36 ほっとけないから②
「…私は元々、人見知りで誰かと話すのが苦手だったの」
中学生の頃は、部屋の端で本を読んでるような…言ってしまえば陰キャ女子だったと、だけど高校に入る時、そんな自分を変えたい!。とそう思ったらしい。だから思い切ってメガネをコンタクトに変えて、みんなに愛されるような元気いっぱいの子になろうと、そう決めた。
「だから…髪色も金髪に変えたし…みんなに元気で明るい子って思ってもらえるように頑張ったの…だけど…だけど…」
クラスでの、いや、学校での印象を変えることは出来た。でも一対一だと、またどう相手と関わったらいいか分からない、それに…、
「私と付き合ったら、私がほんとは根暗ちゃんで、人見知りで…頑張って取り繕ってんだってことがばれちゃうの…だから、私は誰かと付き合うなんて出来ないの…本当の私がこんなだって、知られちゃいけないから…」
「…もう、俺は知っちゃったけど…いいのか?」
「いいんだよ…藍星君なら。ずっと私とチャラい会話じゃなくて…目を見て話してくれた」
月乃さんは、世間一般から…いや、誰が見ても巨乳と言えるような胸の大きさをしていた。
「大体の人は、私と話す時、胸を見てきた。だけど藍星君だけは違ったんだよ?、だからこの人なら、いいかなって思っちゃったの…」
…やっぱり、放っておけないな、
「ねぇ…月乃さん」
「どうしたの?、藍星君」
「…これからも、ちょくちょく話聞かせてくれない?」
高校一年生、9月のとある夕方の頃の話だった。それからというもの、
「藍星君〜!、今日は体育でバレー上手くできたんだよ〜!」
「藍星君〜!、この前新しいワンピース買ったの!」
月乃は頻繁に話しかけに来るようになった。毎回とびきりの笑顔で飛びかかってくるのを抑えるだけでも大変だ…正直、来るのを心待ちにしてしまってる自分がいる。それに笑顔で居てくれる姿を見ると、なんだか自分も安心する…ずっと笑っていてほしいとも思う。そんなことを考えてると気づいてしまった。
「…俺は、月乃みちるに惚れている…」
元気で純粋無垢で天真爛漫、でも本当はいろいろな事情を抱えながら歩いている子。自分の秘密を貫き通すために、だれにも打ち明けられない悩みを抱えている子。力になってあげたい…傍に居てあげたい…一人じゃないんだよって思ってもらいたい。
「どうしたの?」
「…ねぇ月乃…大事な話をしていい?」
「うん、いいよ!」
「…これからもいろんな心配事とかあると思う、一人じゃ抱えきれない事があると思う…でも月乃は一人じゃないんだって…俺の…傍にずっと居てほしい」
「はわ…はわわわ…」
「傍にずっと居てあげたい、心配事を全部抱えてあげたい、だから俺と…付き合ってほしい」
「…実は私も…あの出来事が合った頃から、藍星君のことが好きでした…!、えっと、その…私と…付き合って下さい!」
二人の告白が交差する…そうして二人は、
「なんだか幸せな気分だね〜」
「そうだね」
「じゃあこれからも、」
「不束者ではありますが」
「「よろしくお願いします!!!」」
こうして今日、また新たなカップルが出来たのだった。
「………」
「………」
なんというか…告白したあと、家まで帰る道…すごく気まずい…けどどこか心地よい。気まずいのに心地よいって矛盾してるんじゃないかって?、一回体感してみればわかるよこの気持ちは。《《いい意味で》》気まずい、ということなのだから。
「…ねぇ、藍星…」
「どうしたの、月乃」
「私達…恋人…ってことでいいんだよね?」
「うん、まあ、そういうことだな」
「じゃあさ…名前で呼び合わない?、みり…くん」
「え…///、じゃあ…みちる」
「う…///、なんだか…すごく恥ずかしいね、でも、すっごく嬉しい」
お互い照れて、顔が見れないまま、別々になるところの道まで来てしまった。
「じゃ、じゃあ、ばいばい」
「じゃあ、また明日ね」
そう言って別れる二人、そうして家まで帰った。そうしてスマホを見ると、月乃からLAINが来ていた。
みちる:えっと、クラスラインから来てます!、月乃です!、藍星君で合ってますか…!
みり:合ってるよ、ありがと
みちる:よ、夜に通話しよ!
みり:い、いいよ、空いてるし時間
この日二人は、夜遅くまで寝られなかったそう…変な意味じゃないよ!?




