30 星を隠す影②
〜宵闇あるま 中3〜
中3になった。ついに私も受験シーズンだ。とはいっても中3の内容なんてほとんど覚えてしまって授業中は常に復習するような感覚で聞いている。勉強はもう完璧と言えるほど出来てるから…一日くらい仮病使って休んでも…なにも言われないよね。
今日はみりが高校に登校するのに尾行しようと思う。みりはここ二年、私のことをまともに見ていない、その間に私は変わった。だから顔さえ隠せばバレることはないだろう。
「学校行きたくないなぁ…、まぁ行くんですけどね」
出てきた…そうして追跡してはいるものの、予想通りというか、特に電車に乗って遠くの高校に通うわけでもなく…一番近くにある、そこそこの高校に通っていることが分かった…でもなんだろう?、もっと尾行って、バレるかも?、って考えが出てハラハラドキドキするもんじゃないの?。変装しているとはいえ、簡単に行けちゃってなんだか拍子抜けしちゃった。
「ねぇそこのお嬢ちゃん、よければお茶していかない?」
…誰?、こんな人と知り合いだった覚えはない。
「なんか言ってくださいよ〜、あ、もしかしてお金あんまり持ってない?、大丈夫大丈夫、俺が全部奢るか…」
「おいやめろよ、困ってるじゃねえか」
突然後ろから声がした。藍星みりだった。
「お前には関係ないだろ、どっかいけよ」
「それともどうしましょうか、ここで警察呼びましょうか?」
「…ッチ、めんどくせぇな」
そう悪態をつきながらナンパ男は去っていった。バレたかと思ったけど声を出していないし顔も見られてないからバレては居ないようだ。
「…大丈夫ですか?、俺は学校行きますね、時間もギリギリですし」
そう言ってみりは学校へと走っていった…
「…みりはまた私を助けてくれるんだね」
こんなの更に好きになっちゃうじゃん…なんでこんなにかっこいいの、なんでこんなに見ず知らずの人(だと思っているであろう)人を助けられるの…もっともっと惚れちゃうよ。
「決めた…いや前から決めてたけど、私はこの高校に行く」
そう固く心に誓うのであった。
そうして時は過ぎ…進路懇談
「あるまさんの成績ですと…この地域屈指の進学校にも余裕を持って入れるほどの成績ですよ!」
「申し出はありがたいのですが…もう決まってまして、」
そう言って、みりが通っている高校の名前を告げた。担任は驚いていた。君ほどの成績の人がそこに行くのはもったいないと、でも押し通した。なぜならそこには、
藍星みり、私が好きな人がいるのだから。
もちろんその間も自分磨きは欠かさない。今日の私より、明日の私が可愛くあるために。もっとふさわしい人であるために。
そうして一学期、二学期と時は過ぎていき、受験本番。自分の適性より学力の低い高校なためか試験の問題も簡単だ。もちろん面接も、完璧に組み立てた内容を話す、寸分のミスもなく、受験は終わった。結果はもちろん合格。ふふふ、これでやっと。
「同じ高校に通えるね♪、えっへへ〜」
この時をどれだけ待っていたか、みりが私と話してくれなくなってもう二年、私がどんなに寂しかったか、苦しかったか。これからは…
「ずーーーーーっと一緒ですよ、みり先輩」
そう、一人で、昔みりと一緒に撮った写真を見ながら呟いていた。
〜宵闇あるま 高1〜
そうして迎えた入学式。試験で一番の成績だった私が新入生代表で挨拶をする。こうやって人の前に立って話すのも何回目だろうか。もう両手で数え切れないくらいやっている。最初の頃は一対一でもまともに話せないような私だった。それから変われたのは間違いなくみりのお陰なのだ。
学校が始まって、私のことが噂になっているようだ。絶世の美女?、みりが注目してくれないなら、可愛くたって仕方がないというのに…みりはどこのクラスなんだろ…知りたい知りたい知りたい、だからお昼休みの時間にそれとなく見に行くことにした。
「藍星みり…藍星みり…、このクラスだ!」
このクラスにみりが居る…そう思うと胸が高鳴った。やっと再開するんですよ?、そう思っていたのに…
「ねぇみちる、一緒にご飯食べよ?」
「いいよ、じゃあみり、一緒に食堂行こ!」
…誰?、その女は…ああ、そうなんだ、そういうことなんだ。みりは私のことなんてどうでもいいんだ。私のこと忘れて彼女なんて作って…。私の努力なんて知りもしない人の称賛なんて要らない。ただ私のことを昔から見てくれたみりに、可愛いって言ってほしいのに。傍に居てほしいのに…あぁ、そっか、私が悪かったんだね。そっか…泣きたいな…なんてね、なら私がもっと努力すればいいだけのことなんだ。いつか見せつけてやる。私と付き合っとけばよかったって思わせてあげるから。




