57 黒幕
〜20XX年12月24日 (金) 〜
今日は二学期終業式であり、クリスマスイブでもある。学校に着くとやはりみんな浮ついている。
「今日で学校終わりだな!」
「やっと冬休みかぁ〜長かったなぁ〜」
なんだか数日前にほとんど同じ会話を聞いた覚えがあるような、そんな気がする。
「お前もなんだか楽しそうにしてるじゃんか」
「柊…お前も…もしかしてタイムリープに入って今日という一日から抜け出せなくなる展開になったり…」
「そんなことはないから安心しろ、てかなんで俺が突っ込んでるんだよ、ツッコミは藍星の担当だろ?」
決してそんなことを決めた覚えはないのだがな、でも言われてみれば…
「確かに俺がツッコんでばっかりな気がする」
「だろ?」
『やぁやぁお二人さん、朝から楽しそうですね』
俺ら二人の会話に割って入ってくるのは…
「斎藤?、一体何よ」
「いや何も、ただ顔を見に来ただけだよ」
「帰れ帰れ、お呼びじゃないよ」
「そうかい」
そう言うとすぐに後ろを向いて席に戻っていったのだが…、斎藤がこっちを見て不敵に笑ったような、そんな気がした…何かいいことでもあったのかな?、でもああいう思い出し笑いは側から見て気持ち悪いと言われることがあるので、俺は気をつけている。
「今日の時刻予定わかる?」
「終業式やって、大掃除があって、LHRで終わり、大体12時、昼くらい?」
予定どうりお昼に終わったら、急ぎめに家に帰って…二人での特別な時間の始まりだ。
「てか終業式眠すぎだろ、長すぎるんだよ話が」
「同感」
くだらないことも話しつつ終業式を終わらせ、掃除も淡々と行い、早くも下校時刻になった。あるまの約束通り校門のところで待っておくことにしたのだが…あるまと同学年の人がちらほら出てき始めたにも関わらず、あるまはまだ出てこない…急いで出てくると言っていたのに…でもわからない、もしかしたらあるまのクラスは終わるのが遅れているのかもしれない…もう少し待っていればきっと来るだろう。
…いや、本当にそうなのだろうか?…一つ疑念が浮かんでしまうと、それを晴らすまで安心することが出来ない…でも行ったら迷惑かもしれない…でも…そう葛藤していると、一人こっちに向かって息を切らしながら走ってくるのが見えた。
「あるま…じゃない?、いや、あれは」
「先輩ーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「雨笠?」
"雨笠 雫"、あるまと同じクラスにして、この前俺に人気者の秘訣を聞いてきた、圧倒的後輩キャラ(実際後輩だが)。あんなに慌てて一体どうしたというのだろうか。
「ん、雨笠?、一体なんでそんなに急いで」
「…ハァ、ハァ、あの、その、宵闇さんが」
「…!、何かあったの!?」
「宵闇さんが、先輩に!」
「!!!」
俺の頭は真っ白になった。
〜〜〜
《月乃みちる視点》
今日、藍星君にこのことを教えないと…でも、どうしても気まずくて話すことが出来ない。昔私がしてしまったことは、周りに騙されたような感じであったといえ、彼の心に大きな傷を作ってしまったことだろう…だからあれからずっと顔を合わせられない。
でも、昔のことなんて気にしている場合ではないことはわかっている…でも、それでも
『みなさん来年会いましょう、良いお年を〜』
結局終業までいうことが出来なかった…私はいつも決意が弱い。
…直接藍星君に言うのが難しいなら、今の彼女の宵闇さんに言えば…と思って教室の近くまで来たんだけど…。
「よくよく考えたら宵闇さんとほとんど話したことないじゃん!!!、多分私、藍星君を酷く振った人って見られてるじゃん!!!、そんな人と面と向かって話すなんて!…私には無理だよ!」
クラスのみんなには元気で誰とでもすぐ仲良くなれるキャラで通してるけど、元々私は人見知りも激しい人だった。だからこういう時はどうしても…。
『おい、ちょっと来てくれよ』
『嫌です、人を待たせてるので』
宵闇さんと誰かが話している声が聞こえる。恐る恐る顔を出して宵闇さんと話す相手を見る。
私がかつて告白された相手。その後私の評価を下げる噂を広めて私を追い詰めてきた憎き相手。そして、私が藍星君と別れるきっかけとなった噂、そして今学校中に流れる噂の大元と思われる相手。
表面上は誰にでも優しく接して、そうして周りに付け入る隙をいつでも探っているような腹黒。自分に気に入らないことがあると、自分がやっているとバレないような用意周到な方法で相手を陥れ、自分の目標を達成しようとする、そんな人間。
それが、"斎藤 修"だ。




