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魔法人形の《工房》
爺さんの頃は部品からすべて一から作っていた『魔法人形』。
しかし、時代は変わっていくもので親父の代からは、部品は別の工房で作り、うちでそれを組み立てるようになった。
大机の周りで黙々と作業をする職人たち。
細かい部品を組み立てていく光景。
子供の頃の思い出の風景。
現在──さらに代替わりし工房は自分の代になった。
しかし、うちで作るような魔法人形はすでに『骨董品』の扱いだ。
職人たちは経営が苦しくなったし、歳をとったので辞めていった。
でも、作り続ける。
まだ、うちの工房は生きている。
カタコトと歯車を動かしながら、そのリズムを刻みながら。
うちの魔法人形たち(従業員)は、今日も新しい兄弟たちを作り続ける。
「さあ、仕事だ仕事。今日中に1体仕上げちまうぞ!」
「ハイ、コウボウチョウ」
魔法人形の工房、日々開店中。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください
(三代目工房長より)