51 不穏な噂
月曜日、学校が始まる一週間で最も忌み嫌われる曜日…だが、今週はどこか様子が違うようである。
「今週で学校終わりだな!」
「やっと冬休みかぁ〜長かったなぁ〜」
クラスのみんなはもうすぐ冬休みに入れるからこそ浮かれているように見える。まあそういう自分も…
「色々考えたんだからね?、クリスマスデート、楽しみにしててね☆」
「そりゃあもちろん」
金曜日、終業式の日でありクリスマスイブ、学校が終わった後にデートをすることになっている…楽しみで結構うずうずしている自分がいる。これも周りから見て浮かれている人になるのだろうか…。
「お前もなんだか楽しそうにしてるじゃんか」
「うるせぇ」
「まぁいいじゃねえか、宵闇さんと上手くやるんやで!」
柊が茶々《アドバイス》を入れてきたが余計なお世話だ。言われなくたってちゃんとやるさ。
「っと、そんなことを言いたくて話をしに来たわけじゃなかったんだった。」
その言い方だと本題は別にあると言うことか。
「最近…先週の金曜日辺りからだったかな?、妙な噂を耳にしてな」
「妙な噂?」
「あぁ、それにかなりのスピードで広がっているらしい」
「そうなのか…ちなみになぜ俺にその話を?」
噂が広がっていると言っても、自分の耳に一切入ってきていない以上なんともいえないのである。
「…それがお前についての…よくない噂でな」
「!!!」
なぜ?、俺は噂になるようなことをした覚えはない。というかそうか、俺についての噂が俺のところに流れてくるわけがない。だから何も聞いてなかったのか。
「え、ちなみにその噂の内容はどんなもの???」
「…落ち着いて聞いてくれよ、噂によるとお前が何股もしているっていう話だ」
???、なぜそんな噂が流れているんだ?、月乃と付き合っていた頃も、そして今も浮気をしたことはない。自分で言うのはなんだが一途であると思っている…ならこの噂はどこから流れている?、誰かが悪意を持って流していることはほぼ間違いないだろう。
「なぜそんな話が?」
「俺も人づてに聞いただけで出所とかまではよく解っていない、だけど俺が聞いた頃にはかなり広がっていたようだし…このクラスに噂を流した人はいないんじゃ?、と思う」
「うーむ…」
なぜ?、どうして?、考えれば考えるほどわからなくなる。どこかで恨みを買っていたのだろうか…いや、そんなことはどうでもいい、今大事なのはこの噂の元を断ち切ること、自分がやっていないことを、事実無根であることを広められてはたまったもんじゃないからな。
「…どうにかしようと思ったはいいものの…」
現状全く情報がない。誰が流したのか、その手がかりになるものでさえ一切。
「ちょっと俺の方でも話を聞いてみるけど、あんま期待はすんなよ?」
「助かるよ、柊…というか疑問に思わないのか?、俺が本当にそう言うことをやっているって」
「それは、あれだ、藍星とはなんだかんだ一年半の付き合いじゃん?、これまでたくさん話したし、遊んだじゃん?、だから信用しているってのと、あと…」
信用か、嬉しいこと言ってくれるじゃん、いつもうるさい奴だと思っていたが、やっぱり根は優しいやt…
「お前はヘタレだからな、何股とか出来るわけないだろ」
前言撤回クソ野郎だわこいつ。
〜〜〜
「あ、ちょっと遅いですよ!」
放課後、先週の金曜日に図書館で話して、またここで落ち合う約束をした、"宵闇あるま"の後輩、"雨笠 雫"。
「すまんすまん、終礼が遅れてな」
「それで…早く聞かせてくださいよ、人気者の秘訣を」
「あぁ、そうだったな」
あるまと帰りながら聞いたことを軽くまとめて話した。個性が重要であること、その人のことを知らない人でも、こういう人なんだというのを解ってもらえるような印象、人を惹きつける魅力…などが大事であるという話を。
「…ってのがあるまに聞いた話と、それを聞いて俺が思ったことだ」
「なるほど…個性…魅力…ハハ、私には無縁なものですね、どうやっても私は人気者になれないと、そう言うんですね、人気者になれない私への当てつけなんですね、どうせ私なんて…」
また一人の世界に入って行ってる!
「そこまで言ってないし、なんかヤバいこと呟いてるし…い、一旦帰ってきて!?」
「人気者なんでみんな消えてしま…えっと、その、見苦しいところをお見せしてしまって申し訳ないです、あ、ありがとうございました!」
そう言ってこの場を立ち去ろうとする雨笠、ただ俺としても聞きたいことがあるので呼び止めて話を聞くことにした。




