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禁書日記
これはとある世界のとあるどこかの他愛ない日常の記録である。
ゆえに短く。短編小説とも言い難い。本当に日記程度の短い文章なのだ。
長い文章は苦手だ。読むのは好きだけど、表現するのは短いのがいいのだ。そうやって書くのが楽しいんだからしょうがない。
・・・・・・そうページには綴られていた。禁書の端に落書きされた誰かの日記。
「誰かしらんけど、マジ助かった」
ワイはボロボロになって大人しくなった禁書に何重にも封印の紐を巻きつけて縛る!
もう絶対開かんように。
興味本位で開けたらあかんな。こーいう黒魔術系の危ないもん。
・・・・・・せやけど、ほんま誰やろ?
こんなけったいなしろもんに落書きしたのは。
あれが術式の邪魔になってたせいでこの禁書は本来の機能を充分に発揮できんかった。もし、『腐乱の禁書の術』が発揮されてたら、ワイも店もまるごと腐り果ててグシャグシャに潰れてまうとこやった。
「はああ。ありがとう。どこかのだれかさん。あんたの日記はワイを助けてくれたで」
店主は腰をさすりながら、禁書を持って店の地下室から出ていった。




