ながめ星
夜中に目が覚めてしまった。
なかなか、眠りのなかに戻ることができなくて、僕は、布団から這い出る。
体も、頭も、「まだ眠り足りない」と訴えている。
でも、一度、目覚めた心が、不穏にざわめき、安らかな眠りの邪魔をしている。
悲しい/苦しい/辛い/寂しい・・・・・・。
そんな物哀しい想い。
──僕は、戸棚から『星』を取り出した。
このまえ、巡界者。この異界の様々な世界を巡る旅人から買った『星海』の星。
戸棚から厚手のガラス瓶を出して、水道水を注ぐ。
そして、八分目まで満たされた瓶の中に、宇宙色のインクを一滴落とした。
無色透明な水が、真暗な夜天の色に染まったのを確かめて、僕は、手のひらの上の小さな星を瓶の中に入れた。
とぷり。
星が、液体の闇の中に沈む。
僕は、星の入ったガラス瓶を机に置いて、椅子に座った。
・・・・・・しばらく待つと、瓶、いや星が輝き出した。
この星は、希望/夢/理想──そんな、僕の心の僅かな光を源にして、輝く。
──僕は、今夜も星を眺める。
心の光で輝く星に、心の陰を照らしてもらいながら。
P.S.
誰にだって、眠れない夜はある・・・・・・。
あなたは、どうやってそんな夜を過ごしているんだい?




