35 ほっとけないから
〜藍星みり 高1〜(一年前)
やあ、俺の名前は藍星みり。どこにでもいる普通の男子高校生、高校に入ってからも、順調に人間関係を作っていって、俺は楽しい学校生活を手に入れていた。一緒に語り合う友達。居心地のいい場所。なんにも不満のない自由な日々。
「…だけど、刺激って、無いものだよね」
「刺激ばっかりの生活も、疲れるもんだ!、平穏が一番!」
「なんでお前は毎日毎日こんなハイテンションなんだ?」
柊つとむ、クラスで仲良くしてる、まあいわゆる友達だ。いつもハイテンションで大声で話しかけてくる、正直うるさい。
「今更それを聞くか?」
「まぁ。いつものことではあったな、うん」
「それでな今日もまたラブレターが入っててな、どうすればいいと思う?」
「んな自慢話は求めてないんだよ、こんの羨ましいやつめ」
こいつはイケメンだ。俺なんかとは比べ物にならない容姿なわけで…
「藍星、お前はイケメンをなんだと思っている。この見た目を保つの結構大変なんだぞ?、ま、趣味だからいいけど」
「俺にはわからんよ…なぜそこまで出来るのか」
「お前だって、顔は整ってんだから、ちゃんとすればモテると思うがな」
「生憎俺にモテたいという願望はないので遠慮しときまーす」
「みんなー!、おっはよーー!」
「あいつもいつも元気だよなぁ」
朝から元気いっぱいに挨拶をして教室に入ってきたのは"月乃みちる"、元気な声でみんなに挨拶することから『太陽のように眩しい月』と巷では有名な女子だ。席が隣でよく話してもいるのだが…。
「ちょっと、教科書忘れちゃって…見せてくれない?」
「ん、別にいいけど、」
「ありがとね!」
事あるごとにボディタッチをしてくる…なんというか、距離感がバグっている子だった、その上…
「なぁ月乃、サンタって居ると思うか?」
「なんでそんなこといちいち聞くの?、居るに決まってるじゃん!、サンタさんが毎年プレゼント持ってきてくれるんだ〜」
「幽霊って居ると思う?」
「そ、そんなの!、い、居るわけ!、ないじゃん!、きゅ、急になんてこと、きいて、くる、の!」
…めちゃくちゃ純粋無垢というか…天真爛漫と言うか…人の言うことを信じて疑わないとこがあって…なんだかほっとけないんだよな。そんなことを思っていたある日。
「…なんで放課後残って補修なんかやらされてたんだ…いやテスト期間ゲームやりすぎてノー勉でテスト挑んた俺が悪いんだけ…ん?」
だれも居ないはずの理科室から、泣いている女性の声が聞こえる…一体何が、
「う…うぅ…」
月乃さんが、机に突っ伏して泣いていた。
「…ここでなにして…いや、なにがあったのか聞かせてほしいかな、」
さすがに放っておくわけにもいかない、
「わだじ、ごぐばぐざれだの、うぅ…うわぁぁん!!」
「…これ使って」
自分のハンカチを差し出して涙を拭いてもらってから、落ち着くまで待ってもらって話を聞いた。
「わたし、こくはくされたの。ことわったの、そしたらそのひとが、わたしのわるいうわさ、ねもはもないうわさをながしたの」
「うんうん…」
「わたし…そのせいで、だれもちかづいてくれなくなった、わたし、なにもわるいことしてないのに…うわぁぁぁぁぁん!!!」
また泣き出してしまった。そうしてると、
「この部屋で何やってるんですか…おや、どうかしたのですか月乃さん」
部屋を閉めに来た先生だった。先生の邪魔にもなるし、場所を移動して話そ、というと彼女は小さく頷いた。
「ちなみに、なんて噂を流されたの?」
「…私は男癖が悪くて、そこらじゅうの男を転々としてるビッチだって…」
…おそらく、月乃の誰にでも仲良くする性格を利用して、信じ込ませられるような嘘を作り上げたんだろう。日々話している自分だから知っている。月乃さんはそんなことしないって。
「ちなみにまだ誰かと付き合ったことって…」
「…ないの、まだ」
…この性格は、クラスの男子からも人気で…てっきり交際経験あるもんだと思ってた…だとすると…
「…何回告白受けたことある?」
「…わかんない、でも、10回以上は」
「それでも…?」
「誰とも付き合ったことなんてないの!、男の人となんて一緒にいること無かったから!」
「…告白を全部断ってるのにもなにか理由が?」
「…笑わないって約束するなら…あなたには話してもいい。ずっと隣の席の藍星君になら」
「約束するよ」
そういうと彼女は語り始めた。




