18 いじめの真相
もはや一緒に学校に行くことが日常と化していた二人、いつものように話しながら投稿していた。
「昨日マドレーヌ焼いてたんだけどさ、思ったより美味しく出来なくてさ、ちょっとショックだったの」
「ほーん…ていうかあるまって焼き菓子も作ってるんだ」
「あ、そこから!?、うん、クッキーとかマドレーヌとか、簡単に作れるようなものは作ってるよ」
「なるほどね〜、また今度作る時、俺も食べてみていい?」
「…上手く出来たらね」
「上手く出来てなくても大丈夫よ、あるまの作ったものなら、それで」
「私が気にするの!…でも、ありがと」
ちょっと照れくさそうにそう言った。
「話は変わるけど…最近寒くない?」
「もう11月の終わりがけだし…冬本番なのかもね〜」
「こうも寒いと外に出るのがより一層億劫になるからやめてほしい」
「でも冬だからこそこうやって」
あるまは俺の腕に抱きついて…
「合法的にこうやってくっつけるってわけ!」
「…とりあえず…歩きにくいから離れてほしいかな…」
正直、密着してくるの恥ずかしい上にいつまで経ってもなれないから…できれば早く離れてほしいのだが…
「この冬の寒い季節、寒がってる彼女を温めてあげるのも彼氏の責務の一つだと思います!」
「そんな自信満々に言われても…」
恥ずかしいものは恥ずかしいのである。
〜〜〜
今日は用事があるらしく、お昼は一人。久しぶりに学食を使う、最近はあるまの作ってきたお弁当を食べていたからね。にしても今日はなにかあったのだろうか…まあいいや、
「あれ、今日は一人じゃん、珍しいな、宵闇さんはどうした?」
柊か、最近あんまり話してなかったな
「あいにく、なにか用事があるらしい、だから今日は一人だ。まあ前はこうだったから慣れてるがな」
「にしては、なんだか寂しそうな感じがするが」
「寂しくなんて…そんなことないよ、うん、普通に大丈夫だ」
別にちょっとあるまが居ないからってすぐ寂しがるなんて、そんなわけがないのだ。
「まあ、普段のお前と違うのは見てて伝わってくるから、そういうことじゃないかと思うぞ」
「そういうお前もいつもよりテンション低くないか」
「そうか?」
「だっていつもクソでかい声で話しかけてくるじゃん」
「いや俺だって常時テンション高いわけじゃないぞ、今はアレだ、冷静になっている状態というやつだ」
「なるほど」
まあそういうこともあるのだろう、そうしてそのままお昼ご飯を食べた。
放課後になっても彼女が来ることはなかった…一体今日は何を…?。まあいいや、俺も清掃のゴミ頼を運んでとっとと帰るとしよう。
その目的の部屋、通称物置部屋は学校の中では一際人通りが無く…まぁ誰とも深く関わることのなかった自分からしてみれば、こうも誰も居ない静かな空間と言うのが好きなのだが…ん?、誰か居る、こんな所で話すことといえば、人には言えないような秘密の話をする人が多い、一旦立ち去るべきか?、と考えていると。
「ねぇ、何回言ったらわかるの???」
そこから聞こえてきたのはあるまの声だった。ちょっと驚きはしたが、こんな所でなにをしているのか気になった俺は物陰から聞き耳を立てることにした。
「私はあなたに興味なんて無いの、何回言ってきても無駄なの、しかもそれだけじゃ飽き足らず…」
彼女の声が一際低くなって、
「私の大切な人に陰湿な嫌がらせして…人間として終わってるよ?」
…まさか嫌がらせされてもすぐに収まっていたのは…
「そんな事をしないと私の気が引けないからこんなことしかしないんでしょ?、それともただ単に振られた事に対する嫉妬で私の大切な人に嫌がらせしてたってこと?、どっちにしてもあなたがこの世に生きてる価値なんてない、とっとと私の前から消えてくれない?、早く死ねばいいのに」
…普段の俺と接してる時と比べて、ありえないほど低い声で、ありえないほど毒舌で、でも俺の事に怒ってくれてると思うと…なんだか複雑な気分だ。
「でも…なんで…なんであんな冴えない陰キャぼっちなやつなんかと一緒に居…」
「見どころ無いんじゃない?、私にすぐそうやって告白してきたあたり、あなたは見た目しか見てない、ただあの人は私の中まで見てくれた。私が可愛くなくても一緒に居てくれた、だから好きになった、それなのに、あなたは少しでもあの人を見習ったらどう?、少しはマシになるんじゃない?」
そうして彼女は話は済んだとばかりにその場を立ち去る…ってこっち来るじゃん、ここで聞いてたのがバレると面倒なことになるから場所を変えて、立ち去るのを見ていた。一方取り残された男子は、舌打ちをしてそこに立ち尽くしながら震えていた。




