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3 数年ぶりの対話

「え、宵…闇…あ、思い出した。隣に引っ越してすぐは人見知りがすごくて全然前に出てこなかったあの」

「昔話をしろとは言ってない!」


 怒られてしまった。そうだったそうだった。見た目が美しく、色んなところが綺麗になってて、自分の記憶の中の人とはかけ離れていたせいで気がつかなかった。前はよく話してたけど、自分が中学に上がった、だいたい四年前からは関わることがめっきり減って、最近の動向を一切知らなかった。一緒の高校に通ってるということも、こんなに綺麗になっていたことも。


「というか一緒の高校だったんだ、こんな偶然ってあるもんだね」

「偶然というか…いや、なんでもないや、うん、大丈夫」

「う、うん、で、それでなんで家まで話しに来たのかな」


 数年ぶりにこうやって話しに来たということは、なにか重要なことがあるんだろう。


「だから…その…月乃さんと別れたの、本当なのかなって思って、」


 あぁ、そのことか、なんでそんなこと聞くのかな。


「別れたのは本当、でも別にいいんだよ、俺が全部悪かったんだよきっと、自分なんて居るべきじゃなかったんだよ、俺なんt」パン


 …痛い、宵闇にビンタされたところがすこし腫れ上がったような感覚がある。それで前を向くと。


「自分のことをそんな悪く言わないで!…それを見て悲しむ人も居るんだから…、」


 涙目で自分のことを見ながら話す宵闇が居た。


「…ごめん」

「謝らないで!、辛いんでしょ!、なんでいつもいつも一人で抱え込むの!、学校でもだれとも話してるように見えなかったし!、だれにも言えず苦しかったんじゃないの!」

「そりゃ…」


 そりゃ辛かったし苦しかったよ、でも自分が悪いに決まっているんだ、自分が不甲斐ないからこうなったんだよ、でもこんなこと誰にも相談出来ないじゃん、出来るわけ無いじゃん、どうすればよかったの…。


「そりゃそうだけど…どうにも出来なかったと言うか…」

「誰にも相談出来る人が居なかったんでしょ、こんなこと言えはしないだろうし、私にもあった、悩んでるのに、こんなこと誰にも言えないじゃんってこと。だから…」


 だから私に話してほしいとでも言うのかな…!?、え!?

 突然宵闇が自分に抱きついてきて言った。


「私なら全部わかってあげられるとは言えない、人よりそういうことは理解出来る方だと思ってるけど、苦しんでるところは見たくない…だから、話してほしい」

「宵闇、わかった、わかったから一旦離れ…」

「あと私のことは名前、"あるま"って呼んでほしい」

「あの、ちょっと、なんていうか」

「呼んでくれるまで離れない」

「わかった、わかったから、あるま」


 そう言うとやっと話してくれた。どこか恥ずかしがっているような表情をしているような気がしたが、顔を隠してしまってよく見ることが出来ない。


「辛いだろうし、うん、今すぐじゃなくてもいい、でもどうしても辛くて仕方なくなったら…ちょっとスマホ貸してくれる?」


 そうしてせっせと僕のスマホを操作して、返されたものにはLAINにあるまの連絡先が登録されていた。


「どうしても、辛くなったら連絡して、いつでも話を聞くし…通話でもいいから、いつでも大丈夫だから」

「でも…迷惑じゃない?、人のこういう話ってあんまりいいもんじゃないし…自分が我慢して済むことなら」

「そういうこといい続けるなら、もう一回ビンタするよ」


 どうせ他の人に話しても、自分のことなんて理解されない、どうせ…


「ねぇみり、なんで泣いてるの?」

「え…なんでだろ」


 そんなの分かってる、理由なんて分かってる、でも僕の中で整理がつかない、自分の中で整理したくなかったのかもしれない。


「ちょっと…いい?」

「…なに、あるま」

「こっちに来てほしいな」


 誘われるように横に座ったら、あるまは肩に頭をさりげなく乗せてくる。


「こうすると、安心するらしいよ」

「……」


 さっき抱きつかれたときも思ったけど、いい匂いがする、なんだか安心する匂い…ずっとこの時間を過ごしていたいと思うこの安心感。


「ちょっとは安心したかな、ありがと、あるま」

「うん!、あ、これから毎日、今日何があったか送ってもらうからね、相談にも乗るし、心配なんだから」


 そうして彼女は隣の家に帰っていった。なんであるまはこんなに話を聞いてくれたんだろう、今になって俺に構う必要なんて無いはずなのに。

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