40 暗躍
「あぁぁぁ寒い」
「制服の上着着ても凍えそうだよ〜、温めてほしいなっ」
「…着込んでるダウンコートは飾りなのかね、」
「上着のぬくもりと人肌のぬくもりは別物なの!、だからいいの!」
寒くて凍えそうな冬の朝、今日も今日とてあるまと共に登校していた。
「駅前の通り、飾りがたくさんついて、なんだかもうそんな時期なんだな〜」
「それ前も話した気がするんだけど」
いつ話したかは記憶が確かじゃないけど、いつかそんな話をした覚えがある。
「そういや、去年のあの日は、ここを一緒に歩いたっけ…」
「もー、過去の女は見ずに、今の女を見て!」
今の女と言う表現が、なんだかすごくジワる。
「今が幸せだったらいいの、今年私と歩く思い出で上書きしちゃえばいいんだから!」
「たしかに…そうしましょうかね」
「時間とか決めとかないとね〜」
クリスマスという特別な日に想いを馳せながら学校へ行く二人なのであった。
〜〜〜
(…ッチ、なんでこうなるんだ。せっかく裏で動いて、俺の告白を断りやがったクソ女と、卑怯な手かなにか使ってあいつと付き合った藍星の野郎を別れさせて絶望に浸らせてやったのに…今度は何だ?。
あいつは…一年の中じゃ有名なやつだな、名前はたしか…宵闇か…それにしても藍星はなんですぐに別のやつと付き合ってんだよ、俺より頭も悪いくせに…俺よりいい人生歩みやがって…おもしろくない…
俺の上を行こうとしたことを後悔させてやる…絶対に、お前を潰してやる…)
自分の告白を断った月乃への憎しみはいつしか、藍星みりへの理不尽な嫉妬心に変わっていた。
〜〜〜
「はぁぁ寒かった〜」
「今日はまた一段と寒かったよなぁ、お天気アプリ曰く、今年一番の寒波らしいよ」
「どうりで」
どうりでこんな寒かったわけだ。制服の上着はもちろんダウンコート、手袋、耳当てまで完全装備である。
「…というかテスト勉強してんのか?、もうすぐ期末テストだぞ、」
「勉強しなくてもなんとかなるやろ…赤点回避くらいなら、」
「赤点なんて取ったら冬休み使って補習やで〜、こんなクソ寒い中学校来たくないだろ?、ちゃんと勉強しとけよ?」
「…善処する」
テスト勉強かぁ…家にいる時間はゲームして遊んでたいと思ってる俺にとって、テスト勉強というものは無縁なのである。だって勉強しなくとも得意科目ならある程度点取れるし、苦手科目も…赤点取らない程度には点取れてるしで…正直そこまで行きたい進路とかも決まってないわけで…要は頑張る理由がなにもないのだ…だからこの期末テストも適当にやって乗り切ろうと思っていたのに…
「なに言ってんの?、ちゃんとテスト勉強はしないといけないんだよ?」
…今回のテスト、ノー勉で挑ませてはくれないようだ…
「え、別に良くね?、順位取れなくても」
「ダメに決まってるじゃん!、赤点だったら冬休みも補習があるし、なによりこれからの進路に響くんだよ!」
「え、でも行きたいことやりたいことがないし…」
「…それならなおさら勉強したほうがいいと思うよ?」
…なぜ?、適当な所に行けばいいのだからやっぱり勉強なんてしなくても…
「…ちなみになんで?」
「大学に行って、就職とか先延ばしに出来るし…それにやりたいことが特に無いなら、私はみりと一緒に大学に行きたいし…でもそれなら、みりにも勉強頑張ってもらわないと一緒のところ行けないし…一人で行きたくないんだよ?」
「でも一緒にいなかった時期もあるし、別に良くn…」
「もう私たち付き合ってるんだよ?、恋人なんだよ?、ずっと傍に居てほしいのに…それにあの頃もとっても寂しかったんだからね!」
「それはゴメンナサイ」
もうあの頃とは違う…そうだな、もう恋人同士なんだ。隣に済んでる普通の友達(《《と思っていた》》)の関係ではないんだ。俺も、毎日のようにあるまと過ごしているからか、あるまが居ない時間に寂しさを覚えるようになっていた…これも、
「自分たちの考え方が変わってきてる証拠なのかもね」
「私は昔から変わってないけどね、みりが好きってこと」
「あ、それは、ありがと、うん」
「まだまだ言ってあげるよ〜〜〜」
「カンベンシテクダサイ」
まったく油断も隙もない…と話していると…
「ねぇ、みり」
「ん?、どうかした?」
あるまはヒソヒソと小さい声で
「ずっと誰かに後をつけられてる気がする…」
そう言われて後ろを見回してみるが誰も居ない。
「気のせいじゃない?」
「だといいんだけど…気味悪いから早く行こ」
「そうしよっか」
そうして二人小走りで家に帰るのであった。
〜〜〜
「…あ、行っちゃった」
学校からここまでずっと二人の後をつけてた一人の女性、"月乃みちる"
"藍星みり"の元彼女である月乃は二人で歩くところをずっとつけていた。
「…宵闇さん、一年生の間では有名な子…なんで藍星君の近くに…」
置いていかれてしまった彼女は、一人考え込んでいた。
「…もう少し、調べないとね」
そう呟いて、やるべきことは終わったと言わんばかりにその場を立ち去った。




