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その呪いは双子のように
『呪飼』という呪術師がいる。
自らのうちの呪いを形にして飼い慣らす。
式神とは違う。
式神はあくまで術によって作られたもの。
呪いは、負から生まれたもの。
少年は憎んでいた。少年は悲しんでいた。
彼の中で負は育っていった。
少年は嘆いていた。少年は怒っていた。
蔵の中で、自らをここに閉じ込めた一族を恨み続けていた。
やがてある日、少年の体のうちから瘴気が溢れて、呪いが生まれた。
生まれた呪いは、自らとよく似た姿をしていた。まるで双子のようであった。
少年は、彼に名を与えた。
呪いは、蔵の扉を素手で壊し、少年は何年ぶりかに外へと出た。
一族、家族は呪いを生んだ少年を讃えた。
『よくぞ、呪いを生んだ。おまえは素晴らしい』
賛辞を贈る者たちに、少年は心のうちの負を籠めて言った。
『呪われろ』




