41 消えない疑念
〜約二ヶ月前〜
みりと別れてから、一週間がたった。みりは…あんな言い方でフッたのだから私に話しかけには来なくなった。授業もたまに耳に入ってなさそうな印象で、生気のないように見えた…ダメダメ、あの人は何股もしてたんだから、同情なんてしちゃダメ…でも本当に…みりが何股もするような人だったのだろうか。
みりの言動からは私を大事にしてくれてる気持ちが溢れていた。あれが嘘だとは到底思えない。思いたくない。まだ心の中で、みりを信じたい気持ちがあった。そう思っていたのに…
『一緒にごはん食べません?』
みりをお昼ご飯に誘う一人の女子が居た…同学年にあんな子はいない…
「ん、あれって、宵闇さんじゃない?」
「宵闇さん?」
「入学してすぐの頃に、ものすごく可憐な子が入ってきたってことで話題になったんだけど…もしかして知らない?」
「うん…」
私は、噂話とかに無頓着な人だと自分では思っている。だから雲霧さんから聞くのが初めて…というお話がよくある。
「確かに…あの子、とっても美人」
「私もあーいうふうになりたかったな〜」
「雲霧さんもなれるよ、きっと」
「ありがと月乃大好き〜」
…それにしても、そんな人がなんで…もしかしてみりはほんとに色んな女子と関係を持っていたの?…聞いた話は本当に本当のことだったのかな?
「…だとしたら、あの宵闇さんも騙されてる…色んな人をたぶらかして付き合うなんて…そんなの絶対許さない!」
その日から、バレないように藍星みりの動向を注視するようになった…ものの
「宵闇さん、毎日お弁当持って藍星君を呼びに来てるね」
「あの二人付き合ってんじゃね?」
「でも、この前に彼女と別れたばっかりだろ?、そんなすぐ乗り換えるってことは月乃のことそんな好きじゃなかったんじゃね?」
「たしかにそれはあるかもなぁ」
藍星君が宵闇さんと一緒にお昼ご飯を食べに出たクラスでは、様々な憶測が飛び交う。噂話の巣窟のような状態と化していた。
「ねぇねぇ、最近藍星と別れた月乃さんからしたら、これはどうなの?」
「うーん…私は別にいいかな、」
「少しくらい文句言ったっていいんやで?、本人居ないんだしさ」
「でも、別になにか文句があるわけじゃないから…」
ここ一週間、宵闇さんは毎日クラスに来て藍星君を呼んではお昼を一緒に過ごしていたし、最近は家までも一緒に帰っているらしい…でも私の中ではずっと疑念があった。
私と付き合ってる時もそうだった。それに今もそうだけど、あまり藍星君が自分から動いてるようにはみえないのだ。うーん、なんていうんだろ、自分からなにか遊びに誘う、自分からなにか言葉をかけるような人ではない。いわゆる内気な人間だ…。そんな性格の彼が、何人もの人と関係を持っている…ということが私には到底信じられないのだ。
当然私に本性を隠している可能性も考えた。だけど、藍星君と別れてからの立ち振舞いを見ても、そうは思えなかった…じゃあ一体あれはなんなの?、考えれば考えるほどわからなくなる。
「わからない…」
最初は、きっと騙されてる宵闇さんを助けるために動向を観察していたのに…。どうみても、傷ついてる藍星君を宵闇さんが慰めて、助けてるようにしかみえない…なんだかわからないことだらけで混乱してきた。そんな疑念を持ちながら雲霧さんと話していた。
「ねぇ…藍星君って、ほんとに何股もしてたのかな…」
「あの写真見てまだ信じられないの?、好きだったのはわかるけど客観的な事実があるんだからそういうことなんだって!」
「……」
それはそうなんだけど…やっぱりなにかがおかしい、なにか違う、そんな気がする。
「でも、私と付き合ってた時も…今も…」
「それに、もう新しい女作って楽しんでそうじゃん、そんな奴だったってことだよ、大丈夫!、月乃は可愛いんだから!、新しい彼氏くらいすぐに出来るよ!」
「……そうかな?」
「うん、私が保証する!」
霧雲ちゃんはこう言ってくれる…優しい子だよね、だけど自分の疑念は晴れないまま残ってる…だから私は
(もうちょっと、自分のこのモヤモヤが晴れるまで、探ってみようかな)
疑念を晴らすため、それにまだ私はみりを信じていたい、だから私は、今日も二人の後をつける。




