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53 不穏な噂③

 〜一日前に遡る〜


 私は宵闇あるま、今週金曜はクリスマスイブ!、デートが楽しみでずっと上機嫌です!、早くその日にならないかな〜って考えながら過ごす毎日も楽しいんです!、なんだけど…


「宵闇ちゃん、あなたの彼氏さん…大丈夫?」

「ん、みりのことがどうかしたの?」

「いや、その、あなたの彼氏、たくさんの人と関係を持ってるって聞いて…いろんな人が言ってるけど…宵闇さん大丈夫かなって思って」


 誰?、そんな見当違いなことを言ってるのは…。みりが浮気?、何股もしてる?、そんなのありえない、みりには言ってないけど…スマホの位置情報を定期的に私に送られるようアプリを入れておいたし…頻繁に私から連絡してるし通話もかけてる…言ってしまえば私は常にみりを監視できるようにしてる。それにみりの性格的に浮気なんでしない、いや、出来ない、出来る訳がない。


 そんな理由から、私はみりが浮気してないことを知っている…だからこそこういう話を聞くとイライラする。みりはみんなが思ってる100倍はいい人だじ、100倍魅力がある。それに比べて他の人たちは…《《人気者の》》私に執着しているだけ、容姿端麗な姿に見惚れているだけ、誰も内面なんて見やしない。


 結局そんな人がほとんどなんだって思ってから周りに期待するのをやめた。そうやっていろんな人からの誘いを断っていたらいつしか、

『難攻不落のお姫様』

 とか、

『学年一の塩対応マドンナ』

 とか呼ばれるようになっていった。興味ないので、と言って断っていた告白を、いつしか好きな人がいるので、という言い方に変えて断っても告白してくる人は大勢居た。見込みもないのになんで希望なんて持つんだろう…意味がわからない。


「私は大丈夫だよ〜、所詮噂だし」

「でも心配だよ、お話はいつでも聞くからね〜、何かあったら言ってね〜」


 この子達は本気で心配してくれてる…でも一部の男子達は私がみりと別れたら自分達にチャンスが回ってくると思ってるみたい…浅はかというか気味が悪いというか。そもそも誰がこんな噂流したんだろ…探し出して問い詰めて、もう一生私の周りに関われないように…そうして何限か授業を受けてお昼の時間、私はなぜか一個上の男の先輩の人に呼び止められていた。


「…なんですか、いきなり私を呼び止めて」

「最近、藍星君に関する噂を耳にしたよね?」

「…それがなんだって言うんですか?」

「正直、藍星君とは別れた方がいいと思うよ、あんな女を泣かせてきた人、君の彼氏に相応しくない」

「!!…それは私が決めることです。周りの人に指図される筋合いはありません、それでは人を待たせておりますので」

「ちょっと!…藍星なんかといると、いつか後悔することになるぞ、いいのか?」

「いいですよ、私にとって、みりの近くに居られれば、それでいいんです…と言うか、そばにいるだけで、幸せなんですよ」


 まだ先輩の人は何か言いたげだったが、それを待たずに走ってその場を離れた…名前くらい聞いとくべきだったな、あれじゃ誰が聞いてきたかわかんないじゃん。



 その後、みりと一緒にお弁当を食べたけど、お互い口数が少なくて、少しだけ気まずかった…みりはこの噂について知っているのだろうか…この話を知っているから、私に話しかけてこないのかもしれない…。その様子が気になって、放課後、みりの向かう場所に黙って私もついていこうと思う…そしたらみりが知らない女の子と喋ってる…。


 まさか本当に浮気を???、ちょっとこれはまた後で尋問しなきゃね。それよりもみりと話しているあの子は誰だろう。あれは確か…見覚えがある、同じクラスの女の子。名前は確か…雨笠 雫…あまりクラスでは活発じゃなくてずっと一人でいる印象が強い子。一体何が目的でみりと話してるんだろ?、後で聞き出さないと…。


 もうちょっと近づこう、ここじゃ何話してるのか聞こえないし…。ちょっと離れたところから聞き耳を立てていて聞いたのは…みりに対する噂話のことについてだった…よかった、浮気とかそう言うのじゃなくて安心した…ん?、相談事をたまに聞いてもらう?、連絡先を交換した?…やっぱり後でとっちめておかないと…この私が彼女なんだってことをわからせないとね。


 でも、みりも噂話については把握してるみたい…。みりに変なこと言う人は私が絶対に許さない。見つけ出して、必ずボコボコにする、決めた。大丈夫だよみり。私が守るから。

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