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『それをヒトは、 という。』
天蓋に空いた穴。
錆びついた骨組みの向こうに青い何かがあった。
ノイズまじりに水の音。
指が動いた。
腕は、すこし持ち上げただけで鈍い音がする。
換装しなけりゃまともに動きそうになかった。
だけど。そんなことはどうでもよかった。
──こんな八割方ぶち壊れた『俺』が、再起動した理由とか。
ときどき、頭の周りをちょろちょろしてるなんか小さいのとか。
そんな。
なんもかんもが気にもならないくらい。
俺はその青い何かに。
ロマンチストなんざ柄じゃねぇんだが。
心を奪われちまっていた。




