったの、なんでも一人で出来るようにしたんだよ?」

「見ればわかるよ、だってあるま、初めて会った時とは比べ物にならないくらい、なんでも出来るようになってるし、すごく…俺としても誇りに思う」

「えへへ〜、でしょ〜?」


 本当にそうだ。最初は誰にも話しかけに行けない人見知りな女の子。自分に自信もなく、自分一人じゃなにも出来ないような子だった。それが今では容姿端麗、文武両道、おまけに料理、掃除、洗濯その他もろもろの家事もなんでも出来る。俺には勿体ないんじゃないかと常々思うような完璧な子なのだ。だけど、それもこれも全て、


「でもでもでも、全部みりのために頑張ったんだよ?」


 全部俺のために頑張ってくれたと言うんだから、俺としても感動ものよ。


「結果的には、あいつの噂で全て掻き回されたような気がするけど…そんな中手を差し伸べてくれてありがと、あの時すごい救われた」

「好きな人が苦しい想いしてたら助けるのは当然だよ〜、だって、好きな人には笑顔でいてほしいじゃん!」


 確かにね、俺もあるまにはずっと笑っていてほしい。そうやってお互いがお互いのことを思い合うことで、()ってものは生まれるんだろうね。


「毎日美味しいお弁当作ってくれてありがとね、美味しいお弁当、とっても美味しかったよ」

「とっても美味しかったってことは伝わったよ〜、ありがとね、毎日美味しそうに食べてくれるから作るこっちも楽しくなるんだよね〜」


 毎日、ほんとに助かってます。


「辛い時傍にいてくれて、くだらない話も毎日聞いてくれて、いつも大好きって伝えてくれて、この日々は、この人生の中で一番満たされてるって自信を持って言える。でもいつもはあんまり気持ちを正直に伝えられてないなって思ってさ」

「嬉しいね〜、どういうこと〜?、みりからはもう十分愛を受け取ってるよ〜」

「それならいいんだけどね、でも直接言うのはまだまだむず痒い時が結構あってね。だけど、今この時なら言える気がするんだよね」


 俺はあの時、本当に伝えたかった想いというものを自分から言えてない。相手に言わせてしまったのだ。だから今日こそは、自分から言ってやるんだって。


「今までもありがとね、そしてこれからも…俺と付き合ってください!」

「っぷw、あっははw、これまで聞いたことのないようなセリフだったからちょっと笑っちゃった、ごめんね。うん、これからも、いっぱい付き合ってね、みり、ま、離す気も逃がす気もないけどね」

「こっちも離れる気ないから大丈夫よ〜、不束者ですがこれからもどうか…」

「よろしくお願いしまう…あーもー!、肝心なところで噛んだ!」


 こういう雰囲気の場所でも、あるまはあるまだなって思うと、なんだが自然に顔が笑顔になっていく。


「もー!、ニヤニヤしないでよ!」

「いやいや、なんだか嬉しくてさ、うん、それだけ」


 二ヶ月前、失恋して真っ暗だった僕のことを救ってくれたのは、隣の家の女の子、"宵闇あるま"でした。俺はきっとその時から…いや、それよりずっと前から…


「ずっと前から、あるまのことが好きだった!」


 もう全て、馬鹿正直に伝えてみようと、


「うん、私も、一番初めの頃から、みりのことが好きだった…もう、今になってやっと言ってくれた、遅いよ!、もう!」


 そんな想いに、彼女は答えてくれた。怒っているような言い方だけど、そんなのがどうでも良くなるくらいの幸せな顔。


「ねぇ、あるま」

「…ん」


 目をつぶって俺の前に立つ、そこに静かに顔を近づけて。


 初めての、口付けをする。


「…ちゃんとしたのは、初めてだったね、みり」

「う、うん」

「ありがとね、こんなサプライズを用意してくれて」

「サプライズというほどサプライズではなかったように思うけどね」

「いいの、私がそう思えたら」


 僕は自分の思いから逃げていたことが多くあったと思う。自分も人と関わるのは苦手で本当の伝えたかった想いというのを隠して生きることが多かった…でも今は、今だけは、自分に正直でいようと、そう思えた。自分の考え方を、生き方を曲げずにいてもいいんじゃないかって、そう思えた。


「これからもいろんなことがあるだろうけど、しっかり付いて来てね」

「もちろん」


 恋人になってから二ヶ月、様々なことがあった二ヶ月。あの頃の下を向いていた藍星みりはもう居ない。守りたい人と一緒に、次のステージへ進んでいく、そんな決意を胸に、明日からも生きていこうと、そう強く誓った。


「じゃ、帰るか」

「明日も遊ぼうね!」

「え〜」

「明日がクリスマス本番なんじゃん!、楽しまなきゃ!」


 二人の道はこれからも続いていく。


 第二章「過去のしがらみと」、完結です!。


 藍星みりの過去のしがらみ、過去の恋愛で何があったのか、それを読み解く中で、裏で暗躍する一人の…今章での悪役である斎藤の私欲と妬みによるものだったと…。幸い、宵闇ちゃんは警戒心が強く前の月乃さんの時のようにはなりませんでしたが…一歩間違えればどうなっていたのか分かりません。ただ、恋人のことを信じ続けたその姿は、間違いなくかっこよかったと言えるものですね。


 悪役の齋藤氏に関して言わせてもらうと…なんかすごい創作感漂う名前のキャラが勢揃いしてる中、一人だけ名前が普通なんですよ(名前考えた奴が言うな)。あと持論を述べるとあーいう裏で暗躍してる系の悪役は基本小物です。

 正々堂々とした黒幕は正面から勝負を仕掛けてきますのでね。そういう悪役はカッコイイとも言えるのではないでしょうか?、まぁきっと、世はそれを好敵手ライバルと呼ぶんでしょうが。まぁ少なくともこいつは絶対に違いますけど(笑)


 この恋愛小説を書こうと決めた上で事前に考えていた内容はここまでとなります。この先の展開どうするか…この話を書き終わった時点ではあんま考えてないんですよね…まだまだ書いてない季節イベントがあるので続けていく予定です。


 まだ登場させて、深掘りも出来てないキャラ(雨笠 雫)もいる事ですし…色々考えてることがあるので…これからもこの作品をよろしくお願いします!。

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