16 お家デート?②
俺が元カノ…月乃と別れた時、まだその話が同学年にすら広がってないにも関わらず、あるまはその事実を知っていた…いや確実な情報ではなかったのだろう。だから聞きに来たのだろうし、だが何年も話してなかった人に声をかけに行くのだ。ある程度分かっていたに違いないだろう。
それにあるまが俺のクラスを知っていたことだ。何年も話していなかった上、俺は学校の有名人でもない。きっとそんな人があの子と付き合っていたから反感を買ったんだろうが…。とにかく俺の情報を取るすべはほとんど無かったはず…なのに知っていた。
他にもあるまは、この日クラスでどんなふうに過ごしてたか、ということを的確に当ててきたことが複数回あった…さすがに見ても居ないのにそんな偶然何回も起こり得るだろうか…そして…
なぜあるまは俺の行った高校を知っていた?。ずっと昔から俺のことを思い続けてくれてたと前に聞いた、それ自体はとても嬉しかった。だがこれに関しても情報を集めるすべはない…いやこれは親に聞けばワンチャン教えそうだな。ちなみにあるまは頭が良く、あの学年の中ではトップレベルに頭が良い。いつも片手で数えられる順位の良さ。あんな高校に収まるような器では無かったはずなのに、もっといい高校に行けたはずなのに、、それらを全て蹴ってこの高校に入ってきた。これも全て…
『決まってるじゃん…、みりのことが心配だったから…』
なんだか恥ずかしくなってきたな…自分が何を聞きたかったのか思い出せなくなってしまった。めちゃくちゃ気になることだったはずなのに、恥ずかしいという思いが上書きされてしまった。
「ねぇ、みり」
「う、うん!?、どした!?」
「顔赤いよ?、それにどしたのそんな驚いて」
「あ、いや、その、なんでもない」
「えー、もしかして女の子の部屋入ったから興奮してんの〜?、変態さんだなぁみりは」
「全然違うから」
たしかに恥ずかしがったのは事実だがこの部屋のことじゃない。全く勘違いも甚だしい。
「んで、ちょっと昔のことで聞きたいことあるからひとつ聞くね?」
「なんでもどうぞ」
「なんで中1の冬くらいから話してくれなくなったの?」
「……」
あるまは小3の頃、隣の家に引っ越してきた。人見知りが激しく誰とも仲良くしようとしない、いやうまく仲良くなっていけない子だった。俺はどうにも気がかりで、暇なときには遊んであげたり、色々教えてあげたりしていた。あの頃は自分もガキだったしで妹みたいなもんだと思って接してた。自分は一人っ子で年が少し離れた兄弟姉妹というものが欲しかったと思ってた。
…だけど中学校に上がって変に知識をつけていくと共に段々と会うのが気恥ずかしくなっていった。それにその頃になるとあるまも他の人と普通に話せるようになっていた。だから自分はもう行かなくて大丈夫だな…と、そう思ったのだ。
「中1の頃になると、あるまも他の人と普通に話せるようになってたよね、だから俺はもう大丈夫だなと思って」
「…」
「だから話しに行かなくなったってわけ」
「……」
「それで中3になると受験勉強が急がくしなって他のこと考えてる余裕が無くなってきてな…」
「…ねぇ」
「それであんまり…ん?、どうした?」
「あの頃の私がどんなに寂しかったと思ってるの!」
あるまは大きな声を張り上げた。
「私はみりのおかげで徐々に他の人と話せるようになっていったよ、でもなんでか知ってる?、みりが私にこう言葉をかけてくれたんじゃん!」
『あるまちゃんと居るとほんとに楽しいよ。絶対友達たくさんできる、みんながあるまちゃんのこと好きって言うよ、きっと』
…どうやら過去の俺はそう行ったらしい。幼い頃って恐ろしいな、こんなセリフを恥ずかしげもなく言えるのだから、今考えれば恐ろしいよ。
「だから一生懸命友達作ってたの!、それなのに…みりは遠くに行っちゃったじゃん!」
「…覚えてなかった」
「あの頃から好きだったのずっと!、あんな私と一緒にずっと遊んでくれて!、引っ越してばかりで友達が全然出来なかった私がどんなに救われたか…わかる!?」
…あぁ、ほんとに悪いことしてたんだな…もう俺なんか必要ないんだって勝手に思って勝手に離れて。
「…ごめんね」
「今は怒ってないよ!、だって…」
そうしてあるまはくっついて来て、
「みりが今こうして、傍に居てくれるんだもん」
顔を赤くしながらそんな言葉を俺にかけてくる。あるまの体温を直に感じる距離、これは…正直恥ずかしすぎるというか…うん。
「私から無断で離れた罪は大きいんだよ?、だから…一生、離れないでね?、傍に居てね?」
彼女は耳元でそう囁いた。




